美しい佇まいのSONY α1 Ⅱ(ILCE-1M2)。日常でも使える大きさでありながら、堂々たるフラッグシップ機の機能を有します。
わたしはSONYのα7 Ⅱを長年愛用しておりまして、以前にもオールドレンズを付けて撮り歩く連載をしていました。(過去記事はこちら→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=142)このたび、去年の12月に発売されたばかりのフラッグシップ機、α1IIを使ってみることに。
高級感のある艶消しの質感が好きです。
最初に試してみたい! と思ったのはAIプロセッシングユニットです。従来のα1では人物・動物・鳥の三種類だったものが、α1 Ⅱではオート・人物・動物/鳥・動物・鳥・昆虫・車/列車・飛行機と、認識対象がぐっと増えました。被写体の認識能力も向上しているとか。
自在に動かせる背面の液晶モニター。
動物と鳥を撮るのなら動物園だな、とFE 28-70mm F2 GMのレンズをつけて上野動物園へ。今までは主にオールドレンズを付けていたものですから、全部自分でピントを合わせなければならず、あたふたしているうちにアシカは素早く通り過ぎ、カワウソはどこかにいってしまう始末でした。
FE 28-70mm F2 GMをつけて、いざ動物園に出発。FE 28-70mm F2 GMは、マニュアルでの操作も使いやすい。
とはいえ、動物と言っても幅広く、動物園にはいろんな動物がいろんな姿でおります。フラッグシップ機の最新AIでのオートフォーカスとは言え、どのくらい動物を認識できるのだろう、と思っていたら、ちょうど寝ているバクがいました。バクと聞いて、すぐ姿が思い浮かぶでしょうか? 寝ているバクはどこが頭か尻かもわからない雰囲気で、ぴくりとも動かない土色の塊。まさかこれを動物とは認識できないだろう、人間の私が見ても、ぱっと見は動物だとはわからないしな……と半信半疑でカメラを向けたら、ちゃんとオートフォーカスの枠がついて本当に感心しました。AIプロセッシングユニット、よくぞここまでと思ったものです。
手始めに、ちょこまか動くプレーリードッグたちを撮りました。(SONY α1 Ⅱ・FE 28-70mm F2 GM・絞りF4・1/80秒・ISO100)
今回は、気まぐれにトラが水を飲みに来たのも幸運でした。ガラスの反射と映り込みもあり、一瞬だけ空間があいた人と人の頭の間で瞬時に撮らなければならないという、カメラ内AIにとってもなかなか過酷な状況でしたが、慌てずにカメラを向けたら、トラの身体を囲むようにオートフォーカスの枠がつき、自動的に瞳にもピントがバッチリ当たっていて小躍り。従来のカメラを使っていたら、撮れていたかどうかはわかりません。α1 Ⅱは一瞬のシャッターチャンスを逃さないカメラだと思います。後でトラの顔の一部だけトリミングして拡大しても、ぼやけることのない高解像度にも驚きました。
以前ならば絶対に撮れていなかったであろうトラ。(SONY α1 Ⅱ・FE 28-70mm F2 GM・絞りF4・1/160秒・ISO250)
一部をトリミングしました。猫みたいですね。あんなに悪条件だったのに、さすがの動物認識で瞳にばっちりフォーカスがあたっています。
フラッグシップ機というと、高性能だけれどもやたら大きくて重い、持っているとお仕事の雰囲気が強くなりすぎるというイメージがありました。SONY α1 Ⅱに関しては、日常に溶け込む大きさと重さでありながら、これほどまでの性能を秘めていることに驚きます。女性が一日提げていてもまったく問題を感じないサイズ感です。
わたしの手はあまり大きい方ではありませんが、片手に乗るこのサイズ感です。
1秒間に30コマ、最大1秒前までさかのぼって撮影できるプリ撮影もあり、一台あればプロからアマチュアまで、すべての人に全方位で活躍するカメラなのではないでしょうか。メモリーカードに関しても、高価なCFexpressカードと、手に入りやすいSDカードの両方が使えるのはありがたい。撮影状況によって使い分けができます。
CFexpressカードと、SDカードの両方が使えるのは本当にありがたい。
α7 Ⅱを使っていたので、α1 Ⅱの操作に手間取ることはまったくありませんでしたが、メニューモードがとても使いやすくなっていて、そこにも改善が見られました。バッテリーのもちも格段に良くなり、予備のバッテリーは使わずに一日撮り歩きました。
撮影者にとっての使いやすさが考えぬかれたメニューと、認識できる撮影対象の多さに驚きます。
今回、獲物を狙って急降下する猛禽を撮ったりはしていないので、このオートフォーカスが野生動物や野鳥に、どこまで認識できるかまではわからないのですが、強力なAIアシストのおかげで、撮影者に気持ちの余裕が生まれるのはありがたかったです。これからのカメラの進化の方向性が見えるような気がしました。
こちら側にのしのし歩いてくるシロクマ。(SONY α1 Ⅱ・FE 28-70mm F2 GM・絞りF7.1・1/500秒・ISO100)
筒の中を素早く泳ぐカワウソもこの通り。(SONY α1 Ⅱ・FE 28-70mm F2 GM・絞りF4.5・1/250秒・ISO100)
カワウソをトリミングしてみました。ひげの一本にもピントが……!
茶色い背景の茶色いヒグマもこの通り。(SONY α1 Ⅱ・FE 28-70mm F2 GM・絞りF4・1/160秒・ISO100)
ぴくりとも動かない、眠るゾウにもAFの枠がちゃんとつくんですよ。SONY α1 ⅡのAIプロセッシングユニット、賢すぎる……!(SONY α1 Ⅱ・FE 28-70mm F2 GM・絞りF5.6・1/320秒・ISO100)
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