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柊サナカのカメラぶらり散歩

第38話 フォトモを見に、丸の内・静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」展へ

2025/12/02
柊サナカ

美しい丸の内、明治生命館。フォトウェディングの名所でもあるようで、たくさん見かけました。

 

みなさま、美術家であり写真家でもある糸崎公朗さんの“フォトモ”をご覧になったことがありますか。写真作品なのですが、一度見たら忘れられないインパクトがありますよね。
 

糸崎公朗さんのフォトモといえば、東京都写真美術館「路上から世界を変えていく 日本の新進作家展vol.12」の展示や、第18回東川賞の新人作家賞を受賞したことでもよく知られています。(youtubeチャンネル「糸崎公朗の考えるカメラ。と写真」

 

わたしとフォトモの出会いは、2008年に遡ります。金沢21世紀美術館で、「金沢をブリコラージュする。糸崎公朗写真展」をたまたま見て、それからずっとフォトモのことは記憶に残っていました。

 

 フォトモ「復元フォトモ・三菱二号館 明治28年竣工」近くで見ると迫力があります。

 

写真とはそもそも立体を平面にするものなのですが、フォトモは写真でありながら立体作品なのです。こちらの、静嘉堂文庫美術館のホワイエにある作品をご覧ください。今は現存しない、三菱二号館の写真です。正面から見ると、普通の写真かなと思いきや、横から見るとこのように、立体物であることがわかります。
 

フォトモ「復元フォトモ・三菱二号館 明治28年竣工」横から見るとこうなっています。

 

この記事内では写真となりますが、実際にフォトモを前にすると、その存在感に圧倒されます。近づくにつれて見え方が変わったり、周りを歩いてみるとまた面白い見え方をしたり、立体ならではの楽しみがありますので、ぜひ丸の内の静嘉堂で、フォトモを実際に見ていただきたいと思います。
 

静嘉堂文庫美術館で、「アーティストワークショップ フォトモで重文・明治生命館!」というイベントが開かれ、そこで糸崎公朗さんが講師として招かれたのがこちらの大型フォトモ「復元フォトモ・三菱二号館 明治28年竣工」作成のきっかけとなったそうです。
 

糸崎さんに、フォトモについてのお話を伺いました。

 

  • 「僕自身は美大に入って、何か芸術をやりたいと漠然と思ってたんだけども、僕が勘違いしていたのは、芸術っていうのは、無から有を作るというような、自分の持って生まれた才能で、ゼロから物を作るんだって思い込んでいて。そうすると実は、自分の中って空っぽなんですよね。自分は才能がないんだって、ずっと悩んでたんです。フォトモはゼロから生まれたわけじゃなく、もともと小学生の頃はプラモデルが好きだったんです。あと、カメラも実は昔から好きでしたが、スターウォーズの飛び出し絵本で、いいものがあるんですよ。そういうものを買ってもらって、知識がある時バッと結びついて、それが結果的にフォトモに繋がったというわけです。無から有を産み出すのではなく、外部のレスポンスがあって初めて制作できると、そのときにやっと気付きました」

 

作者の糸崎公朗さんの説明を伺っているところ。フォトモの規模がわかると思います。

 

フォトモの元になった竣工当時の写真。大判写真で撮られたものだそう。

 

写真というものが手軽に撮れるようになった今、その表現方法について悩む方も多いのではないでしょうか。ただ綺麗なだけでは当たり前になってしまう。糸崎さんの言葉にも、“無から有を産み出すのではなく、外部のレスポンスがあった”と、ありました。小説家もそうなのですが、創造力というのはやはり良質なインプットあってこそなのではないかと思います。

 

もう一つのフォトモ「タイムスリップ復元フォトモ+AI・三菱二号館と丸の内」。明治生命館の前身ともいうべき三菱二号館と、今の明治生命館と丸の内の人々を「フォトモ」とした作品。この人々にも秘密があります。 

 

「タイムスリップ復元フォトモ+AI・三菱二号館と丸の内」を横から。

 

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」展は、あの国宝・曜変天目(稲葉天目)をはじめとして、国宝3件を含む貴重な美術品が勢揃い。修理後初公開のものも多数あります。    

 

東京駅から歩いてすぐというロケーションもいいし、何より建物自体も重要文化財「明治生命館」で、2階には建物の見学コースもあります。カメラ散歩にももってこいです。
 
こちら、「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」展を糸崎さんがどう見たか、ライター鈴木誠さんのYouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究」「カメラ好きは美術を読もう!フォトモの糸崎さんにじっくり教わる長編動画【静嘉堂文庫美術館】」でも公開されています。立体のフォトモの様子や、糸崎さんの解説も見られますのでぜひ。静嘉堂文庫美術館、屈指の収蔵品は写真家の目にはどう映るのかも、併せてぜひどうぞ。

 

 

「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」展を解説する糸崎さん。詳細は動画にて。「鈴木誠のカメラ自由研究」の「カメラ好きは美術を読もう!フォトモの糸崎さんにじっくり教わる長編動画【静嘉堂文庫美術館】」をぜひ。

 

修復の様子などコラムも盛りだくさん、「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」展図録。読み応えがあります。オンラインでも購入可能です。

 

2026年1月2日からは「たたかう仏像」展こちらも見応えがありそう。フォトモの展示は12月21日まで、静嘉堂文庫美術館内は携帯電話・スマートフォン・タブレットのみ撮影可で、一部の展示物が撮影禁止となっています。

                   

みなさま、カメラを持って、静嘉堂文庫美術館へ。皇居や東京駅も近いのでカメラ散歩のコースにしても楽しそうです。

 

レトロな建物好きは必見の静嘉堂文庫美術館。窓も可愛いですね。

 

 

静嘉堂文庫美術館は、明治生命館の中にあります。

 

  • 静嘉堂文庫美術館
  • 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
    ※美術館入口は、明治安田ヴィレッジ(旧 丸の内MY PLAZA)の1階にございます。
    TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
  • 開館時間:10:00-17:00 ※夜間開館あり。展覧会ページをご確認ください
    ※入館は閉館の30分前まで。
  • 休館:月曜日(祝休日は開館し翌平日休館)、展示替期間、年末年始など
  • 入館料
  • 一般:1,500円
    大高生:1,000円
    中学生以下:無料
    障がい者手帳をお持ちの方:700円(同伴者1名 無料)
  • https://www.seikado.or.jp/

 

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