top コラム本日のマイカメラ第6話 マミヤC330

本日のマイカメラ

第6話 マミヤC330

2022/04/12
柊サナカ

二眼レフに憧れはありませんか。わたしはあります。
あのレトロな形もいい。実は拙著、「谷中レトロカメラ店の謎日和」で最初に書いた話は、冒頭から二眼レフが出てきて、公園で撮影している所にヒロインが通りかかり、(あの人、なにやってるんだろう。あんな古そうなカメラで撮れるのかな……)と不審に思う所から始まっていました。結局その案は没案となりましたが、クラシックカメラと言えば二眼レフというイメージは、常にありました。

 

二眼レフと言えば、例外はありますが多くは中判。一般的な人がフィルムというと思い浮かべるフィルムは35ミリフィルム、中判フィルムと言えば巻物のようになっているフィルムです。
35ミリフィルムが36枚くらい撮れるのに対して、中判フィルムで撮れるのは12枚撮り程度だったりしますから、一枚いくらと値段のことを考え出すと、ちょっとハードルが高いですよね……。わたしも現像代のことを考えると、割高なような気がして、今まで、ここぞと言うときにしか中判は使っていませんでした。
しかしながら、35ミリフィルムが高騰している今、中判フィルムの値段との心理的な差が縮まったようでもあり、もっと日常のスナップで、気軽に中判を使っても良いのではないかと思うようになりました。

 

ちょうど日本カメラ博物館の特別展「いまも変わらぬ魅力 二眼レフカメラ展」(https://www.jcii-cameramuseum.jp/museum/2021/12/14/30965/)に行くときに準備したのが、わたしの愛機であり唯一の二眼レフ、マミヤC330です。このマミヤC330、購入したのは日暮里の三葉堂写真機店です。もう一人欲しがっていた人が居たようなのですが、タッチの差でわたしが購入できたのはラッキーでした。
メカニカルな形がなんともいいなと思っての購入でした。

 

(ちなみに、日本カメラ博物館の特別展「いまも変わらぬ魅力 二眼レフカメラ展」は二眼レフ好きな人、興味ある人にはぎっしりのボリュームなので、ぜひおすすめしたいです。本当にいろいろな二眼レフが揃っており壮観でした。二眼レフというと、ある程度、形は上にレンズ一つ、下にレンズ一つ、箱形のものと、だいたいの要素は決まってはいるのですが、それでも意匠を凝らしたデザインのものもいろいろあり、面白いです。お国柄も出るような気もします。
二眼レフの元となった三眼のローライドスコープなどもあり、ビックリするようなメカ感満載のスーパーフェクタもあり、図録も二眼レフ図鑑の様相でした。もちろん私の愛機マミヤC330もありましたし、豊富なマミヤC330アクセサリーの一覧表もありましたよ。この「二眼レフ展」に二眼レフを提げていくと、割引サービスもあるそうです。お気に入りの二眼レフを提げてぜひどうぞ)

 

マミヤC330には申し訳ないのですが、しばらくぶりに防湿ケースから取り出して思ったことは(やっぱり重い)ということです。今回は博物館へ行くので、撮影メインではないため、グリップなどのアクセサリーは全部外していきましたが、それでも重い。
一度、これ、アクセサリー外した一番軽い状態で、どのくらいの重さがあるのかな、と思って体重計で計りましたが、1.7キロありました。1.7キロというと、たいして重くないようですが、重心のせいなのか、材質か見た目のせいか、妙にずっしりしています。マミヤC330を検索したら、わたしが「重い」「重い」とぼやいているツイッターが出てくるくらいに重いです。
前に、写真家の大村祐里子さんご愛用のローライフレックスを持たせてもらったことがありましたが、「えっローライってこんなに軽いんですか!」と思わず声を上げてしまいました。同じ二眼レフとは思えないくらい軽かったです。

 

まあ、重いのは重いので事実なのですが、それでもマミヤC330には唯一無二、二眼レフには珍しい機能がついています。それは、レンズが交換できるということ。二眼レフの歴史から言うと、ものすごい革新と言えるのではないでしょうか。
交換は、レンズを上下一つ一つ外すのかな、と思っていたら、上下のレンズがひと組となっており、ごそっとレンズボードごと外せます。

 

マミヤセコールは、広角55ミリから望遠の250ミリまでまんべんなく揃っており、これ一台で何でも撮れますよというのもすごい。
最近、巷では、古いレンズを、アダプターを介してミラーレスに付けることが流行っており、一時は値段がつかなかったようなレンズも、デジタルカメラで使えるようになりました。そのため、ミラーレス以前からすれば、やたらに値段が高騰しているようなレンズもあるのですが、このマミヤセコールに関しては上下二個セット。どうやってもミラーレスカメラには使えません(改造すれば使えるかもしれませんが)。なので、写りは素晴らしい上に、レンズの値段も買いやすい落ち着いたものというのも魅力です。とくに55ミリは写りで有名なレンズだそう。

 

レンズ群。55、105、135ミリと、だいぶ集まってきました。

 

レンズ交換の様子。手間がかからず、すぐ交換できて便利です。

 

それに特筆すべきは、C330は接写が可能だということです。一般の二眼レフは寄れないものも多いです。例えばローライフレックスでは最短1メートルの距離がいるとのこと。
このC330は蛇腹がついており、蛇腹を繰り出せば前後に広がって、すぐ前に寄って、ミカンだけを四角のファインダーの中いっぱいに収めることができるほど寄れます。このコロナ禍で、外に出かけられないような時も、家の中でいろいろ寄って撮れるというのも面白いじゃないですか。身近にあるものだって、切り取り方で面白い作品にすることもできると思います。
わたくし最近、蘭の栽培も好きなのですが、花が咲いたらこのC330で全体を撮り、次に花に寄れるだけ寄って撮っています。花を接写で写して、周りを綺麗にぼかすこともでき、重宝しています。

 

C330を持っていると「ダイアン・アーバスみたいですね」と言われることがよくあります。調べると、彼女が箱形のかっこいいフードを付けている写真が見つかりました。その姿がなんともかっこよかったので、わたしもわたしもと思い、あちこち探して箱フードを買ってみました。
またこのC330は、ベテランの方が昔によく使ったとあって、「このフードいる?」「このアクセサリー出てきたけどいる?」と、いただいたりして、いろいろアクセサリーも増えてきました。全部付けたらやたら強そうになります。
合うレンズがないのに、フードだけ先に買う人を、(この方、どうかしているのでは?)と思っていましたが、自分も角フードを見つけてすぐに買いました。レンズはまだ買っていません。(どうかしていますね……)

 

あのダイアン・アーバスの持っていたような、かっこいい角フードを見つけてつい買いました。レンズはまだです。

 

フード、スポーツファインダー、グリップをつけて正装。大きいです。

 

マミヤC330、わたしが持つとこのような感じに。

 

マミヤC330は重いのは重いですが、機能的にも素晴らしく、使ってみると、やっぱりマミヤC330だな……と思うくらい良いカメラなので、日常でいっぱい使って楽しもうと思います。

 

 

マミヤC330で撮った写真。王子駅近く(マミヤC330、f8、1/500、ロモメトロポリス)

 

マクロもいい感じです。ボジフィルムで撮るのも楽しい。(マミヤC330、f4.5、1/60、富士フイルム ベルビア100)

 

買った当日の写真が出てきました。嬉しそう。撮ってもらったカメラは三葉堂寫眞機店さんのポラロイドです。

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