ペンタックス17外観。
この令和に新品のフィルムカメラが発売という嬉しいニュース、予約開始日にペンタックスクラブハウスに行きましたが、どうやらわたしが予約分の最後の客だったらしいです。間に合ってなによりです。
発売日に手に入れて、ペンタックスの方たちにニコニコ見守られながら、クラブハウス内でフィルムを装填し、撮り歩きながら帰ってきました。現在、フィルム一本目の感想を。
ペンタックスクラブハウスでさっそく1枚。気になる方、ぜひ実物を見学に……。(PENTAX17,Kodak colorplus200,モードP・山)
わたしはカメラマンでもカメラの専門家でもなく、ただのカメラ好きの小説家ですから、1ユーザーとして、使ってみてどうだったかを自由に書いてみたいと思います。
フィルム一本目でなんとなくの感じですが、以下のように独断で思いました。
- ◆このカメラに合っている人
・日常を日記みたいにその周りの空気感ごと切り取りたい人
・フィルムの現像できあがりを楽しみながら待てる人
・失敗しても(これ逆にエモいかも)と許せる人
・近距離(手に持ったものや食卓など)を写したい人
・フィルムカメラ初めての人
・オートでとにかくいっぱい撮りたい人
・縦構図好き
- ◆このカメラに合わない人
・かつて新品でフィルムカメラを買ったことのあるベテラン勢
・構図など作り込みたい人
・老眼の人
・毎日そんなに撮るものが無い人
・LEDランプ嫌いな人
わたしはちなみに合っている人の方です。カメラにはまり始めてまだ6年とかそこら、初心者ではないかもしれませんが、まだカメラの世界では新参者です。はまったのが遅かったものですから、新品で買ったフィルムカメラというと、ロモLC-Aとロモマチック110しかありません(過去記事はこちら→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=3656)。それ以外は全部中古カメラ市、中古カメラ店、人に譲ってもらったもの、すべて中古のカメラです。なので、フィルムカメラを新品で買ったことがあるかどうかが、このカメラが気に入るかどうかの分かれ目になるのではないかと思います。
ペンタックスオート110も愛用していますが、ペンタックスの方もおっしゃっていたように、似ているパーツがありますね。
裏蓋にはフィルムホルダーがあります。わたし、実はフィルムホルダーのあるカメラをあまり使ってこなかったので新鮮です。
わたしは、令和の今この価格(8万円台)で新しいフィルムカメラが出るのは快挙だと思っています。40万円くらいかけたら、誰もが納得する質感のカメラも作れるかも知れませんが、そうなると、買える人は金銭感覚のネジ山が舐めてしまっている一部のマニア以外出てこないのではないでしょうか。
このペンタックス17、ハーフサイズというのもいいですね。今回はフィルム一本で75枚も撮れていました。わたしの行きつけの赤羽カメラのマリア堂では、現像料金もデータ化も普通の現像と同じ料金でした。現像の時間も同じです。老舗のDPE店だと、ハーフサイズの仕上げのノウハウがまだ残っているようです。ハーフサイズ現像の料金に関しては、お店によっても取り扱いが違うようなので、現像に出す前には確認を。
フィルム装填は置くだけです。今までのカメラで一番簡単。
70枚とか、そんなに撮るものある? と言われたら、あります。ハーフサイズならではの自由な使い方ができるのです。値段が高騰している中判などでは躊躇していた、日常の何気ないもの、たとえば自分の足、路地の様子、雨の日のラーメン屋の明かり、何でも好きなだけ撮れます。わたしはストラップに手首を通して、グリップに指をかけて歩いていました。
この、前につき出ているグリップ、わたしはいままでカメラのグリップをあまり使わなかったものですから、最初は(ない方がシュッとしていいのでは)と思っていました。でもこのグリップがあることによって、手持ち歩きが本当に楽です。他のカメラにもグリップつけようと、急にグリップ派に転向しようと思ったくらいです。
カメラを購入した日は雨の夕方でした。浴衣で急ぐ人たちを。(PENTAX17,Kodak colorplus200,モードP・山)
基本、オートにしていると、ゾーンフォーカス関係なく、パンフォーカスでピントが合って何でも撮れます。(ただ、オートモードでは近距離は撮れないので、Pにしてから近接のお花マークか、近距離のナイフフォークに合わせて撮る)歩きながら気になったものを片っ端から撮れば良いです。一眼レフなどで、じっくり構図を決めたりピントを合わせたりしていると、家族から「まだー?」「早く行こうよ」なんて言われてしまうこともありがちですが、オートならさっと覗いてシャッターを切るだけで上手く写ります。旅行などには絶対便利なはず。
