top コラム柊サナカのカメラぶらり散歩第11話 番外編 マリックスのカラー現像液で、クロス自家現像に挑戦。

柊サナカのカメラぶらり散歩

第11話 番外編 マリックスのカラー現像液で、クロス自家現像に挑戦。

2023/09/12
柊サナカ

なんと8月、家族が順繰りにコロナに罹患してしまいました。こうなると、お盆休みの予定も全部キャンセルで、家に閉じこもるほかありません。経過は良く、二日間の発熱ですぐに良くなりましたが、まだの方は、コロナにかからず、元気でお過ごしください……。

 

家の中でこもっていますが元気なので、何かできないかな、と思いました。こうなると、はかどるのがフィルムの現像です。
 

この前、いきつけの写真店にクロス現像(ポジフィルムを、カラーC-41で現像すること:現像液に負担がかかる)を断られたところです。カラーのフィルム現像は今まで通り写真店にお願いするとして、手元にある、この撮影済みの期限切れポジフィルムをなんとか活用したいと考えました。

 

期限切れフィルム。今回はコダックのエクタクロームE100(2014年期限切れ)を使用。

 

C-41現像の自家現像キットがあるなら、もしかして、このポジフィルムを、自宅で自家クロス現像できるのではと思ったのです。
 

検索したら、今人気のマリックスフィルム(MARIX FIIM→https://marixfilm.com/)の自家製・カラーネガフィルム(C-41)現像キット(2023年8月現在 6,000円)がヒットしました。

 

マリックスフィルムの自家製・カラーネガフィルム(C-41)現像キット。よく考えられた使いやすいキットでおすすめです。

 

「マリックスフィルムは、2021年秋より低価格で安定供給できる国産フィルムブランドを目指してプロジェクトを立ち上げました」とあり、見てみると、エコパックでフィルム3本入りのセットもお安くてびっくり。(※マリックスフィルムは、現像所について制約がありますので、ホームページをご覧ください)

 

今までモノクロ自家現像はやったことがあっても、カラー自家現像に関しては試したことがありませんでした。以前にやった、モノクロリバーサル現像がものすごく難しくて、成功するまで何本も失敗した過去があるのです。(その苦闘の様子は番外編で→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=287)、なので、二の足を踏むというか……。とにかくカラー現像は温度管理が難しそうという先入観がありました。

 

数日でマリックスフィルムの自家製・カラーネガフィルム(C-41)現像キットが到着しました。こちらのキットには使用説明書がついてきます。それが詳細で、なおかつ現像のコツが満載、とてもわかりやすくてよかったです。説明書に基づき、密閉できる薬品瓶と、相性がいいとされる、非硬膜タイプの定着液(イルフォード・ジャパン シルバークロームBWラピッドフィクサー5L用)もヨドバシカメラで購入しました。
その他はモノクロ現像の道具が流用できます。

 

買い足した現像液と現像液保存用の一リットルタンク。

 

自家現像の道具一式。

 

  • 【必要なもの】
    ・マリックス自家製・カラーネガフィルム(C-41)現像キット
    ・ダークバッグ(我が家ではクローゼットの中で代用)
    ・現像タンクとリール(マスコタンク使用・モノクロ現像と兼用)
    ・計量カップ
    ・☆必ず! 正確な温度計(デジタルのもの どじょう水槽用の物を流用)
    ・タイマー
    ・停止液 酢酸など(モノクロ現像と兼用)
    ・ドライウェル(モノクロ現像と兼用)
    ・手袋(モノクロ現像の時はしませんが、このカラー現像キットはいかにも劇薬のような色をしていて怖かったので、していてよかったです)

 

あと、わたしは甘酒・ヨーグルト培養用の電化製品、ヨーグルティアを持っていて、それは25度から65度の間で、温度を一定に保てるという仕組みのものですが、真夏で、普通の湯せん方式でもあまり温度が下がらなかったので、そこまで必要性は感じませんでした。(冬なら絶対要りそう)他に、低温調理機をお使いの方も見かけます。
カラー現像の一番大きなコツは、いかに現像液の温度を38度にきちんと保てるかにかかっているようです。

 

一応準備したヨーグルティア。厚手のビニールを入れ、38度の温水で満たしました。冬に活躍させようと思います。

 

ヨーグルティアでこのように湯煎して使います。

 

今回は普通に湯煎で38度がキープできました。

 

  •  【作業工程】
     こちら、詳しいコツなどは、マリックスフィルムの説明書を読んでいただきたいと思います。
     1・前浴  温度を合わせるためにやりました。 
     2・現像  三分十五秒。モノクロと比べて短くあっという間です。電子温度計必須。
     3・停止  三十秒。
     4・水洗  
     5・漂白  五分。この漂白液が本当に毒の色という感じがします。
     6・水洗  色が出なくなるまで何度もやります。
     7・定着  五分。この定着液は、モノクロと併用できないそうです。
     8・水洗
     9・水切
     10・乾燥 

 

工程こそ多めに見えますが、モノクロ自家現像をなさっている人なら、漂白の手順が追加されるくらいで、無理なくできます。モノクロリバーサル現像とくらべてずっと易しく、おおざっぱなわたくしでも、一発で結果を得られました。
 

こちらのキットは半年、もしくはフィルム34本の現像ができますので、ひとつあったらカラー現像がいろいろ楽しめます。始めるなら、液温の管理がしやすい真夏がいいのではないでしょうか。
 

現像液は使っているうちにへたれてくるものですが、こちらのキットには最初から補充液がきちんとついているのも良い点です。ブローニーフィルムも現像できます。

 

あくまでマリックスフィルムの現像キットは、C-41カラー現像用なので、今回わたしがクロス現像をしてしまったことは、発売元としては想定外の使い方だったかもしれませんが、まったく問題なくできてよかったです。
 

実は、まだまだ期限切れリバーサルがあるので、クロス現像用に積極的に使っていこうと思います。

 

実際にクロス現像できたもの。色合いが不思議な色合いに。階段から。(BessaL, Super Wide Heliar15mm,Kodak EKTACHROME E100)

 

クロス現像と広角は相性がいい気がします。(BessaL, Super Wide Heliar15mm,Kodak EKTACHROME E100)

 

クロス現像。多重露光で不思議な雰囲気に。(BessaL, Super Wide Heliar15mm,Kodak EKTACHROME E100)

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