かわいいロボットⅡ。手のひらサイズながら交換レンズもあり、楽しめます。
このフィルム高騰のご時世で、ハーフサイズカメラの需要が高まっているとか。ハーフサイズカメラは、一般的なカメラの半分サイズのフレームなので、36枚撮りのフィルム一本で、78枚も写真が撮れるらしいですね。経済的! でもわたくし、ご縁がなくて実はハーフサイズのカメラは一台も持っておりません。
でも、同じ36枚撮りのフィルムで、58枚撮れます、しかも可愛い24mm×24mmのスクエアで写真が撮れるカメラがありますよとなったら、ちょっといいなあと思いませんか?
そのカメラこそロボットⅡ型です。今日はこのロボットというカメラを紹介いたします。
背面をご覧ください。このロゴを落としてしまい、一日中探したことがあります。親切な方に譲っていただけました……。
通常のフィルムの一コマ分。
ロボットの一コマ分。
ドイツ、1934年にⅠ型が作られたというロボットはゼンマイ式のカメラです。手のひらに乗るくらいコンパクトなカメラながら、軍用、学術用、空撮用等々、さまざまなモデルが存在します。専用アクセサリーも豊富で、熱烈な愛好家も存在するとか。レンズが交換できることも面白い。わたしもクセナゴンとクセノンのレンズを使用しています。ピント合わせは目測ですが、かちっと合ったときの写りには毎回驚かされます。軍事用としても使われていたなごりなのかどうかわかりませんが、ファインダーをのぞいていないように、真横の向きからも撮れるのがスパイっぽくていいですね。
この小さいロボットⅡ型を、サクラストラップで手首につけて、歩きながら街で気になったものをカシャカシャ撮っていく。その都度巻き上げしないということがこれだけ楽だったとは。なにせフィルムは58枚分も撮れるので、あっハト! あっビニール袋が飛んできた! などとなったら全部撮ります。そう、昔フィルムが安かったころのように。楽しいです。
サクラスリングをつけて軽快に街を散策。
レンズのロゴもロボットです。
このカメラ、わたしも大好きで、とても良いカメラには違いないのですが、このコラムで紹介を後回しにしていたのは理由があります。
それは、フィルムの巻き直しが必要だということ。このロボットには、マガジンが二つ入っています。まず左のマガジンにぐるぐるに巻いたフィルムを入れてセットし、その端を右のマガジンにもセットする。そうすれば右にゼンマイの動力でどんどん巻かれていくという仕組みです。
フィルムの入れ替えはもちろん暗所で行います。わたしはクローゼットの中に入って隙間にバスタオルなどを詰めて簡易暗室とし、その中で巻き替えしています。正直言って面倒です。でもこのコンパクトなロボットⅡ型での撮影の快適さ、撮れる写真のことを思うと、我慢できます。
上面からみたところ。この大きなネジを巻いておくと、巻き上げいらずで撮れます。
このように横から覗いて撮ることも可能です。
このロボットを買ったのはカメラ市のワゴンでしたが、一緒に行っていた目利きのベテランが、「このマガジンが二個揃っているのはお買い得ですよ、これは買いです」と教えてくれたので「そうなのか……?」と思いながら買いました。聞いてみれば、このマガジンがそろっていないものが多く、ボディのみ買ったところで、フィルムが入れられず、どうにもならないこともあるらしいです。そしてマガジンは左右があり、なかなかバラで探すのは難しいらしく……。
みなさまもロボットⅡ型を買い物するときには、中までよくチェックして、マガジンが2個ともそろっているかどうかを、よくチェックしていただきたいと思います。
中身。このようにマガジンがあります。ここへフィルムを収めるわけです。
右と左で形が違います。購入されるときには、このマガジンの遮光ができているかもチェックなさってください。
さて撮影が終わったら。
この巻き替えしたフィルム、どう現像するかという問題があります。というのは、フィルムを現像する写真店で、巻き替えしたフィルム(一度切って、セロテープなどで再度留めたフィルム)は一律受け付けないとしているところが多いためです。もしもセロテープ等が外れると機械の故障につながるのですね。いまある写真店は貴重な写真店、限りある現像機も、みんなで大事にしなければなりません。
なので、カラー自家現像なら、キットを使って自分でやる方法があります。こちら、わたしも前に挑戦しました。温度管理だけに気を付ければ、意外と簡単でしたのでよかったら。→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=2783
わたしは、ロボットⅡ型のカラー現像のときは、フィルムから全てのテープ類を取り外し、どのフィルムを使ったか、空のパトローネを持って行った上で、別の遮光フィルムケースにぐるぐる巻きの状態で入れて、事情を説明してお願いしています。ご自身が利用する写真店で、このやり方ができるかどうか事前によく相談なさってから、現像をお願いしてください。対応できるお店が少ないかもしれませんので、その時は自家現像をおすすめします。
――とまあ、こんな具合に多少手間がかかるカメラで、カメラを始めたい人の最初の一台に、というわけにはいかないのですが、撮れる写真にはとても満足しています。ロゴも可愛い手乗りのロボット、いかがでしょう。
冬の桜並木。(RobotⅡ,Xenon40mm,Kodakgold200)
木の実と青空(RobotⅡ,Xenon40mm,Kodakgold200)
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