top コラム柊サナカのカメラぶらり散歩第15話池袋、サンシャイン水族館へカメラ武者修行

柊サナカのカメラぶらり散歩

第15話池袋、サンシャイン水族館へカメラ武者修行

2024/01/23

柊サナカ

「写真が趣味だったら、結婚式で写真撮ってよ」と言われることってありませんか。わたしは写真初心者の頃、「いいよー、任せて！」といい返事をし、買ったばかりのニコンD300を持って親戚の結婚式に意気揚々と行ったことがあります。わたしは知りませんでした。結婚式の撮影があんなに難しいということを……！
　

もちろん、式場にはプロのカメラマンがいましたから、わたしは主に料理とか列席者の写真を撮って欲しいと頼まれており、あくまで補助的なものです。でも新婦の顔は真っ白になり、新郎の顔は真っ黒に。照明も衣装もくるくる変わるのでそのたびにあたふた、立ち位置もぶっつけ本番なので変な位置に誰かの頭が入っている、できた写真はISOを上げすぎてジャギジャギだったり、それはもう、さんざんなものでした。
初心者ほど、「結婚式？　プロなんていらないでしょ、高いし。わたしが撮ってあげるよ」となりがちですが、あれほどプロの技と段取りがないと上手に撮れない場所はないなと思いました。あとでプロの写真を見せてもらい、（これからはおとなしく料理の写真だけ撮ってます）と誓ったものです。あのとき、式場にプロのカメラマンがいてよかった……。

さて、結婚式も難しいですが、難易度の高い撮影スポットは他にもあります。それは水族館。極論を言ってしまえばスマホなら用は足りるかもしれません、でもスマホの写真は全体に補正がガッツリ効いていて、こういうんじゃないんだよなあ、となりませんか。もっとカメラでの写真表現を……！　と思いますが、水族館はなにしろ暗い。三脚、フラッシュはもちろん使えません。展示によっても明るさがころころ変わったりします。魚の動きも素早い。わたしは水族館が好きで、年間パスポートを持っていたくらい大好きなのですが、水族館での撮影を密かに修行と呼んでおり、カメラに慣れたかどうかの検定試験の場だとも思っています。

^{サンシャイン水族館。平日の朝一ではこのような感じ。係の方もクリスマスの格好をしています。（リコーGR Ⅲx）}

中でも好きなのが池袋のサンシャイン水族館で、その立地、規模感も含めてとても気に入っています。土日はさすがに人でいっぱいですが、写真を撮るのが目的なら、天気の悪い日の、午前中の朝一が一番おすすめです。相棒であるGR Ⅲxと、今回新しく買ったSIGMA fpに、足りない画角の12mm、フォクトレンダーのウルトラワイドヘリアーをつけていくことにしました。この二つはカメラ自体がとてもコンパクトなので、水族館という屋内の場所でも人様の邪魔になりません。

^{入り口近くのイワシの群れにいつも圧倒されます。美しい。（SIGMA fp, Voigtlander ULTRA WIDE-HELIAR 12mm）}

^{本日の二台SIGMA fpとリコーGR Ⅲx。取り回しがよく楽しい撮影となりました。}

人でにぎわっている水族館も活気があって面白いですし、人の少ない時間帯の水族館というのもなかなか趣深いものです。水族館に12mmの超広角を持って行くのは初めてでした。これが大正解で、クラゲの大水槽などを撮ってもとても面白い。誰も居ない中、クラゲが音もなく漂う大空間を独り占めにでき、静かでとても良かったです。しばらく眺めて過ごしました。

大水槽を撮ったり、珍しい熱帯魚を見物したり、童心に返ってじっくり楽しめます。外がどれだけ寒かろうが中は適温、子連れだと「もう次見たい」とごねられたりしますが、大ダコを何分見たっていいのです。