キヤノンEOS R1。オリンピックや国際大会で活躍する、フラッグシップ機の佇まいがあります。
みなさん、フラッグシップ機って使ってますか。
わたしと言えば、普段はライカA型と手動の距離計で写真を撮っています。日がな一日、フィルム一本、36枚を撮ったら(今日は良く撮ったなあ)としみじみ思うほどです。このたび、キヤノンのフラッグシップ機、技術の粋を尽くした最新のEOS R1を使ってみることに。ちなみにEOS R1は1秒間に40コマ撮れます。百年前と現代との差で風邪を引きそうです。
弘法筆を選ばず、と言いますが、非・弘法がめちゃくちゃ良い筆を使ったら、ものすごい書を書けるのか。同じく、だいたいピントのあやしい小説家が、キヤノンのフラッグシップ機を使ったら、もしかしてものすごい写真が撮れたりしないか、と思うのです。
とはいえ、わたしの周りには敏捷に動く人間がいません。子もわたしに似てノッソリ動いて、スポーツで活躍した試しがないのです。これでは秒間40コマの性能を生かせません。
キヤノンEOS R1には、対応するスポーツがあります。アクション優先AF対応スポーツとして、サッカー、バスケットボール、バレーボールの三種目が対象となっています。開発するときに、カメラのAIにこの三種目の動きを徹底的に覚え込ませたそう。どれも動きは速いし人は前後に入れ替わるし、撮るのは至難のわざのスポーツばかりです。この最新の機能、ぜひとも試してみたい……! というわけで、バスケットボールのBリーグのチケットを取りました。
シンプルなようでいて、とてもよく考えられているボタン配置。
実はわたくし、中学の頃はバスケ部だったのです。ポジションはベンチで、得意技は、すばやい水筒差し出しです。ルールはわかるので、キヤノンEOS R1とキヤノンRF24-240mm F4-6.3 IS USM を携えて、国立代々木競技場第二体育館に。
フラッグシップ機というと、大きくて重くて持ち運びが大変、というイメージがありましたし、望遠レンズもまた、とにかく重い筒、という先入観がありましたが、キヤノンEOS R1と、キヤノンRF24-240mm F4-6.3 IS USMの組み合わせに関しては、見た目よりずっと持ちやすい。なんでしょう、バランスでしょうか、グリップの形状でしょうか。重いカメラは嫌です……と思っていましたが、これなら女子のわたしでも一日中、疲れずに撮影に集中できそうです。
Infoボタンの斜め上に、格子の入ったボタンがありますが、これがマルチコントローラーボタン。レバーのように押して、AFフレームを自在に移動できたりします。
背面の液晶モニター。
ちなみに、Bリーグは動画・写真撮影に関して明確なルールがあります。(こちらをご参照ください→https://www.bleague.jp/news_detail/id=241580)
公式できちんと定義づけがなされていて、問い合わせにもしっかりお答えいただきました。バスケファンだけでなく、写真を撮る人間にもとてもありがたい方針です。こちらのPCTの記事では、権利上、Bリーグ試合中の写真は残念ながらとりあげることができません。個人のSNSでは写真を公開可能ということなので、EOS R1で試合を撮影した、わたしの実際の写真は各SNS(X、インスタグラム、フェイスブック)のリンクでご覧になってもらうとして、営利目的ではない、アマチュアの方のブログ等なら写真は公開可能です。ルールを守って、みなさまもぜひ試合と同時に撮影も楽しんでいただきたいと思います。
EOS R1のアクション優先AFは、いままで撮影者の技術と経験が頼りだった撮影に、強力なアシストをしてくれるそう。バスケットボールでAIが認識するのは、シュートやリバウンドの動作、パスやドリブル等々まで。ボールはここ、人はここ、なので写すべきはここ、とカメラの方で推測してくれるのです。しかも、誰が主要な動きをしているかまで、カメラの方で判断できるのだとか。この人、今からシュート打ちそうだな、準備しておこう、みたいなのもわかるということですよね。すごすぎ……! たぶん今まで、スポーツカメラマンはそのスポーツのことを知り尽くし、選手の動きまでだいだい予測しての撮影だったはずです。新聞社等では、スポーツの決定的瞬間に「動きに間に合わず撮れませんでした」とか「撮ったと思ったらピンボケでした」では済みませんから、ほんとうに厳しい世界だと思います。さてスポーツ写真はまったく初めての、小説家の写真はいかに!
