OM-3の佇まい、好きです。
わたしは仕事ではなく、趣味で写真を撮っているものですから、撮影の9割はフィルムカメラを使っています。今、一番よく使っているのもライカA型と、煙突みたいな距離計ですから、最新型のカメラには正直、あまり触れてこなかったのです。それでもOM-3を見るなり(あっ、これはちょっと触ってみたいな……)と思いました。
まず全体の見た目がフィルムカメラのOM-1っぽい。今、スマホの性能がどんどん良くなってきて、小さい・軽い・即撮れるという時代に、カメラをわざわざ使うには理由が要ると思いませんか? それは物としての充実というか、これを所有している自分がかっこいいかどうか、気分が上がるか、質感が手に心地よいかどうかに尽きるのではないでしょうか。わたしはファッション系女性誌をよく読むのですが、おしゃれ系小道具として絶対に出てくるのがカメラで、それも決まってフィルムカメラばかり出てきます。例えば、OM-1やPen Fみたいな。
じゃあ、OM-3は、昔のカメラに外側の雰囲気だけ似せているのかな? と思いきや、触ってみるとほどよい重さにまず(いいな)と思いました。これ以上重くなると、鞄に入れて毎日持ち運ぶのは疲れる。これ以上軽くなると嘘っぽいというか、何か違う感じがする、みたいな、OM-3はフィルムカメラ好きの面倒な好みにも合う佇まいなのではないでしょうか。日常で鞄に入れて毎日持ち運べるぎりぎりの最大値がOM-3だと、わたしは思います。
文字ではお伝えしにくいところなのですが、ダイヤルの感触が素晴らしいのでぜひ触っていただきたい。高級感があります。
この薄さ! ギリギリまでバッテリーを大きく、バッテリーのもちを良くしたのだとか。たしかに、一日持ち歩いてもまったく充電のことが気になりません。
さっそく使ってみると、まず持ちやすい。側面がカクカクじゃなく、ゆるく六角形のような形になっていることで、力を入れなくてもしっくりと手に馴染みます。サムレストもここにあってほしいところにあり、側面からメモリーカードを出し入れできるのも、使い手にカメラの方から寄り添ってくれる感じがして好きです。
電源スイッチに関しては、やはり右手側にあってほしかったという人もいて、賛否両論あるらしいですが、わたしは左側にある電源スイッチの、パチン! という感触が好きです。電源入ったか入ってないか、どうにもはっきりしないカメラもある中で、パチン! 今オンです! パチン! オフにします! と目と音と感触でわかりやすいのはいい。
背面から。液晶モニター。
液晶モニターは自在に動きます。
液晶部分を隠すこともできます。運搬時の保護にも。
新宿のOM SYSTEMのショールームに行かれたら、ぜひOM-3をいろいろ操作していただきたい。カチ、カチ、と手に気持ちよい感じで動いて止まる、誠実な機械の質感にまた(いいな)となることでしょう。
ちなみに、OM SYSTEM併設のギャラリー「OM SYSTEM GALLERY」では、プロの写真家や公募で選ばれた作品など、いつも素敵な写真展をやっており、毎回見応えのあるものばかりですので、いつ行っても楽しめます。わたしが行ったときには写真家のコムロミホさんの、パリで10年にわたって撮影した作品展、「Retro Perspectives」でした。(3月17日に終了)
OM-3を使ってしみじみ思うのは、カメラって、ファインダーが本当に大事だなと。まずは明るくて見やすい。かつ、今知りたい情報がすぐわかる。OM-3に関しては、説明書と首っ引きでなくとも、どこを触ればいいかのヒントが、とてもわかりやすくファインダー内に表示されます。初日、写真のプロじゃないわたしが、何の説明書も読まずに持ち出してみました。テストで少し撮り歩くつもりが、面白いなOM-3! となり、どこまでも歩いて行くことに。
逆光でもファインダー内が見やすいのは助かりますし、今まさに、カメラで景色を切り取っているという没入感があるのもいい。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROのレンズをつけて、これってどこまで寄れるのだろう? と試したら、フードのきわくらいまでびっくりするくらい寄れる。(なんと35mm判換算で、ズーム全域、最大撮影倍率0.5倍とのこと)
十円玉の写真をご覧ください、トリミング無しです。日常使いのカメラは、結局、どのくらい寄れるのかが一番大事じゃないかと思うのです。日常で出会った小さなもの、たとえばドングリとか今日咲いた花とか、おしゃれな器や小物もそう。これだけ寄れることに嬉しくなって、咲いたばかりの花をいそいそと撮影しました。
十円玉もこのとおり。
花を撮るのも楽しいです。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROとOM-3は園芸好きにもお勧めしたい。
マクロ撮影は、もちろんスマホでも撮影可能なのですが、綺麗に背景がぼけた、良い感じの写真を撮りたいとなったときには、やはりOM-3に軍配が上がります。ピントもまごまごしないし、雰囲気のあるテーブルフォトもお手の物です。
