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柊サナカのカメラ沼

第19話 フィルム長巻き生活

2023/04/04
柊サナカ

フィルムが高い、という話を何回しているかわからないくらいです、すみません。

このコラムが始まった時と、今とでまた、フィルムの価格が変わってきているくらいですから。

前々から、フィルムが高いという人のために、継続しておすすめしているものがあります、それが「長巻」もしくは「長巻き」「長尺フィルム」です。

 

フィルムというと一般的に想像するのは、小さな金属の筒(パトローネ)に入ったものだと思います。この中に入っているフィルムが、だいたい152センチほど。だいたいわたしの身長ぐらいです。これは、暗室の中で作業する人が手を広げたサイズ、一尋(ひとひろ・150センチ)とほぼ同じだそう。この”一尋”の単位は、釣り用語でも使われるようですね。たぐったりするのに都合の良いサイズなのでしょうか。

 

それに対して、長巻きは、100フィート、メートルにして30.5メートル。25メートルプールよりまだ長いフィルムです。なんだか、そんなにあるなんて! ってわくわくしてきませんか。

価格も、一万円を切るものから、三万円を超えるものまで、メーカーによりさまざまです。


長いフィルムが、テープのようにぐるぐるに巻かれて、缶に入っているのが長巻きフィルムなのです。単純計算して、長巻き一本で、フィルム二十本分が取れることになります。一万円で計算したら、一本500円。これならまだ安心して使えますよね。

 

そんなお得なフィルムですが、条件があります。

 

  • ◆長巻きの条件
  • ・モノクロ
  • ・自家現像必須

 

長巻きは現在、モノクロだけしかありません。しかも、一般的なお店の現像には出せません。

近頃、中身が映画用のフィルムであることを知らずに現像に出し、フィルムのある層が剥がれて、現像機の中にまき散らされてしまった(他のお客さんのフィルムにも被害が出る・機械を全部洗浄しなければならない)といった大惨事があったそうで、ラボはどこも、中身が変えられた、もしくはお店でわからないフィルムに対しては神経質になっているだろうと思います。あと、フィルムエンドを、どうパトローネの中のスプールに接着したのかも、機械の構造上、問題になりますから、詰め替えフィルムは、一律ダメとしているところも多い印象です。 

 

というわけで、長巻きを使ってみたい方は、自宅で現像をする必要があります。(懇意のプロラボ等を除く)

自家現像は思ったより簡単ですし、初期費用の他は薬品代くらいで、それほどかかりませんから、思い切って始めるのもいいかと思います。貸し暗室などで現像ワークショップなども開かれていますので、探してみてください。

 

長巻きは、ただ缶にフィルムが長く入っているだけのものですから、そのままだと使うことができません。

 

  • ◆長巻きに必要なもの 
  • ・デイロール
  • ・ダークバッグ(もしくは押し入れなどの暗い場所)※初回のみ
  • ・ハサミ
  • ・フィルムエンドを、スプールにとめるためのテープ
  • ・長巻き用の空パトローネ、もしくは旧型のパトローネ、フィルムの余りの端が出してあるパトローネ

 

ハンドルでフィルムを巻き上げるようになっています。

 

フィルムローダーを開けたところ。ここへパトローネをセットします。

 

LPLデイロールの空き箱。懐かしい! と言う方もいらっしゃるのではないでしょうか。ちなみに、よく向きを間違うため、書き込みをしてあります。

 

長巻きフィルムはデイロールという専用の機械に収めて使います。この容器、すぐれもので、一度セットしてしまえば、明るいところでもフィルムを量産できます。

暗室かそれに準ずる暗所(我が家ではクローゼット)、もしくはダークバッグの中で、長巻きフィルムの先をデイロールの出口から通すようにして、セットします。


これを間違えると、一気に30メートル分ダメになりますので、明るいところで、デイロールの説明書を熟読しつつ、よくイメージトレーニングしつつセットするのがいいです。


セットができたら、空パトローネの側面を開けます。このパトローネ、何度も使っていたら、光漏れします。わたしも、なんでだろうな? と思ったら、パトローネ自体にガタがきていることがわかったことがあります。少しの隙間でも光は入ります。なので、がたつきがない、綺麗なものの方がいいようです。

旧型のパトローネでは、側面が素手で開けられるものがあります(今のものは、基本かしめられていて開きません)

中のスプールの部分にテープでしっかり留めて、パトローネの側面を閉じます。

(また、開かないものでも、フィルムの残りの先が出ているものがあれば、そこへ接着して使うこともできます)

 

空パトローネ各種。デイローダー用の空パトローネもありますが、フィルムエンドがスプールにくっついたままの使用済みパトローネを使うこともあります。

 

出てきました、カメラの大先輩から譲っていただいたサクラカラー。手で簡単に開きます。

 

パトローネを分解したところ。中はこのような作りになっています。

 

後は、お好きな分量を、ハンドルを回して巻くだけです。カチッという独特な音がするので、どのくらい巻けたかは音でわかるようになっています。

巻き方は人によって違うようです。最初に20本分一気に巻いてしまう方もいます。わたしは気分によって(今日は12枚でいいか)(今日は36枚かな)などと巻き分けています。


そんなわけで、通常、デイロール一個で済むところを、わたしは気分でフィルムを使い分けたいため、三つのデイロールを活用しています。

一つは惜しみ惜しみ使っている、廃盤になってしまったシルバーマックス。大好きだったので惜しくて使い切れません)

もう一つは定番フィルムのイルフォードデルタ100。一番よく使っています。

キングのフィルムローダーには、頂き物の富士フイルムのアクロスが入っています。

 

一度、長巻きを買っておけば、なあに、家には長巻きがあるからな……と余裕を感じられるので、惜しみなく撮れる――かどうかはわかりませんが、気にしないでいっぱい撮りたい派には、ぜったいにおすすめです。なにせひと巻き30メートル強。モノクロフィルムはカラーよりも劣化しにくいこともよい点です。長巻きライフを始めたい方はぜひ。

 

今日は見やすくするため柄のあるマスキングテープですが、いつもは黒です。スプールから外れないようにしっかりつけます。

 

このようにパトローネをセットしたら、ハンドルをぐるぐる回します。

 

パーフォレーションの穴を避けて切って、フィルム一本できあがり。

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