先日、小伝馬町のモノグラフィー、(MONOGRAPHY Camera & Art・https://www.monography.shop/)で、PCTとモノグラフィーがコラボし、スタッフや、執筆陣の手持ちの機材などを売る、カメラ蚤の市をやりました。自分の機材(ロシアもののパノラマカメラ中心)を売ってみたのは初めてで、面白かったです。
写真集・カメラ・暗室機材など、商品がいろいろあった中で、開始数分、片っ端から、ものすごい勢いで売れていくものがありました。何だと思いますか?
そう、期限切れフィルムです。
もしこれを読んでいる方が、いまから初めてのフィルムカメラの撮影をしたいと考えている方だったら、フリマサイト等で通常より安く売っていたとしても、期限切れフィルムに関しては絶対におすすめしません。頑張って撮ったあれやこれやがどんな風になるか、ちょっとわたしの例をお見せしましょう。
リアラエース期限切れ 柳の木でしょうか?
リアラエース期限切れ 植物のようなものが写っています。
どうですか。これは、もう自分でもどうやって入手したかわからない、フジカラー リアラエースというフィルムです(昔、誰かにもらったのでしょうか……? それも不明です)。販売は2012年に終わっているところを見ると、少なくとも10年以上も期限切れのよう。しかも、パッケージももっと古いものらしく、それ以上古い可能性がありました。期限切れにもほどがあります。ベテランの写真店の方にも「わあ、これは古いですよ、きちんと画像が出るかどうかはわかりません……」と現像受付の時に言われました。
ソラリス期限切れ アイスクリームのようです。
ソラリス期限切れ 配管ですね?
ソラリス期限切れ 月の綺麗な草原を写したのですが……。
一方、こちらはソラリスというフィルム。どうしてこんなに褪せてしまったのでしょう。色がありません。保管していたのが冷蔵庫か常温か、保存方法でも仕上がりに違いが出るようです。モノクロフィルムと比べて、カラーフィルムは特に経年変化の影響を受けやすいようなので、安いから! と飛びつくと痛い目を見ることも。
ちなみに、大幅に期限が切れた、期限切れフィルムの現像をお断りする写真店もあるそう。色が思うように出ないこともあり、自動現像機も、他のお客さんのフィルムと一緒にフィルムを通したりするので、あまりにも古びたフィルムだと、剥がれ落ちなど、薬品に影響が出たりするのを心配してのことだそうです。
せっかく気合を入れて撮影したフィルムの仕上がりが褪せ褪せだったら、ちょっとがっかりですよね。でも、多少の褪せならエモいとして尊ぶ向きもあるそうで、年代によって受け取り方はいろいろだなと思います。
この褪せたフィルム、せっかく現像したのに、これどうしましょう。色はないものの、像と明暗はかろうじて残っています。どうにか生かせないだろうかと思って、ライトルームのプリセットで色調などをいじってみました。それがこちらです。
ソラリスのデジタル加工。
こうなると、フィルムの味が……とかアナログの温かみが……とか、まるっきり無視した仕上がりになりますね。もはやデジタル塗り絵のようです。
これはこれで、不思議な味のある絵画か古典技法みたいになります。失敗を救済とまではいきませんし、積極的におすすめはできませんが、デジタル加工は、色が褪せてしまったフィルムのひとつの救済方法かなとも思います。
あと、最近多く目にするのが、ポジフィルムの期限切れです。(積極的におすすめしません、とか言っておきながら、期限切れフィルムの安いものはついチェックしてしまうわたくしをお許しください。だって安いんですもの)
期限は2014年。つい買ってしまったのです……。
カメラ愛好家の集まりで、たまに仲間内のフリーマーケットなどがあり、余った機材や薬品などが売られることがありますが、意外に出てくるのが、ポジフィルムの期限切れ。いつか撮ろうと思って購入し、月日は流れ、幾年。それが一本三百円で売られているのを見て、鼻息荒く全部かっさらってきました。いやかっさらってどうする? でも三百円だったらみなさんだって買いましたよね? 冷静になってみると、この期限切れポジフィルム、どうしようかとなります。数年なら少し褪せた程度でいい感じになるかもしれませんが、これだけ年数が経っていると、像はしっかり出ないと思います。
そこで、この期限切れポジフィルムを、クロス現像してみることにしました。クロス現像とは、ポジフィルムを普通にC-41というカラー現像のやりかたで現像するものです。これもお店によって扱いが違うので、お問い合わせください。クロス現像すると、まったく雰囲気の違った異世界のような色合いに仕上がります。
こちらは期限切れではないですが、クロス現像の例です。このように、面白く仕上がります。
いざ写真店で現像をお願いしてみようと思ったら、フィルム現像が毎日たくさん来る時代とは違って、一回のクロス現像が現像液に多大な負担をかけてしまうため、チェーン店でない個人の写真店では、クロス現像を受け付けていないお店が増えてきているようです。「クロス現像は今受付できなくて……」と言われました。今時、フィルムを現像できるラボはとても大切です。「それなら仕方がありませんね」と言ってフィルムを持って帰ってきました。
さてどうしようか……と思って調べたら、ちょうどネットでC-41現像キットが売り出されていました。カラー現像は必ずお店に出すようにしていますが、原理的にはC-41現像キットでクロス現像の自家現像ができるはず。
自動現像機でない、自家現像なので、他のお客さんのフィルムに影響も出ません。少し挑戦してみることにします。こちらは次回の番外編をお楽しみに。
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