top コラム柊サナカのカメラぶらり散歩第8話 カメラを持って山へ行こう

柊サナカのカメラぶらり散歩

第8話 カメラを持って山へ行こう

2023/06/20
柊サナカ

斜面(ベッサL,スーパーワイドヘリアー15mm,富士フイルム スーペリアプレミアム400)

 

みなさんは、登山には何のカメラを持っていきますか?

 

わたしは「このミステリーがすごい大賞」隠し玉で、作家として9年前にデビューしました。
先日、その、同じこのミス大賞の先輩作家である伽古屋圭一さんが、自身でやっている登山YouTubeチャンネル「カコヤの山旅心地」で、新たに作家と一緒に山に登るシリーズ「やまめしとーく」を始めたい、ということで、第一回作家ゲストとして参加させていたただきました。内容は、あれこれ話しながら登山→頂上で山ごはん、という流れです。

 

せっかく普段行かない山に行くなら、カメラを持っていきたいじゃないですか。家にあるカメラの中だったら、どんなカメラがいいかなと迷う時間も楽しい。 
 
条件1 軽いこと。
条件2 少々の雨なら対応できること(小雨予報だったので)。 
条件3 できるだけレンズ交換無しで撮れること。


というわけで、まずひとつ目は日常使いの愛機、リコーGR Ⅲです。ⅢxでなくてⅢの方にしたのは、山なので広めの画角(28mm)が欲しいなと思ったことと、フィルムでなくデジタル機も持っておきたいと思ったからです。こちらは小さいのでザックの横ポケットにも入り、とても便利でした。
 

二つ目はフィルム機、ベッサLにスーパーワイドヘリアー15mmを付けて、セットのファインダーも付けました。山で超広角を使ってみたかったからです。こちらは首から提げました。露出計がついているので、いつもの単体露出計は持っていきませんでした。
 

三つ目は久しぶりに使う、360度カメラ、リコーTheta SCです。こちらは棒のようにコンパクトで、ザックのストラップの前ポケットに収まりました。
 

この三つの組み合わせ、総重量にして875グラム、なかなかコンパクトにおさまりました。本当なら中判を持って行きたかったですが、山の途中でへばりそうなのであきらめました。

 

山に持っていくカメラ三つ。リコーGR Ⅲ、ベッサL+スーパーワイドヘリアー15mm、リコーThetaSC。

 

さて、池袋から埼玉県、飯能市の東吾野駅まで1時間13分、もうそこは新緑豊かな地です。駅にも、本格的な登山服に身を包んだグループの人をたくさん見かけます。どうやら、ここは登山コースとしてもかなり有名な場所のようです。いきなり縦走などは無理なので、小一時間で登れるユガテ(埼玉県、飯能市の集落のことをこのように言うらしいです)まで。

 

わたしは瀬戸内海生まれのためか普段、山にまったく縁が無く、山登りするのも10年以上ぶりとあって、山の傾斜にまず(アカン……)となりました。あたりまえですが山、すごい坂です。平地の山がいいと切に思いました。突如立ちはだかる垂直の壁! と戦慄しましたが、それは普段山に登らないわたくし視点なので、ユガテ行きは、実はのんびり初心者コースだったようです。

 

しかし、山は空気もしっとりと澄んでいて、山道には誰もおらず、足音のみがします。どこからか鳥の美しい声が響き渡り、そのうちに小雨が降ってきて、山全体にしとしとと微かな音がします。見上げるような巨木の間を渡るため、こちらまでは雨がかからず、ああ、人とはなんと小さな存在である事よと感じました。

 

東吾野駅。(リコーGR Ⅲ)

 


ユガテ方面登口。(リコーGR Ⅲ) 

 

人間、仕事とまったく違う趣味があるのも良いものです。暗室に入る時には、仕事のことは忘れますが、同じように、山を歩いていると、締め切りや物欲などのことも忘れて、頭の中がクリアになっていきます。山、いいなと思いました。

 

ザックの横ポケットからGR Ⅲを取り出して山道を撮ります。山道は暗かったり、急に道が開けて明るくなったりしますが、GRなら、どちらにもすぐに対応できて便利です。28mmは部屋の中などには、いらないものが写りすぎて(特に散らかりがちの自宅などでは)困ることもあります。まさに広角レンズは視界に広がりを持つ山向きだなと思います。GRにはイメージコントロールでネガフィルム調があるのでそれにしました。ザックからすぐに取り出して手持ち撮影。

 

ユガテ到着。(リコーGR Ⅲ)

 

ずいぶんしばらくぶりになってしまった、リコーTheta SCでも撮影しました。360度カメラで、これは初代ですが、性能も良く小雨の降った雨粒まで綺麗に写っています。LINEを使って、相手にも360度ぐるぐる回せる写真をそのまま送ることができるので、その場の臨場感を後でぐるぐる回して見返すことができて楽しいですね。スマホとの接続もすんなりできて楽でした。純正の自撮り棒を買って持っていけばよかったなと思いました。

 

山の中の360度カメラ。本来ならばぐるぐる回せます。(リコーThetaSC)

 

山の中の360度カメラ。別角度。(リコーThetaSC) 

 

先週のコラムでも取り上げましたが、メインとなるのはベッサL、スーパーワイドヘリアー15mmをつけて、専用ファインダーも付けました。フィルムはフジフイルムの、スーペリアプレミアム400にしました。この組み合わせが山で大活躍でした。いいなと思ったらサッと持ち上げてファインダーを覗いて撮影、露出計も内蔵されておりわかりやすく、シャッタースピードも何と1/2000まで撮れるという高性能、いままでベッサLは正直に言ってまったく使いこなせていませんでしたが、ようやく、山に持っていくカメラだったのか、と腑に落ちました。こうなったらウルトラワイドヘリアー12mmもほしい。

 

山道。(ベッサL,スーパーワイドヘリアー15mm,富士フイルム スーペリアプレミアム400)

 

山の中と先輩。(ベッサL,スーパーワイドヘリアー15mm,富士フイルム スーペリアプレミアム400

 

ユガテに着いたら、山ごはんを食べます。登山のあとに食べるご飯はびっくりするくらいおいしく、それだけでも登った甲斐があろうというものです。

 

カメラを持って、どこに行こうかと迷ったときに、山という選択肢もいいなと思いました。「やまめしとーく」ゲストに誘ってくれた伽古屋先輩に感謝です。普段使いしていないカメラの力を知ることができたのも大きな収穫でした。

 

お昼はホットドッグ、デザートのホットケーキ。(リコーGR Ⅲ)

 

帰りの電車。(ベッサL,スーパーワイドヘリアー15mm,富士フイルム スーペリアプレミアム400)

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