top コラム本日のマイカメラ第24話 ポラロイドSX-70

本日のマイカメラ

第24話 ポラロイドSX-70

2023/09/19
柊サナカ

本でも表紙を一目見て、いいなと思って買うことってあるじゃないですか。


カメラでも、見た目買いというものはあると思います。


わたしにとってのポラロイドSX-70は、まさにそんなカメラです。オシャレ映画の棚の小道具だったり、雑貨屋のガラス棚の中に収まっていたり、長いこと憧れがありました。


完成されたデザインの美ってあると思うのですよ。このカメラは1974年製のカメラですから、もう50年近く経過していることになります。それでも今見てもまったく古びることがないなと思っています。

 

正面から。

 

畳めばこんなに薄く。

 

真横からもおしゃれなんですよ。完成されたデザインですよね……。

 

わたしのSX-70はスイートロードで購入しました。今は時計店として有名ですが、かつては中古カメラも扱っていました。こちらのお店の素敵だったところは、お店の人が心底SX-70を愛して、推していたところ。ブログは読み物としても面白く、そのカメラが大好きなんだ! という気持ちが伝わってくるのがよかったです。普段は通販でカメラを買いませんが、そのブログや商品説明が面白かったので、ここがいいなと通販で買いました。送られてきたカメラには、確認のためのモノクロの試し撮りが一枚ついていました。その様子もおしゃれで、ああ、買って良かったなあと思ったのでした。今はないお店ですが、とても思い出に残っています。

 

このSX-70は、残念ながらチェキのフィルムは使えません。スクエアのチェキよりも、もっと大きいタイプのものです。


わたしの父は、かつて建設系の会社に勤めていましたので、ポラロイドフィルムはたまに使っており、わたしも旧ポラロイドフィルムにはなじみがありました。皆さんの家にも、昔のポラロイドフィルムで撮った写真があるかもしれません。もしあったら見てみてください。色が鮮明で、ほとんど劣化していないことに驚くと思います。我が実家にあったポラロイド写真も、昨日写したようにシャープで鮮明です。ポラロイドフィルムの性能はすばらしかったのです。


ですが、日本ポラロイド社は2008年の夏でインスタントフィルムの生産を終えてしまいました。デジタルカメラの普及と共に、需要が減ってしまったのですね。


その後、同2008年に、元のポラロイド社の生産拠点をリースという形で引き継いで、インポッシブル・プロジェクトが始まりました。


ポラロイドフィルムは、フィルムの端っこに薬剤のたまった袋のような部分があり、それをローラーで均一にならしていくことで、現像され写真の形となります。簡単に書きましたが、この圧力や薬剤の仕組み等を制御するのはとても難しいらしく、旧ポラロイドフィルムと全く同じものを復活させることは、同じ生産設備を使っていても、簡単ではないようです。乳剤も今では違うものが使われているとのこと。


それでも、フィルムがないと、カメラはおしゃれな文鎮になってしまうので、フィルムを生産してくれるのはとてもありがたい。


2017年にインポッシブル・プロジェクトからポラロイドオリジナルズにブランド名が変更となりました。わたしも、そのインポッシブル・プロジェクト時代のフィルムも使ったことがありましたが、気温などに左右される、かなり気難しいイメージを持っていました。20度がベストな気温だそう。なので、わたしはカラーをあきらめ、モノクロフィルムを買い込むようにしていました。


最近、集まりがあったときに、ポラロイドSX-70 SONARをお持ちのAONO YUKA(@yuka_shasin)さんに、撮影してもらいました。YUKAさんがお持ちのカメラは、SX-70でもオートフォーカスがついているタイプです。このオートフォーカスで、レンズがぎゅんぎゅん動いてかっこよく、いただいた写真のカラーの色合いも素敵で、またカラーを使ってもいいな、楽しそう! と思い始めました。

 

こちらフィルム、カラーとモノクロです。

 

フィルムカウンター。


現在の値段を調べると、ポラロイドオリジナルのフィルムが、8枚入りで2,860円~3,960円。一枚あたりいくらとか、割っちゃだめ。割っちゃだめです! 高い……と思うかもしれませんが、今、逆にフィルムの価格が上がっているので、フィルム代+現像代を合わせて考えると、昔よりはもっと、心理的に使いやすくなった気がします。


なにはともあれ、この板みたいなSX-70をジャキっとカメラの形にして、ジーッと音を立ててフィルムが出てくる様子はほんとうに気持ちがいいので、この体験は代えがたいものだと思っています。出てきたフィルムをしっかり遮光して、見てみると……だんだんと像が浮き上がってきます。

 

段々と像が浮き出てきます。(像が出るまで遮光を推奨)

 

わたしのSX-70は三葉堂寫眞機店でスプリットを見やすく改造してもらったものなので、大事にしまっておかないで、毎日どんどん使っていこうと思います。ちなみに、三葉堂さんにはSX-70に本当に詳しい店員さんが揃っていますし、貼り革などの相談もできますので、ぜひ。スイートロードのブログを書いていらした人とも再会できて嬉しかったです。

 

ファインダーはこんな感じです。わたしは改造してもらったので、とても見やすくなりました。もし旧式ファインダーをお持ちの人いらしたら、ぜひ三葉堂さんで相談を。

 

モノクロフィルムの蘭。(SX-70)

 

モノクロフィルムの植物。意外にシャープですよね。(SX-70)

 

モノクロフィルムのぬいぐるみ。(SX-70)

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