top コラム柊サナカのカメラぶらり散歩第13話 大宮「鉄道博物館」

柊サナカのカメラぶらり散歩

第13話 大宮「鉄道博物館」

2023/11/21
柊サナカ

マニアでなくとも見ごたえのある鉄道博物館。

 

 

行く度に綺麗に、豪華になっていく博物館を見ると気持ちのいいものですね。大宮にある鉄道博物館は、ファン層の厚さと新規ファンの多さにいつも驚かされます。

 

わたしの息子が子供の頃から鉄道好きなために、鉄道博物館にはたびたび訪れていますが、ちびっこから大人まで、鉄道を眺める目のなんと嬉しそうなこと。わたしもさすがにSLと電車の区別くらいはつきますが、正直に言うと、鉄道はどれも全部だいたい同じに見えていて、何千系がどうとかいう話にはまったくついていけません。それでも鉄道博物館は面白い。
 

出かけていく先でも、カメラは遠慮してください、という場所もあれば、逆にカメラでどんどん撮ってくださいね、という場所もあります。鉄道博物館はスマホだけではなく、気合いの入ったカメラを下げている人をよく見かけます。思う存分、いろんな鉄道の写真を撮れる楽しい場所でもあります。

 

ちびっこから大人までみんな楽しそう。

 

昔の駅のホームも再現。

 

美しいSL。

 

いや、特に鉄道には興味ないし……、と思っている人にも、楽しめるような仕掛けがたくさんあります。今回驚いたのは、鉄道+プロジェクションマッピングで、乗ると電車が渓谷を走っているような車窓の仕掛けがあったりするところ。外からは、レトロな鉄道に乗車した乗客のシルエットが映ったり、雨が降ってきたりと飽きさせません。

 

鉄道だけでなく、ホームのレトロな様子や、当時の様子を伝えるインテリアなどもきちんとそろっています。例えば昔、新幹線には薄い紙のコップがあって、それを広げて、水入れ器で水を入れて飲んでましたよね? あと、電車に吸い殻を入れるゴミ箱がついていたり、昔の、ポリエステルのお茶のセット(白っぽくて中に緑茶のパックを入れる)が置いてあったり。知っている人には(あっこれ懐かしい……!)とノスタルジーに浸れること間違いありません。実際に座席に座ったりできるのもいい。

 

プロジェクションマッピングによるいろんな仕掛けが。はらはら散っているのは桜の花びらです。

 

眺めるだけでなくて中にも乗れるのがいいですね。

 

懐かしい寝台車。一度だけ乗ったことがあります。

 

中に乗ると、仕掛けがあって車窓の風景が動きます。

 

ノスタルジーといえば、みなさんは食堂車にはなじみがあるのでしょうか。それほど電車移動をしなかったということもあって、残念ながらわたしは食堂車にはまったく覚えがありません。
 

せっかくなので、昼食は食堂車をテーマとした「トレインレストラン日本食堂」に行ってみました。概して○○館のお昼には期待できないものですが、こちらの「トレインレストラン日本食堂」は、さすがに美味しく、復刻した食堂車のカレーも、オムレツもふわっふわで良かったです。平日午前中でも、線路が見える窓際は混んでおり順番待ちができていました。昔の食堂車が、そのままこのような感じなのかはわかりませんが、店員さんの制服や、テーブル上のインテリアもレトロでとてもいい感じです。

 

食堂車を模したレストラン。

 

懐かしい人は全員中年。(水飲み器)

 

鉄道博物館には、マニアの大人もがっつり楽しめるような体験シミュレーターがあります。息子はSLの運転にチャレンジ。初級とはいえ、やることがいっぱいあってすごく忙しそうでした。SLの運転って、難しいんですね……。マルチタスクがまったくできないわたしには、SLの運転はできそうにありません。鉄道博物館で、こういった運転シミュレーター系のものは、以前は確か、整理券をもらったりとけっこう大変だったのですが、今はもうアプリで抽選できるようになっていて、それもありがたいなと思います。残念ながら抽選に外れても、順番を並んで待てば必ず体験できる運転シミュレーターがあるので安心です。

 

鉄道と言えば、「鉄道ファン」「鉄おも」などの鉄道雑誌を子が愛読しています。書店でも、鉄道雑誌コーナーの熱気にはいつもうらやましさを感じます。絶対に今後もちびっこ含め新たなファンが生まれ続け、先細りしないという安定感があります。一部の過激な撮り鉄界隈のことで、ルールを守って撮影している紳士淑女の撮り鉄のみなさんは、肩身のせまい思いをしているかもしれませんが、カメラ業界にこれだけ貢献しているファン層は、他にそうそうないのではないかと思っています。

 

SLシミュレーターは、本物そっくりでけっこう揺れます。汽笛も鳴らせてかっこいい。車窓の様子も変わるので、ぜひお試しを。 

 

ものすごい規模の鉄道模型も。大人も子供もじっくり見ています。

 

鉄道博物館の脇には線路が走っていて、中庭のところで旗を配っていました。どうやら今から「四季島」という珍しい鉄道が通るそうで、みんなで旗を振って四季島をお見送りしましょう、とのことでした。鉄道の通過を待つというのは人生で初めてでしたが、来た四季島も金に光って美しく、ミュージックホーンも鳴らして旗振りのみなさんに応えていて、たいへん面白かったです。今まで特定の鉄道に乗りたいとあまり思ったことなく人生を送っていましたが、この四季島には乗ってみたいなと思いました。
 

後で調べて、内装、食事など、その素晴らしいコースの内容にうなり、料金を見てちょっと黙ってしまいました。それでも人生で一度は乗ってみたいですね。

 

しっかり見ようと思えば一日ではとても見終われないほどの、情報量のある鉄道博物館、特別な鉄道好きではなくとも、カメラを持って行くと楽しい場所なので、ぜひおすすめしたいです。
 

外に出ると旗を配られました。なにやらめずらしい電車が通るそう?

 

外で四季島をみんなでお見送り。


(写真はすべてリコーGR Ⅲxで撮影)

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