みなさんご存じ「芥川賞」は、純文学作品を選ぶ文学賞です。
ではこの「芥川賞」が、どうやって決まるかはご存じでしょうか。本が売れた・売れないは純文学の賞なので、選考には関係ありません。いわゆるミステリーやホラーなどの大衆小説的な面白さより、人間の心の動きや機微が重視されます。エンタメよりアート寄りだと言えるでしょう。芥川賞候補にノミネートされた作品を、選考委員が会議で議論し、どの作品が芥川賞にふさわしいかを決定します。
さて、この「芥川賞」にノミネートされるには、必ず必要なものがあります。それが何かというと、「新潮」「文學界」「群像」等々の文芸誌です。そこに掲載されないと、例えばウェブで発表されたすばらしい小説でも、賞の候補にはノミネートされません。
本は一日で、なんと二百冊ほど発売されるそう。それが一年となると、どのくらいの小説が発表されるのか気が遠くなるほどです。ウェブも含めるともっと多くなり、全部の小説に目を通すのは不可能です。それで、権威ある文芸誌に掲載された作品を、まず賞の候補にノミネートし、その中から選ぶというようになっているのですね。
小説には文芸誌がある、となれば、写真にも文芸誌的な立ち位置のものは必要なのではないかと思います。わたしはそれこそが雑誌『写真』なのだと思っています。写真も一年で無数に発表されるからです。全国の個展を全部見て回るのはどんな人でも不可能です。その中で、第一線の写真表現とはどんなものか、どんな写真家がいま評価されているのか、気になりますよね?
とはいえ雑誌『写真』って、なんだか難しそうだな? と思う方もいるかもしれません。
そういう方こそ、雑誌『写真』をぜひ、お手に取ってめくっていただきたい。写真はいつしかスマホの中の小さな画面越しに見るものとなってしまいましたが、それとは違う印刷の迫力と質感、厚みのある紙質、手の中に確かに存在するという物質の強さを感じます。
純文学を志す人間が五大文芸誌を必ず読むように、写真家を志す人にとって、雑誌『写真』は必読の書となっています。


雑誌『写真』のバックナンバーも販売。じっくり読んでいくと面白いです。
このたびわたしは、雑誌『写真』第8号刊行記念展オープニングレセプションに行ってきました。お餅つきタイムがあったり、おもてなしのお料理があったり、ふげん社の中は大盛況、どこを向いても本などで見かけた著名な写真家の方々が写真談義などされていて、たいへん熱気のある空間でした。写真科の学生さん、また新しく暗室を開こうとしている方など、写真好きが一同に介して雑誌『写真』第8号のお祝いをするといった、和やかな雰囲気でした。

外からの風景

お餅つきでお出迎え。みなさまにつきたてのお餅が振舞われました。

お餅はモチモチでとても美味しかったです。

写真集もたくさん販売されています。

ふげん社渡辺薫代表と雑誌『写真』村上仁一編集長(PCT)。雑誌『写真』に関して、「次にこれをとっておこうっていうのをやめて、毎回全力でやっていこうという気持ちになっています」とのこと。

雑誌『写真』統括アドバイザー飯沢耕太郎氏の挨拶。「もう(創刊から)4年経ってるんですね。もしかしたら、パーティーとしてこうやって開催した中で、一番盛り上がってない? 一回一回の積み上げみたいなことを感じるね」

写真展「Telescope」を開催中の坂木陽氏。「雑誌『写真』は写真好きにすごく読まれていて、次世代につながって、写真界が活性化するような、すごくいい希望の雑誌だなと思っていたので、まさか載せていただけるとは、とても嬉しいです」
関根史副編集長の挨拶の中で、
- ——年の初めに長野県立美術館に行って北島さんの展示を拝見したんですけれども、その作家を知る非常に大切な資料として、日本カメラとかの雑誌が資料としてしっかり整理されているんですね。
やはり雑誌というのは、その時代に生きる作家の仕事と、その時に考えていたことをしっかりとそこに紙で残す、大切なメディアだと思います。時代を経ていった時にすごく効力を発するメディアだとも思います——
という言葉が心に残っています。

関根史副編集長(ふげん社)

元「日本カメラ」編集長佐々木氏(PCT)。ご病気から不屈の闘志で回復なさってよかった。発信されることは、同じ病気をした人にも励みになっていると思います。「もともと日本カメラの編集長やってて色々ありました。それで新しい会社PCTを村上と頑張って作った。雑誌『写真』は、ふげん社さんとか隣の飯沢さんをはじめとする、みんなの協力でできている」

最後の締めの挨拶は写真家・伊奈英次氏。「圏外の目——伊奈英次の写真世界」が荏原 畠山美術館で開催中。
ホームページサービスの終了に伴い、貴重な過去の資料が一瞬で消えてしまったりするのを目の当たりにしました。ウェブ優勢のいまこそ、雑誌という形は大切にしなければならないものだと改めて思います。
オープニングレセプションの場所は目黒のふげん社。参加費は3500円で、雑誌『写真』(定価3300円)とワンドリンクがつきます。刊行記念展として坂木陽写真展「Telescope」も開催、作家ご本人も在廊、挨拶され、よい日となりました。最新の写真表現にご興味のある方はぜひ。

目黒のふげん社。本もギャラリーもコーヒーも美味しい、居心地のいい場所です。
雑誌『写真』(Sha Shin Magazine)vol.8
2026年1月20日発行
定価:3,000円(税別)
発行人:渡辺 薫
編集長:村上仁一
統括アドバイザー:飯沢耕太郎
造本設計:町口 覚
発行:ふげん社
https://photoandculturetokyo.stores.jp/items/696b2313155f2df598045e4e
雑誌『写真』vol.8刊行記念
坂本 陽 個展「Telescope」
会期:2026年1月30日(金)〜3月1日(日)
開館時間:水〜金 12:00〜19:00 土・日 12:00〜18:00
休廊:月曜日、火曜日、祝日(2月11日)
会場:ふげん社 〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12
TEL:03-6264-3665
https://fugensha.jp/events/260130sakamoto/
ギャラリートーク
坂本陽×村上仁一(雑誌『写真』編集長)
日時:2月15日(日)14:00〜15:30
参加費:1200円(会場観覧・オンライン配信)
※オンライン配信のアーカイブ視聴は 2025年3月15日(日)まで
飯沢耕太郎(写真評論家)×光田ゆり(美術評論家)
「安井仲治とは何者だったのか」
日時:2026年2月22日(日)14:00〜15:30
参加費:1200円(会場観覧・オンライン配信)
※オンライン配信のアーカイブ視聴は 2025年3月22日(日)まで
https://fugensha-shop.stores.jp/?category_id=61dbb0a8c15c5a77c5026c7a


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