小伝馬町モノグラフィーの入口。丸い看板を目印に。
みなさん、良い写真が撮れたとき、どこで写真をプリントしていますか。
わたくし今回、初めてモノグラフィー(MONO GRAPHY Camera & Art)でカラープリントをお願いしたのですが、その体験がすごく面白かったので、みなさんにもぜひお伝えしたい。モノグラフィーはこちら→https://www.monography.shop/
モノグラフィーは二階にあります。
グループ展などで、写真展に出そうというとき、記念写真を額に入れるとき、誰かに写真をプレゼントするとき。家のプリンターでももちろんいいですが、ちょっと気合いを入れて、とっておきの一枚をプリントしたいときってありますよね。
わたしは毎年恒例「4×4photography」というグループ展に参加しており、いつもはモノクロで、暗室でアナログプリントをしていました。今年は初めてのカラー写真での出展です。
このカラーの写真、どこで印刷したらいいのだろう? と思って、困ってしまったのです。
我が家のプリンターは二台ありますが、ひとつは文書用ですし、もうひとつも古い上に性能があまりよくありません。コンビニも、ちょっとした写真をプリントするには便利ですが、展示に出す写真はもうちょっと凝りたい。街の写真店のプリントも、もちろん良いには良いですが、写真用紙の種類は、つるつるかざらざらくらいで、そんなには選べないですよね?
そこでやってきたのが、小伝馬町のモノグラフィーです。
モノグラフィー。ちょうど便利堂企画展示「コロタイプの扉」をやっていて、ファン・ホー、ソール・ライター、ロベール・ドアノー、マイケル・ケンナのあの名作たちが展示されていました。モノグラフィーでは、毎回行くたびに面白い展示をやっています。
モノグラフィーはどちらも写真家の、上田晃司さんとコムロミホさんご夫妻が運営するギャラリーです。とはいえギャラリーだけではなく、写真集、写真用紙や額、グッズ等の販売、写真教室など、写真にまつわるよろずの楽しみが見つけられる場所です。行けばいつも写真好きのお客さんがいます。
餅は餅屋と言いますが、写真のことはプロの写真家の先生に聞くのが一番です。わたしが「プリントって、できますか?」とコムロさんに聞くと、まず見せていただいたのは写真用紙の一覧表と、それが収められた棚です。その数なんと50種類以上!
この棚、何だと思いますか? 写真用紙ぎっしりのお宝棚です。
豊富な写真用紙の種類。全種類試してみたくなります。
例えば個人だと、写真用紙を買ったりしてもせいぜいが数種類というところ、モノグラフィーではメーカーを縦断しての品揃え、それを一枚からお試しで買えるとは、なんという画期的な取り組みでしょう。
写真用紙とひとくちに言っても艶のあるもの、密に詰まったもの、マットなものなどなど、紙によって質感がまったく違います。
モノグラフィーのすごいところは、そのメーカーも種類もまったく違う写真用紙の、見本となる写真が同じということです。メーカーごとの見本ってどこもあると思うのですが、A社とB社でそれぞれ写真が違っていたら、比べようにも、よくイメージできませんよね? いろいろな紙を見比べるときに、同じ写真で比べられることが、これほどまでにわかりやすいとは……。
モノグラフィーの強み、見本の写真が全部同じで見やすい。和紙二種とハーネミューレの見本を出していただいて、どれがいいか決めているところ。
わたしは、自分の中でなんとなく、(マットなのが好きかな……?)と、曖昧なイメージを持っていました。コムロさんがわたしの写真を見て、マットな感じが希望ということで、いくつかおすすめしてくれました。わたしは写真を専門的に学んだことがないため、プリントに対しても体系的な知識がありません。写真用紙、それぞれの良さを知り尽くしている写真のプロが相談にのってくれるということは、本当にありがたいものです。
その中で、和紙がちょっと気になったので、伊勢和紙の雪色、アワガミファクトリーの竹和紙110、ハーネミューレ フォトラグ ウルトラスムースを同じ写真で比べてみようということになりました。
自分だけだとよくわからなくて、決められないと思いますが、コムロさんの意見を聞きながらだと、好みのものを選ぶことができます。伊勢和紙の雪色、アワガミファクトリーの竹和紙110、ハーネミューレ フォトラグ ウルトラスムースの三種に決めました。
わたしは本当に驚きました。写真用紙って、すごいんですね……。紙なんてまあ、どれもだいたい同じかな? なんて思っている人は、すぐにモノグラフィーに行ってみるのがいいです。和紙にプリントされた写真は全体的にふわっとして光がにじんでいるようでもあり、ハーネミューレという紙は色がこっくりと出て密度も高く、同じ写真でも明らかに違いが出て面白い。撮られた時代さえ違って見えるくらいの差がありました。写真ではよくお伝えできないところなのですが、実物はもっと質感がはっきりわかります。一つの写真が何通りにもなるというか、解釈が広がるので、ぜひご自身の写真で試していただきたい。プリントの相談の前には、問い合わせメールで連絡しておくとスムーズに進みます。(info@mono-graphy.com)
