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柊サナカのカメラ沼

第25話 ベスト判カメラをカラーで楽しむ

2023/10/03
柊サナカ

みなさんは、ベスト判カメラはお好きでしょうか。
 

ベスト判カメラというと、少し小ぶりでとても可愛く、お値段もこなれていて、状態のいいものも多いという、持ってよし撮ってよしの、すごく楽しいカメラなのです。

 

わたしの持っているベスト判カメラは、ローライフレックス4×4(ベビーローライ)(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=831)、コマフレックスS(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=2520)です。どうです、かわいいでしょう。手乗りカメラといっていいほど可愛らしいのです。
 

二眼レフで、スタンダードなローライフレックスは6×6ですので、それよりも4×4と、フィルムサイズが狭いのですね。それにより、カメラ自体も小さくでき、小さな鞄にもスッと入ります。お値段が気になる方は、ぜひJ-カメラ等で調べてみてください。この中古カメラ高騰をよそに、おっ、値段も可愛いな、と思うのではないでしょうか。

 

中判の二眼レフ、マミヤC330と大きさを比べてみました。 

 

こちらのベスト判の作例は、4×4フォトグラフィ展が毎年6月に開かれますので(→https://4x4photography.wixsite.com/4x4photography)、気になる方は、ぜひご覧になってください。面白いですよ。わたしも来年参加いたします。一緒にやりませんか。

 

なぜこんなにベスト判カメラが安いのかというと、理由があります。実は今、4×4サイズのベスト判フィルムを、現像できるラボがとても少ないからなのです。4×4サイズのベスト判は、通常の35ミリフィルムより幅が広く、ブローニーフィルムよりは狭いという特殊なサイズで、一般的な自動現像機には対応していないようです。なので、ベスト判カメラで写真を楽しむには、自家現像が必要となります……。(もしくは、プロラボ等の、対応してくれる写真店に頼むなどしなければなりません)
 

これでもう、ベスト判カメラは、ちょっとだけフィルムカメラやってみたいなという人の選択肢からは外れ、ベテラン勢の皆さんも、現像は昔さんざんやったからいいや、となって選択肢から外れ、カメラ市でも、転売関係のみなさんが見向きもせず、取り合いにもならないのですこぶる快適です。

 

ちなみにベスト判フィルムは、かわうそ商店で取り扱いがあります。以前、テレビ番組で「Youは何しに日本へ」という、外国人に来日の理由を聞くドキュメンタリー的なバラエティ番組があって、はるばる海外から、かわうそ商店さんでフィルムを買うために、北海道まで行っているのを見ました。彼が持っていたのはベスト判のカメラ。気持ちがすごくわかりました。ベスト判のみならずいろいろなフィルムが揃う、かわうそ商店さんのホームページはこちら。→https://kawauso.biz/

 

このベスト判フィルム、カラーフィルムも昔、当然あったそうなのですが、現在販売されているのは長らくモノクロフィルムばかりで、わたしもずっとモノクロでしか撮ったことがありませんでした。
 

しかしこのたび、かわうそ商店で、カラーのブローニーフィルムをカットして、それをベスト判にまき直し、スプールもベスト判のものを使った、ベスト判のカラーフィルムとして販売してくれることになりました。

 


こちらがカラーフィルム。小さくて可愛いですよ。(そのぶん巻きのカールは少々きついです)左端はフィルムケース。 

 

この、フィルムカットというのはわたしも試みようと思ったのですが、なにせフィルムなので、暗いところでカットしなければなりません。専用器具もあると聞きますが、刃の切れ味がわりとすぐに鈍るらしく、なかなか扱いが難しいのだとか。

 

ああ、もうわたしのベビーローライも、コマフレックスSも、カラーでは撮れないのだろうな、と諦めていたところの今回の発売、とても嬉しいです。反響があったために、かわうそ商店では、また商品化をお考えだそうで、再販売を心待ちにしています。この記事を読んでいる方にも、ようこそベスト判へ、と誘いたい気分です。

 

わたくし、普段は行きつけの写真店、カメラのマリア堂にカラーフィルムの現像をすべてお願いしていますが、ベスト判までは残念ながら、お願いできません。だからカラーフィルムがあっても、ラボで現像できないなら、あとあと困るのでは……?  とお思いの方に、こちらの記事をおすすめしたい。マリックスフィルムのカラー自家現像キットがあれば、ベスト判の現像も思いのままです。(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=2783

 

この自家現像キットで、ベスト判であるベビーローライもコマフレックスも、カラーフィルムを思いのままに現像できるとわかり、わくわくしてきました。

 

それでも、ベスト判の現像器具なんていまどきあるの? という方に、こちらパターソンの現像タンクをおすすめします。こちら、リールが三段階に幅が変えられるという優れもので、真ん中にベスト判の広さの溝があります。こちらの現像タンクで、ベスト判の現像は、ばっちりです。

 

パターソンのタンク。これで現像します。

 


パターソンのリール。幅を広げられます。広い方がベスト判です。 

 

カラー現像の大まかな流れは、こちらの記事をご覧いただくとして、(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=2783)少しだけ手間はかかりますが、現像できたときの達成感はすばらしいです。
 

どうでしょう。意外に簡単なカラー自家現像とセットで、ベスト判カメラを楽しむのはいかがでしょうか。

 

現像、うまくできたでしょうか。コーヒーカップ(KomaflexS, Kodak Gold400)

 

信号(KomaflexS, Kodak Gold400)

 

みかん(KomaflexS, Kodak Gold400)

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