インターメディアテク。大人も子供も楽しめる知の宝箱です。
東京駅近辺では、息をするのもお金がかかる――と思いませんか。どこへ行っても人だらけ、カフェは満席、カメラを持って右往左往。子連れだともっと困る。ほっと気持ちが安らげるような場所はないものか。
すべてを解決する場所が、東京駅からわずか徒歩五分のところにあります。
「インターメディアテク」は、東京大学と日本郵政が協働して運営する博物館で、東京駅から歩いてすぐのKITTEの二階です。へえ、博物館なんて行って面白いの? という人こそ、ぜひにおすすめします。
なにしろ、東京大学が明治十年から集めた、学術標本や資料が所狭しと並んでいるのです。ただ、標本が無造作に並んでいるのではなく、什器にしても世界観にしても、こだわりきった美しさで、まさに知の万華鏡のよう。
東京大学医学部本館の小講堂(1936年竣工)で実際に使われていた机などを移設したもの。歴史に思いを馳せます。
研究室にお邪魔しているような雰囲気で、博物館の中を巡ります。
博物館系の施設は、往々にして写真撮影が禁止だったりするのですが、こちらはエジプトのミイラなど撮影できないものもあるにせよ、ほとんどのものが撮影可能です。標本の保護のため、フラッシュ撮影は禁じられていますのでご注意を。
巨大な骨格標本に鉱物標本、幼い日に図鑑を見てわくわくした気持ちを思い出します。どれも貴重なものばかりで、大人も楽しめますし、子供の知的好奇心を育てるのにもよい空間です。本物の標本ならではの迫力のなせる技でしょうか、行く度に子供も大人も熱心に標本に見入っている姿を見かけます。光の入り方が美しいのもすばらしい。
骨格標本には独特の美しさがあると思いませんか。
貝類の標本も素晴らしい。
ライトアップされているタカアシガニの標本。
骨格標本を収める棚にもご注目。
常設展にはカメラの展示もありますので、ぜひ探してみてください。漫画・小説等で創作をなさる方にとっても、夢中になれる空間ではないでしょうか。じっくり見ていけばとても一日では見きれないほどの密度ですし、何度行っても発見があります。
カメラもところどころにありますよ。実際に研究でも用いられていたであろう大判カメラ。このカメラは何を写したのでしょう。
上階(三階)に上がるとすぐ、カメラだ! と思いましたが、一番左は測量機でした。
顕微鏡はやはりライツ製でした。
蓄音機のコレクションも興味深い。
機械にも美を感じます。
東京駅近辺で、時間が空いたときにふらりと向かうという方も多いようです。観光でいらした方にも、十分な見応えがあると思います。
このインターメディアテクでは、特別展もやっているので、展示替えのたびに新しい発見があります。今回の特別展は日本と台湾の蘭の研究をめぐる「台湾蘭花百姿ー東京展」。東京大学には、台湾の蘭を収集調査してきた、研究の歴史が蓄積されているそうです。
日本と台湾の蘭の研究をめぐる「台湾蘭花百姿ー東京展」。東京展のあと、台北の国立歴史博物館で巡回展をするそう。
緻密なタイワンバニラの植物画。
生涯をかけて日本、台湾、南米の蘭を採集したという瀬川孝吉のラン科植物標本も素晴らしいですし、植物自体には興味がない方も、蘭の植物画をご覧になると、その複雑で美しい姿に目を見張ることでしょう。
台湾のツォウ族では、タイワンキバナノセッコクという黄色い蘭は、戦祭の儀式に使われる大切な蘭だそう。可憐な蘭が屈強な戦士の髪を飾っていたとは、なんだか面白いですね。(「台湾蘭花百姿ー東京展」図録 P058より)
「台湾蘭花百姿ー東京展」図録。
『本草図譜』。文政11年完成、岩崎灌園が20年の年月をかけて完成させた当時最大の植物図鑑だそう。図鑑好きのわたくし、見入ってしまいました。
東京駅近辺のカメラ散歩の計画の中に、ぜひ「インターメディアテク」を。
名残惜しく、最後にもう一度眺めて帰りました。インターメディアテク、おすすめです。
- 「インターメディアテク」
住所:東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3階
入館料:無料- 開館時間:11:00-18:00(金・土は20時まで開館)
*上記時間は変更する場合があります。- 休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日休館)、年末年始、その他館が定める日
- 問い合わせ: 050-5541-8600
https://www.intermediatheque.jp
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