top コラム柊サナカのカメラぶらり散歩第17話 東京水辺ライン 水上バスの旅(神谷~葛西臨海公園)

柊サナカのカメラぶらり散歩

第17話 東京水辺ライン 水上バスの旅(神谷~葛西臨海公園)

2024/03/19
柊サナカ

乗り場までやって来た水上バス「さくら」号。旅の始まりです。(GR Ⅲx)

 

このたびわたくし、水上バスに乗船してまいりました。(公益財団法人東京都公園協会「東京水辺ライン」ご予約はこちらから→https://www.tokyo-park.or.jp/waterbus/index.html


みなさんは、東京の川を下ったことがありますか。いや別に川とか興味ないし、という方にこそ、ぜひ水上バスの旅をおすすめしたいです。

 

今回、町内の催しで水上バスの貸し切り旅行があって、そちらで参加しました。神谷の乗り場からの乗船です。水上バス、と聞いて、屋根がない吹きさらしの船を想像していましたが、来た水上バス「さくら」号は一階がガラス張りになっており、二階が展望デッキでした。


六人掛けの席がゆったりして、屋根があるため暑さ寒さとは無縁です。きちんとしたトイレもあり、ガラス張りのため外の景色もよく見え、想像以上に快適でした。今回はいつものリコーGR ⅢxとSIGMA fpに広角のウルトラワイドヘリアー12mmをつけて乗船しました。

 

今回、一番上はカーテンがかかっていましたが、窓は天井までガラス張りになっていて、景観がよく見られるようになっています。(GR Ⅲx)

 

座席の様子。ゆったりとした六人掛けの席が両側にあります。(GR Ⅲx)

 

今回使用した機材リコーGR ⅢxとSIGMA fp。好きな組み合わせです。

 

でも、アップダウンのある急流の川下りならわかるけれど、東京の川なんて下って面白いかな? と思いますよね。これがめっぽう面白い。


東京には水上バスの会社が複数ありますが、この東京水辺ラインの運行は月に数回のため、「さくら」号の船自体も珍しいらしく、ウォーキングの人や釣り人、遊んでいる子供たち、いろんな人が岸からこちらに手を振ってきます。いつもは陰気な虫のように黙っているわたくしも、なんだかテンションが上がってきて船内から手を振り返したりしました。普段はパソコンに向かいっぱなしの仕事ですが、たまにはこんな感じで、知らない人同士とのコミュニケーションをとるのもいいものです。

 

人間ばかりではなく、野鳥も多くいます。東京には一見自然が少ないように思えますが、意外に水辺には野鳥が棲んでいるのです。ちょっと見ただけでも、カワウや鴨たちの群れがいたり、河口ではトンビなども。水上バスに驚いたのか、空一面にカモメの大群が飛んだとき、ちょっと見とれてカメラが遅れ、撮り逃してしまいました。

 

どこか普段着のマンション。(GR Ⅲx)

 

二階の展望デッキに出てみると、風が気持よかったです。(GR Ⅲx)

 

尾竹橋をくぐるときも、頭上をかすめるようで大迫力でした。(SIGMA fp,Ultra wide-Heliar12mm)

 

都市には表面と裏面があると思います。建物も表面と裏面があります。ところが川から見てみれば、建物が全部裏面、背中を見せている状態なのです。外側は取り澄ましたような顔をしているマンションも、川側では無防備に洗濯物や布団を翻らせているし、ひなたぼっこのお父さんがベランダで本など読んでいたり。工場なども、川側から見られることを特に想定していないため、どこか普段着の様子が見られます。それは普段まったく見ることのない東京の姿でした。

 

橋には構造的な美しさがあると思います。その橋をくぐるとき、ひとつひとつの橋の橋桁、下から見る橋のかたちがあまりにも違っていて、新鮮な驚きがありました。展望デッキに出ると、橋をくぐるときの迫力も素晴らしいし、もう見飽きるほど見たであろう東京スカイツリーが向こうからどんどん近づいてきて、アサヒビール本社の金色のオブジェと並んだりするのは、船内がどよめくほどに面白い眺めでした。

 

スカイツリーが近づいてきます。(GR Ⅲx)

 

スカイツリーとオブジェが並びました。(GR Ⅲx)

 

橋げたの下に機能美を感じます。(SIGMA fp,Ultra wide-Heliar12mm)


フォトスポットというと、ナントカ映えの人たちが写真を撮りまくっていて、順番を待ったりしなければならないというわずらわしさもあると思います。こちらは水上バスなので視界が開けていて、撮りたいときに撮りたいように撮れます。

 

わたしは車酔いをしない方ですが、ひどい船酔いをした経験があります。韓国で日本語教師として赴任していたときに、釜山から博多まで高速船が出ていて、ふと思い立ったら帰国できたのでとても便利でした。たまたま台風の後の便で、その高速船に乗ったのですが、まだ波のうねりが残っていて、上下方向にめちゃくちゃ揺れました。船内で縦になっているのは売店の人くらいで、わたしも含めて乗客全員ひどい船酔いになり、あちらこちらからうめき声がして、一面、地獄のような光景でした。なので、船、というと経験上少し身構えてしまうのですが、この水上バスは川ということもあるのか、全然揺れず、船酔いした人はひとりも見かけませんでした。

 

普段の道も下から見ると不思議な気持ちに。(SIGMA fp,Ultra wide-Heliar12mm)

 

船着き場の様子(GR Ⅲx)

 

水門をくぐります。(GR Ⅲx)

 

冬(二月)でもこれだけ面白かったら、春の桜の季節なんて、どれだけ楽しいでしょう。川縁の美しい桜を見ながら水上バスで周遊、人混みとは無縁の船の旅です。展望デッキに出ても面白いし、座席でお弁当を食べたりするのも面白いのではないかと。わたしもまた乗るつもりです。


東京に観光に来る人はもちろん、東京に住んでいる人にもしっかり面白い水上バスの旅、カメラを持って行くと、バッテリーが空になるまで撮ってしまうことうけあいです。

 

初めて見る東京の様子。(GR Ⅲx)

 

観覧車を海から。(GR Ⅲx)

 

葛西臨海公園まで到着。充実した水上の旅でした。(SIGMA fp,Ultra wide-Heliar12mm)

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