オートの撮影でひとつご注意を。ペンタックスクラブハウスで、ペンタックスの人に教えてもらったのですが、暗いところでオートだと自動的にフラッシュが出ます(Pにすると出ない)。わたしはついオートにしたままで、喫茶店で撮ろうとしてピカッ!と光らせ、すみません……と周りに謝りました。
雨のラーメン屋さん(PENTAX17,Kodak colorplus200,モードP・山)
ここは暗いのでフラッシュがつきますよ、というのはLEDのお知らせが赤で出ます。あと、巻き上げしていないよ! というお知らせも赤青赤青赤青のLED点滅でお知らせ。今まで手にしたカメラの中で、一番お知らせが激しいので、ついうっかりということがありません。あとPにしていて、光量不足も青のLEDでお知らせがあります。「光ったらお知らせあり」と言うことで覚えておきましょう。
この激しいまでの光のお知らせ、今までの中古カメラではあまり見なかった機能です。今までのカメラに慣れている人なら、このお知らせは無しでもいける、むしろ無い方がいいかもしれませんが、カメラを持ち始めたばかりの人が、フィルムも高いのに、半分以上失敗して写ってなかったら気の毒じゃないですか。(覚えがあります……)。
失敗するとこの通り……。
自分の足なども。(PENTAX17,Kodak colorplus200,オートモード)
このペンタックス17は、今日カメラというものを初めて持ったという人にも、今日の思い出としての写真がちゃんと写るということを目的に作られたのだろうな、と個人的に思いました。それは、フィルムの装填についても言えます。このペンタックス17、フィルム装填はただ置くだけ。フィルムのベロを折り込んだり、挟んだり入れたりしなくてもいいのです。旅行に行って、いろいろ写していたのに、フィルムがちゃんと巻き上げられておらず、一日中虚無を写していたということがありません。フィルムカメラ初心者がやりがちな(そしてわたくしもたびたびやらかした)、あれやこれやの失敗を丁寧につぶしていったのがこのペンタックス17ではないかと。
初心者以外の楽しみは、ペンタックス17の機能を活かしてオート以外で撮ることじゃないかと思います。お月様マークに合わせると、暗いところでも結構撮れるので驚きました。
月のマークの夜景モードでは暗いところもよく撮れます。(PENTAX17,Kodak colorplus200,モード夜景)
道端の酒瓶。(PENTAX17,Kodak colorplus200,オートモード)
食卓の様子が撮れるのは便利です。フラッシュが出ないようにPモードで。(PENTAX17,Kodak colorplus200,モードP・ナイフとフォーク)
付属のストラップ一本分の長さがちょうどマクロ撮影ということです。わたしはコンパクトなフィルムカメラが大好きで、リコーGR1やコンタックスT、アグフアオプティマ、ローライ35T等々を好んで使っていますが、ここまで寄れるカメラはなかったです。これが思いの他楽しい。食卓なんかも席に座ったまま、良い感じに写りますので、いままでスマホで代用していた「これ美味しい」「これ見て!」もペンタックス17があればフィルムで残せます。
きっちり距離を測ったほうがいいので、ちょっとコツが必要ではあるのですが、きちんと寄れるのは嬉しいものです。手に持ったアイスもこの通り。
私の考えるペンタックス17の強みは、接写モードでの手に持った食べ物です。手に持った食べ物を撮れるというだけでも楽しみが増えます。今年の夏は話題のおいしいものを食べまくり、そして撮りたいと思います。(PENTAX17,Kodak colorplus200,モードP・花)
とはいえまだフィルム一本目、わたしがひとつのカメラを使いこなすまでにはまだまだ時間がかかるので、毎日撮り歩きながら慣れていこうと思います。今日も使っています。この夏はペンタックス17で撮りまくりますよ。来月はいろいろ試しながら撮った例をお見せします。
電話ボックス越しの街。(PENTAX17,Kodak colorplus200,オートモード)
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