オリンパスXA2。カメラの会合で、米谷美久氏がサインしたものを見たことがありますが、とてもうらやましかったです。
ネットに載せると、コメントが特によくつくカメラがあります。昔よく使ってた、とか、サブカメラとして持っていたという方も多いようです。色違いの愛機を見せてくださる方もよくいます。写真家の先生もよくお使いだったとか。かつてグッドデザイン大賞も受賞、天才設計者の米谷美久氏が手がけ、大ヒットした名機だそうですね。
それが何のカメラかというと、オリンパスXA2。
コンパクトなフィルムカメラ好きのわたしとしては、このXA2がサイズ的にすごく持ちやすい。しかもこのXA2、ボディがプラスチックですごく軽いのです。フィルムカメラを始めたいです、という人がいたら、わたしはアグファオプティマ(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=1183)も勧めますが、こちらのXA2もあわせておすすめしたいですね。
でもまあ、最初にこのカメラを使ったとしても、細やかな工夫に気づかないかもしれないと思います。他のカメラをいろいろ使ってみた人ほど、XA2の機能の気配りと使いやすさに感心するのではないでしょうか。
わたしがXA2を好きなところは、まず、レンズキャップ要らずのところ。
レンズのキャップ、みなさんどうしているのでしょうか。ただでさえ注意が散漫なわたくし、シャッターチャンスになると視野がトイレットペーパーの芯より狭くなり、他への注意がおろそかになりがちです。一度、ライカのレンズキャップが車輪のように縦に転がって、坂道を延々転がっていき、半泣きで追いかけたことがあります。
ですので、レンズキャップがないタイプのカメラって、それだけでもうありがたいです。手持ちのカメラでは、コンタックスTや、ローライA26などがそうです。
レンズキャップなしで、レンズを覆うやり方にもいろいろありますが、こちらのXA2、レンズカバーが楕円形に膨らんだ形をしており、横にスライドさせて開けると、レンズとファインダーがあらわになる設計となっています。この楕円形により手のおさまりもいいし、強度も出るだろうし、ケースにもポケットにも収まりやすく、実に合理的な形だなと思います。オリンパスの公式ページには、「カプセルカメラXA」として紹介がありました。まさにカプセルのよう。
ふたをしめたところ。まさにカプセルのよう。
背面はいたってシンプル。
ななめから見ても、カーブが手になじんで持ちやすいのがわかると思います。
わたしは観音開きのカバーを開けると、沈胴レンズが飛び出してくるタイプのカメラ、例えばチノンベラミなど、そういったカメラもとても可愛くて興味があるのですが、このタイプはどうしても可動部の故障が多くなるのでしょうか、よい完動品にあまり巡り会うことができません。
良いデザインは、シンプルかつ丈夫さを兼ね備えているのかな、と思います。
あと、このXA2、ピント合わせは三点ゾーンフォーカス方式で、近距離(人の上半身マーク)、中距離(人の全身マーク)、遠距離(山マーク)でだいたい合わせるというものです。わかりやすくて好感が持てます。そして、このカメラをおすすめしたい最大の理由が、一度カバーを閉じた後には、必ずピントが中距離の位置にもどるところ。
初心者はよく失敗しがちです――といいつつ、自分も目測機ではいまだに盛大にピントをはずすことがあります。いいシャッターチャンスが来て、心の中が慌てていると、前に合わせていたピントのことをすっかり忘れてしまうのですね。子供達のいい表情!(ピンボケ)珍しい鳥!(ボヤボヤ)魚が横切る!(後ろの柵)などなど。昔の報道写真家はすごいなあと思います。自分には絶対向いてない。
このXA2では、一番使うであろう中距離にピントが自動的に戻ることによって、失敗を防ぎます。中距離は1.2m~無限なので、あっ町中でおもしろいもの発見、というときには全部カバーできるのではないでしょうか。
最短撮影距離が0.9m~ということですから、テーブル上のものを撮ったり、近づいて花を撮ったりするのは少々難しいですが、旅行カメラとしても大活躍しそうです。
逆光には少々弱いような気もしますが、レンズ(ズイコー)の写りももちろん良く、信頼できます。いま相場を見てみたら、異様に高騰しているコンパクトカメラよりも、ずっと控えめな値段でした。そういう点からも、初めての一台におすすめしやすいカメラです。
灯。(Olympus XA2、Fujifilm C100)
ぴんぼけコーヒーカップ。失敗しました。(Olympus XA2、Fujifilm C100)
窓際のラーメン。(Olympus XA2、Fujifilm C100)
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