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柊サナカのカメラ沼

第26話 ロモグラフィーとわたし

2023/11/07
柊サナカ

ロモグラフィーの遊び心が好きです。今回買い増した120フィルム。どれも好きなフィルムです。

 

 

この高騰し続けるフィルムの価格に、ほとほと弱り切っていたところへ、ブローニーフィルム(120フィルム)の価格を値下げします、というロモグラフィーの朗報が! このお知らせはフィルムを愛する人の間で、嬉しいニュースとなりました。ロモグラフィーのオンラインショップはこちらから。→https://shop.lomography.com/jp/
 

私が連載を始めた頃からもフィルムの値段は変わっています。よろしければこちらの記事を。こんなに安かったんだな、としみじみしますね……。→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=680

 

たぶん、他のフィルムメーカーだって値上げしたくて値上げしているわけではなく、材料費などの兼ね合いで、今の価格になっているのだと思いますが、ここへきてロモグラフィーの値下げは驚きました。
 
「毎年フィルムの価格が上昇していく中で、中古カメラの値段も上がり、中判ユーザーの数が減ってきています。そんな中判フィルムをロモグラフィーは“絶滅危惧種”に指定し、より多くの方に中判フィルムを使っていただくために様々な企画を行っていきます」(ホームページより引用)
 
ということです。嬉しいですね。→https://www.lomography.jp/magazine/352019-future-for-120-film

 

そういえばわたしも、中判フィルムに関しては、前のようにふらりと出て町中を撮ってくるというようではなくなり、計画を立てて、ここ一番の勝負の時にしか使わなくなっていました。必然的に出番も少なくなり……こんなことではせっかくのマキナ670もキエフ60も、防湿ケースの中で泣いています。

 

あるDPEで働いている人のX(Twitter)のポストによると、おととし扱ったブローニーフィルムは一年でゼロ回、去年も一回くらいしか扱わなかったとか。こうなると、ブローニーフィルム自体見たことのない人もいるかもしれません。
 

確かにブローニーフィルムは6×6で撮ると12枚撮り程度。一枚の枚数で割ると高い。高いですが、でも中判でしか味わえない密度とか深みとかが、あるじゃないですか。プリントしたときの濃密感もすばらしい。なのでロモグラフィーの今回の値下げはとても嬉しく、応援の意味でもさっそくいくつか注文しました。

 

思えばわたしとロモグラフィーの付き合いは長く、たしか2000年代の初めあたり、最初にカメラを買ってみようと手に入れたのが、サブカル雑誌で見かけたロモLC-A+でした。カメラ店でなく、書店で買ったのです。ロモ蔵くんがついているモデルでしたね。それからホルガ、ピールアパート式のフィルムを使うポラホルガ、アクションサンプラーなどいろいろ買って使いました。周りの人たちも皆、ロモを持っており、いわゆるカメラ好きとはまた違った層、日常の中で何か表現してみたいサブカル系の人たちに親和性があったように思います。その時代を覚えていらっしゃる読者の方いるでしょうか、説明書もなんだかファンキーで面白かったですよね。

 

ロモLC-A+を使っていたころの、昔の写真を引っ張り出してきました。2000年代前半です。

 

 

ロモLC-A+のこれも古い写真。ネギ畑。2000年代前半。

 

それから時は流れ、わたしはカメラ小説を書くようになったり、どっぷりカメラにはまっていくのですが、常にロモグラフィーのフィルムは使っていました。定番フィルムというわけではないのですが、旅行の時にも数本持って行くと、同じカメラでも、ラーメンの味変みたいに写真の雰囲気ががらりと変わって面白いのです。

 

わたしが愛してやまないフィルムは、ロモグラフィーのLomoChromeMetropolis(ロモクロームメトロポリス)。こちらのフィルムが好きなあまり、セット買いで購入したり、お店等で見かけるたびに買ったりしています。低彩度でコントラスト強め、色味がクールな感じで、無機質な建造物などにぴったりです。いつもはどこか庶民的な赤羽だって、クールな眠らない町、みたいな感じに写るのがいいです。今回も購入しました。ロモグラフィーには、大胆な色の変化を楽しめるフィルムもありますが、わたしはこのメトロポリスあたりの低彩度が好きです。

 

愛してやまないメトロポリス。低彩度が好きです。バスの中。(LeicaM3 summaron35 LomoChromeMetropolis)

 

メトロポリスの店先。(LeicaM3 summaron35 LomoChromeMetropolis)

 

メトロポリスの駅。(LeicaM3 summaron35 LomoChromeMetropolis)

 

赤羽もいつもよりクールに。(LeicaM3 summaron35 LomoChromeMetropolis)

 

ロモのフィルムは可愛いところがいろいろあって、110フィルムなんて特に、B&W Orca110 「ORCA」など名前がついていて、オルカ? と思ったらちゃんとフィルムの隅にいたりするのです。

 

大判カメラをポラロイドカメラに、という驚きのアイデア、ロモグラフロックも買いました。記事はこちら→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=66

 

かわいいオルカ。見つけたときには嬉しかったです。

 

中判AIGLONで撮りました。低彩度が好きです。(AIGLON LomoChromeMetropolis)

 

ロモグラフィーの、簡易スキャナーはいつも使ってます。これとスマホでスキャン完了なのは、とても手軽でいい。スキャン自体は手持ちのスマホかデジカメで済ませてしまいましょう、という思い切った設計で、値段も抑えめなのがうれしいです。35フィルムも120フィルムも使えます(110など特殊フィルムでもなんでもいけると思います)。こういうのを待っていた! と思いましたね。

 

ロモグラフィ―のスキャナー。手軽で使いやすく、発売当初から愛用しています。

 

あとロモキノ(35ミリフィルムを8ミリのようにぜいたくに使って動画を撮れる)ものも使いました。思い出すだけ挙げてみましたが、わたしのカメラ歴はこれだけロモグラフィーにお世話になっているのだなと改めて思いました。

 

ロモグラフィーの、写真を楽しむ雰囲気と独特のゆるさが、わたしにちょうど合っているのではないかと思います。一時期、他社で驚くようなエフェクトフィルム(どのコマにも火花や光があらかじめ入っている)が発売されたりしましたが、ロモグラフィーはそういった、あまりに奇抜なエフェクトの方面にはいかず、あくまでフィルムとしての個性を追求しているのも好きな点です。

 

中判カメラを、かっこいいつけもの石にしているみなさん、出番ですよ。ロモグラフィーを応援する意味でもストアを覗いてみましょう。わたしはLOMO LC-Aの中判であるLOMO LC-A120が気になっています。

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