アクセサリーや小物の個人販売店、もしくはネイルサロンの宣伝、メルカリの販売など、イメージがそのまま販売に結びつくような場所にもかかわらず、写真がなんだかのっぺりして残念なことがあります。そんなところには「OM-3ですよ!」と勧めて回りたい。
わたしは園芸も趣味の一つなので、花を撮ることも多くあります。でも、(あれ? こんな色だっけなあ)となることも多々あります。カメラ自体の色の解釈もあると思いますし、反射光の色や光源によっても、花そのものの色が影響されてしまうようです。調光されたライトを使えばいいのですが、毎回はそうもいかず……。
この前面のクリエィティブダイヤル、触った人がみんないい感触だと評判です。
OM-3には、CP+の時にトークショーで写真家の赤城耕一先生も回しながら「これ回すと手に気持ちいいんですよ」と絶賛していたクリエイティブダイヤルがあります。クリエイティブダイヤルとは、OM-3の前面にあるダイヤルで、色味を調整するものです。
色味を調整するって、シアン+1とか、-2とか、そんなの他のカメラでもいくらでもあるじゃないか、という向きもあろうかと思いますが、OM-3は、カラープロファイルコントロールで、カラーが色の円グラフみたいに表現されているのですね。青だけ彩度を上げようとか、次は緑を下げてみようとか、じゃあ反対側の色も弱めてみようとか、つまみで回しながら個々の色味の調整ができるので、感覚的にとてもわかりやすい。自在に色を作れますし、一目で色全体の要素を捉えることができるのは新鮮な驚きでした。
https://jp.omsystem.com/product/dslr/om-omd/om/om3/feature2.html
自然光で撮っても何かの反射か、空が陰ったせいか、見た目の色と違うときがあります。これが色味をいじらなかった一枚目。
目の前の花と色を見比べながら、クリエィティブダイヤルで細かく色味を調整したもの。これがいちばん見た目に近い色にできました。
好きな写真家の色味を、カラープロファイルコントロールでそのまま真似して撮るのも楽しそう。好きな映画の色合いに寄せていくのも楽しそうです。
色味も変えられますが、モノクロではカラーフィルターを選ぶことができます。カチカチ回していくと、(この黄色フィルターのところがいいな)と、いい按配のところが見えてくるので、そこからさらに調整したりできるのは楽しい。粒状性も選べます。
モノクロ撮影も楽しい。比較のためにまずカラーで撮影しました。
これはモノクロのフィルターを操作して、一番しっくりきた、黄色フィルターで撮影しました。楽しい。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROをつけたOM-3を持って、旅行に行くの、本当に楽しそうだな……と思います。旅先で小さなカニを見つけたら寄っていき、遠くに船が見えたら望遠側に。小回りがききますが機能は充実。バッテリーの充電? 忘れてて大丈夫。刺身の舟盛りが出たら、即座においしそうな色味を作って撮り、動画も撮れるし雨が降っても防塵防滴。大きくて、あまりにごつい機械感があるカメラだと、「仕事の撮影かな?」という本気感が出てしまいますが、旅先でのおしゃれにもOM-3は小粋に合うと思います。春の行楽にいかがですか。
業界最軽量のこのレンズ、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROで、まず広角側から。見晴らしの良い景色もこの通り。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、今度は望遠側。もちろん同じ位置から撮影しています。
表に出ると飛行機雲が出ていました。こちらはそのまま撮影。
アートフィルターも試してみました。トイカメラのように周辺が落ちる「トイフォト」
褪せたような色がおしゃれなアートフィルター、「ライトトーン」
これは驚きのアートフィルター、「クロスプロセス」。ただの土手がジャケ写のように。
個人的に面白いなと思ったのがこちらのアートフィルター。雰囲気のあるイラストにしてくれます。「リーニュクレール」。
ぼかす必要があったりして、写真じゃなくて絵が欲しい時もあるじゃないですか。こちらはいい感じに水彩画にしてくれます。アートフィルター、「ウォーターカラー」
街角の赤い車を撮影。ナンバーのみ加工(OM-3・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO・絞りF4・1/800秒・ISO200)
ぎっしりした植物のおうち。(OM-3・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO・絞りF4・1/50秒・ISO200)
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