写真で質感までお伝え出来ないのが残念なのですが、羽根の光り方、白い繊維の様子など、実物の差はもっとはっきりしています。
和紙は裏面と表面の差も面白かったり、他にも、地の色が生成りだったらどうなるかなどの差もあります。前までわたしの中では、カラー写真は撮って、スキャンデータをSNSでシェアして終わり、みたいな感覚がありましたが、それだとちょっともったいない。写真用紙に印刷してみることで、こんなにも楽しみが広がるのかと驚きました。
自分の写真にマンネリ感を覚えている人にも、写真用紙を変えて印刷してみることで、また新たな世界が広がるのではないでしょうか。
このモノグラフィーのプリントサービスは、A4サイズ一枚千円+紙代です。わたしはこの価格、とてもお値打ちだと思いました。なぜなら、個人の家によくある、家庭用のプリンターだったら、そんなにまめに利用していなかったりするので、やれインクが無かった買いに行かなくちゃ、変な線が出る、色味が変だ、クリーニングってどうやるんだったっけ? などと大騒ぎになりがちです。(高いプリンターほどインクもやたら高い。そして場所を取ります)
しかしながら、モノグラフィーのプリンターはプロ仕様のプリンターで、メンテナンスもきちんとなされているものです。
モノグラフィーは写真用紙も豊富ならプリンターもプロ仕様です。
それに付け加えて、写真用紙を知り尽くしている写真家に、「こうしたい」というイメージに合う紙を、メーカーを縦断しておすすめしてもらえます。なかなか自分の知らない紙のことまで、情報は入ってきませんよね? そこはプロの力を借りてみるのはいかがでしょう。
わたしはモノグラフィーでプリントをお願いしてみて、仕上がった自分の写真の仕上がりに本当に驚いたので、多くの人に、この驚きを体験していただきたい。写真用紙の世界は本当に奥深いです。
色味がきちんと調整されたライトの下で見比べているところです。
地の色が、黄色みがかっている写真用紙も雰囲気が変わって面白い。
しかもプリント後もすごい。わたしはなんとなく、プリントされた写真は紙袋に入れてそのまま持って帰るのかな、と考えていましたが、モノグラフィーでは、どの写真用紙がどの仕上がりかわかるように、かつ、折れたりしないように厚紙の表紙をつけて、本のように梱包、各ページにわかりやすく写真用紙のシールまでついて、家では本のページをめくるようにして見られます。かっこいい上に実用的、これはやはり、写真を知り尽くしたプロの技ではないかと。
持ち帰ったところ。厚紙で保護されています。
開くと本のようになっていて、ページを一枚一枚めくってチェックができるようになっています。
プリンターが家にある人は、写真用紙を一枚から試しに買いに行くのもよし、プリンターがない人は問い合わせをして、データやネガを持って行くのもよし、わたしのように写真用紙にまったく詳しくない人から、写真展常連のベテランまで、どんな人も写真の楽しみをぐっと広げてくれるのがモノグラフィーだと思います。わたしもこれから、いろんな種類の紙を試してみたく思っています。今度は光沢のあるものでやってみましょうかね。
小伝馬町には、徒歩圏によい写真ギャラリーがたくさんあるため、モノグラフィーに来ているお客さんも、写真好きの素敵な人たちで、「この中でどれがいいですかね?」と和気藹々と話し合ったり、意見をもらったりするのも面白かったです。モノグラフィーには「モノグラフィー写真部」もあって、とても楽しそうなので、興味のある方はぜひホームページをのぞいてみてください。https://www.monography.shop/
モノグラフィーのコムロミホさんとナツミさん。わたしは陰気な性格で、人見知りして、たいてい緊張でガチガチになりますが、モノグラフィーのみなさんの気さくな様子にすっかりリラックスして楽しく過ごしました。またお願いしたいです。
ひいらぎは、東京のお店ばかりを紹介して……と思っている皆さん、朗報です。モノグラフィーは、ネットでのプリント相談も可能ということをお伝えしておきます。自分のプリントに差を付けたい皆さんは、ぜひモノグラフィーへ。
この記事の、実物の仕上がりが見たいという方には、このたびわたくし、「4×4photography vol.8」展に出展しております。四谷三丁目ランプ坂ギャラリーにて2024年6月1日から6月9日まで開催中、よかったらご覧になってください。
「4×4photography vol.8」展で、この記事のプリントの実物が展示されていますのでよかったら。とても気に入ったので、展示が終わったら家に飾るつもりです。
https://photoandculture-tokyo.com/exhibision.php?i=239
PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。