ゴールデンウィークなんかの大型連休なんて、どこも混んでいてカメラどころではない、とくに観光地なんかは! とお怒りの向きもあろうかと思います。確かにどこも人でいっぱい、激混みですよね。どこを撮っても人が写り込んでしまうし。かといって暗いうちから移動して最前列待機、開場とともにカメラを抱えて猛ダッシュ、なんていう元気は、身体のどこを探してもありません。
人でめちゃくちゃ混んでいても、いい写真が撮れるところ、ないかな? とお思いの方。そんな場所があるはずなかろうと思っている方へ、あしかがフラワーパークをおすすめしたい。
あしかがフラワーパークはの藤の見ごろにはツアーも組まれ、全国から花を見にくるそうです。ゴールデンウィーク中日の平日、朝十時時点の混み具合はこの感じ。
そんな人がぎゅうぎゅうに混んでいる中で花とか見ても……、とテンションが今下がりましたか? この、あしかがフラワーパーク、花好きはもちろん、カメラ好きにも一見の価値があると思います。なぜなら、園内はツツジやバラ、クレマチスなどいろんな花が美しいのですが、あしかがフラワーパークで一番の見所は、巨大な藤棚なのです。
どこを見ても人・人・人……なのですが、視界が開けてくると一面の花が見えてきました。
藤の形を想像していただきたい。真ん中に幹があり、大きな藤棚いっぱいに枝を広げています。幹の回りは人が踏みつけて、根が傷まないように大きく囲いがしてあります。ということは、藤の幹まで近づいて撮るような観光客がいない。そこで取り出したのがSIGMA fpに超広角、フォクトレンダーウルトラワイドヘリアー12mm F5.6 です。
藤棚が見えましたがやっぱりすごい人で、(すっかり出遅れたなあ)と心配に。
中に入ると、藤の根元には囲いがしてあって、人が入れないようにしてあります。
超広角で大藤を狙うと、なんということでしょう、あれだけいた観光客はほとんど端の方で目立たなくなります。フォトスポットに長蛇の列ができて、なかなか順番が回ってこずにイライラがつのるようなことはありません。誰にでも、昼前にのんびりやってきた小説家にも、平等にシャッターチャンスをくれるのが藤なのだなと……偉大な花です。園内にはカメラを持った人も多く、機材鑑賞もまた面白い。
藤棚の写真。(SIGMA fp・ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6・絞りF5.6・1/40秒・ISO100)
上と同じ写真ですが、背景に写りこんだ人たちをLightroomで加工して消してみました。AIの消しゴム機能が進化していて驚きます。
さすが大藤、綺麗だなあ……と撮りまくっていて、何かがちょっとおかしいな? と思ったのはフラワーパークを出た数時間後でした。何がどうなってどこをどう押してしまったのか、なんと大藤のあたりからISO25600で撮影していたのです。五時起きで準備して現地に向かったのに……! こんなに咲くのは一年にこの時期だけなのに! 正直、あまりの失敗にふらふらになりましたが、じゃあノイズがどのくらい出るのか検証していく記事にしようと思い直しました。
この写真を何時間もかけて撮りに行ったのになぜわたしはISO25600に……。1/3200秒って何? それでもSIGMA fpの性能か、そこまでザラザラにはなっていないようです。でももっと綺麗に撮れたはず。これからはまめにチェックする癖をつけます。(SIGMA fp・ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6・F5.6・1/3200秒・ISO25600)
こちらが加工前のものです。SIGMA fpの性能か、そこまで大きなノイズはないように思います。そして加工後の一枚。加工はAdobeのLightroomを使いました。
こちらは上の写真をできる限り加工してみたもの。背景のお客さんも消えてもらいました。
藤棚も一種類だけでなくいろいろな種類があり、藤のアーチなんかもあったりして、年々バラやクレマチス、ツツジなどの花も充実、素晴らしくなっているとか。あしかがフラワーパーク側でも藤の季節は稼ぎ時なのか、いい意味で、大人数の接客に慣れており、混んでいてもストレスを感じません。いたるところにゆっくりできるベンチや椅子が置いてあり、のんびりと過ごせるものいい。藤や園内の植物が気に入ったら苗も買って帰れるようで、藤の苗を持っている人がけっこういました。わたしも自分の家に藤棚を……と思いましたが、絶対向いていないと皆から言われたのでやめておきます。
人は多いですが、中には池があったりベンチでのんびりできるスペースがあったりと来場者を飽きさせない工夫が楽しいです。藤と言うと紫のイメージですが、白い藤も美しいですね。
これはオオデマリでしょうか。庭のシンボルツリーを探している人は、園内で絶対に気になる樹木を見付けられそう。(苗のショップも充実してます)
藤棚は来年五月のちょうどゴールデンウィークに見ごろになりますので、みなさまもぜひ。わたしはこのISO25600をもう一度納得する形で撮りたいのでまた行きます……。
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