top コラム柊サナカのカメラぶらり散歩第6話 都電荒川線、カメラ散歩1000円旅(早稲田から王子編)

柊サナカのカメラぶらり散歩

第6話 都電荒川線、カメラ散歩1000円旅(早稲田から王子編)

2023/04/18
柊サナカ

せっかくの休みなのに天気がいまいち、カメラで何か撮ろうと思っていたのに、小雨が降っている。とりあえず手元には千円。そんなとき、みなさんは何をしますか。
 

家でゴロゴロするのもいいし、図書館まで散歩して、カフェでひと休みすると言う手もありますが、わたしは都電荒川線(東京さくらトラム)のカメラ散歩を推したい。
 

都電荒川線は始発から終点まで、たったの56分。時間帯にもよりますが、日中は6分ごとに都電が来て、それでいて沿線には東京名所がたくさんあるという、まさにカメラ散歩のために存在するような路線なのです。

 

東京に住んで十年近く経ちますが、バスと地下鉄と電車には乗っても、あまりなじみがなかったのが都電荒川線でした。路面電車は小さくてかわいいな、くらいしか思っていなかったのです。
都電荒川線に、「都電IC一日乗車券」があると知ったのはついこの前のこと。調べてみると、大人400円と手頃です。都電荒川線「都電IC一日乗車券」のカメラ散歩、やってみたら、これが意外に面白く、沿線に見所もたくさんあって時間が足りず、たったの半分しか回れなかったので、あとの半分は次の楽しみにとっておきます。

 

まず、終点の早稲田停留所から散歩を始めます。じっくり見てみると、都電って、本当に可愛い形ですよね。色もデザインもいろいろ違う上に、小さい都電が向こうの方からやって来るのを見ると、小動物のような愛らしさがあります。全種類の都電をコンプリートしたくなると言うか、撮り鉄の人の気持ちが少しわかるような可愛らしさです。
雨の日のリコーGR Ⅲxは取り回ししやすく、誰にも(撮ってるよ!)と威圧感を与えずに、気軽にスナップすることができます。28ミリよりもちょっと狭い40ミリ。この40ミリが、都電と街の様子を写すのにはぴったりだなと思います。

 

都電一日乗車券。400円です。これ持って出発!

 

リコーGR Ⅲxは雨の日の街撮りにも便利です。

 

最初、都電に乗り込んで、バスのようにICカードをタッチさせようと思ったら、「都電IC一日乗車券」の日付を見せるだけでいいようです。車窓からすぐ近くに、東京の街が見えます。坂道になると「がんばっています!」というような音がして、リンリン言う鐘の音もレトロで面白い。街のすぐそばを通り抜けるのも独特で、停留所もそれぞれ雰囲気が違います。都電の中から車窓を撮るのも面白い。こんなときにもコンパクトなカメラはありがたい。

 

一つ先で降りて、面影橋停留所へ。さすが「東京さくらトラム」というだけあって、どうやら沿線では桜の名所をたくさん見られるよう。桜見物というと、とにかく人でごった返すことも多い中、雨の日は逆に狙い目かもしれないなと思いました。神田川にかかる見事な桜を、橋のベストポジションから独り占めで撮影です。辺りには、早稲田さくらまつりの提灯がたくさんかかっていました。夜桜もいいかもしれませんね。

 

都電、車内の様子。前の方にいると、車窓がよく見えて面白いです。

 

面影橋では桜が見ごろでした。

 

街とともにある都電。

 

次に降りたのは鬼子母神前停留所。こちらの鬼子母神はずっと前に、手作り市で来たことがありました。こちらも雨のせいか、境内には自分ひとり、あとは雨宿りの猫だけでした。ゆっくりお参りできます。境内の石畳も大イチョウも雨でしっとりと濡れ、お稲荷さんの鳥居も雨に色鮮やかです。参道には、おしゃれなギャラリーやコーヒーショップも見かけました。あとで調べてみると、どうやら人気の店が二十ほど集まっているようでした。今度は行ってみたいと思います。

 

次は庚申塚停留所へ。この庚申塚停留所は、巣鴨のすぐそばだからか、停留所自体もレトロな雰囲気があっていいです。停留所のホームの中ごろに、おはぎの名店「いっぷく亭」があります。<ところてん><おはぎ>の、のぼりに誘われるように店内へ。おはぎセットは、好みのおはぎとおいしいお茶、塩昆布がセットになっています。あんこ等のスタンダードなもののほかに、味もいろいろあるらしく、聞けば<さくら餡味>もあるらしい。ちょうど季節柄もぴったりなので、そのさくらのおはぎをいただきます。店の中からホームが見える面白い立地。行き交う都電を眺めながらのおはぎはおいしく、写真も撮りながら、あと二三個いけるなと思いました。

 

雨の雑司ヶ谷鬼子母神堂。

 

風情のある庚申塚停留場。真ん中に「甘味処いっぷく亭」があります。

 

おはぎセットのさくらおはぎ。美味しいです。 

 

最後に王子駅まで。ここの歩道橋から見る都電荒川線は、大胆にカーブを曲がり、ミニチュアの電車が走っているようで見飽きません。雨の日でも一部雨よけがあるところがあって、おちついて撮影できます。眼下を行き交う人の傘の様子も、趣深くていいです。
飛鳥山も雨でしたが桜が咲いている様子でした。

 

半日歩き倒して「都電IC一日乗車券」400円と、鬼子母神のおまいり100円、いっぷく亭「おはぎセット」495円、5円余りましたが満喫できました。カメラがあると、1000円でも散歩を満喫できて幸せです。

 

猫の雨宿り。

 

レトロな都電のシート。

 

歩道橋の上から見下ろせる王子停留場。飽きません。

 

(写真はすべてリコーGRⅢxで撮影)

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