※Bリーグのカメラ機材の定義に、カメラとレンズ合わせて30センチ以内、とありまして、まあ大丈夫だろうとEOS R1と、RF24-240mm F4-6.3 IS USMを持っていきましたが、現地ではかなり厳密な計測があります! ご注意を。係員の方が、カメラ機材用定規を持って席までやってきました。24-240mmはぎりぎり30センチに収まりましたが、ズームは禁止となりました。隣のお客様に迷惑にならないように、という配慮だと思います。わたしもルールを守って30センチ以上となるズームは使いませんでした。カメラをお持ちになる方は長さにご注意を。
全面にあるこの模様、彫ってあると思いますよね? 逆です、出っ張っているので、とてもグリップしやすいです。曲面のあるこのカメラ全面にこの模様をつけるのは、実は大変難しいのだそう。
カメラの論争では、「ダブルスロットがない!」とお怒りの人をよく見かけます。ダブルスロット要るかな? と思っていましたが、失敗のできない撮影だと確かに必要だなと。
オリンピックでも使われたフラッグシップ機EOS R1の威力はさすがにすさまじく、連射で撮るとコマ送りの動画のようで、その中で一番いい写真を選ぶような感じになりました。撮った写真は5928枚、その分セレクトにめちゃくちゃ時間がかかりました。
カメラの方でアクション優先機能・バスケットボールを選択して撮影に挑みました。半押しすると、ボールを持った選手に青枠が付きます。これがすごくて、迷うことがあまりありません。蛍光黄色のユニホーム、蛍光黄色の背景で、人間の目でも見にくい時にはさすがに青枠が迷っていましたが、それでも盛大にピントを外すことはなく、ゴール下の攻防では(ここは大事なところ!)というように全体に青枠がつきました。あと、学習させたのは日本人選手が多かったのでしょうか? 肌の色によって、とても濃い肌色の選手には少しAFが迷いがちなのでは? と思いました。
賢いなと思ったのは、カメラの方で、(いまからフリースローですね。心得ました)というように場面ごとに認識しているらしいこと。
バッテリーの様子。パリオリンピックの開会式が大雨だったことは記憶に新しいと思います。キヤノンEOS R1は、横殴りの雨が降るような屋外の撮影でも撮影を可能にする防水対策が全体になされているそう。
バッテリーの大きさはこの通り。大容量です。バッテリーを替えているうちにシュートが終わってました、となると目も当てられません。
わたしは国立代々木競技場 第二体育館の最後列で、ほとんどズームなしで撮影しましたが、写真の方は各SNSを参照していただきたい。ズーム禁止、スポーツ写真の撮影が初めての撮影にしては撮れた方だなと思いました。スポーツ写真のプロフェッショナルの方がコート脇で撮ったら、EOS R1の強力アシストで、もっとすごい瞬間を切り取れただろうなと思います。
はじめてBリーグを見ましたが、本当に面白かったです。サンロッカーズ渋谷と、シーホース三河の試合は大接戦で、会場の雰囲気はどんどん盛り上がりました。ラスト5分の攻防はわたしも固唾を飲み、思わず立ち上がりかけるほどの興奮です。スリーポイントシュートを目で追って、観客全員の時が止まるような瞬間や、生で見るダンクシュートの迫力といったらありません。全力を尽くす選手の動きのなんと美しいこと! 何より、観客みんなで盛り上げて楽しもうというBリーグ運営の姿勢がいいですね。またぜひ観に行きたいと思います。
柊さんの撮影した写真はこちらから!
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EOS R1付属のストラップは、プロの写真家が手に巻いて使いやすいように柔らかめ、しかもしなやかな素材で開発されたそう。確かにやわらかく手に巻きやすいです。
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