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本日のマイカメラ

第32話 LIGHT LENS LAB レンズ毎日日記前編「LIGHT LENS LAB M 35mm f/2 周八枚」(焦点工房)

2024/05/14
柊サナカ

ライカM4につけたところ。美しい……!

 

もう数年前のことになりますが、拙著「谷中レトロカメラ店の謎日和」が中国にて書籍、オーディオ判で発売されたことをきっかけに、少し中国のSNSを覗いてきました。やはり国は違えどカメラ好きは同じ、新製品を手に入れて嬉しそうな方から、珍しいカメラを手に入れて得意顔の方もいて、(どこも同じだなあ)と思えて面白かったです。

 

その投稿の中のタグで、<八枚玉>と書いてあるものがけっこうあって、この八枚玉っていうのは日本ではあまり見ないタグだけど、何なのだろうな……? と思っていました。当時のわたしは、まだライカを持ち始めたばかりで、レンズのことまではよく知らなかったのです。
 

投稿に八枚玉、と書いている人は、どの人も誇らしげにカメラを掲げていたりします。顔からもにじみ出る嬉しさ。
 

八枚玉というのが、「ズミクロン35mm F2」を指すのだということを後から知りました。6群8枚だから”八枚玉”というらしい。そうか、と思って、おいくらくらいだろうと何気なく値段を調べたら、ギャッ! と言ってしまいましたよね。投稿に<八枚玉>と書いて、あんなに嬉しそうな顔になるのもわかります。「神話」「伝説」などと言われるわけです。

 

当たり前ですが、そんな”伝説のレンズ”も、年々状態の良いものの数は少なくなるのが宿命です。同時に値段も高騰していき、なかなか手を出しづらい価格に。
 

そんな状況の中、その伝説のレンズを研究、当時の材質にまでにこだわって復刻した人が現れました。
 

中国、LIGHT LENS LAB(光影鏡頭実験室)で、復刻レンズの開発を進めたのが「周さん」。そしてこのレンズ、LIGHT LENS LAB M 35mm f/2のことを、人々は尊敬の念を込めて「周八枚」と呼んでいるそう。中国の実業家である周氏とは、いったいどんな方なのでしょうね?
 

「そうだ、ズミクロン35mm F2の八枚玉を研究して、オリジナルレンズの材質と同じように復刻して作ってみよう!」と思いつき、実現にまで至る人が世界にどれだけいるでしょう。すばらしいことです。思いの強さが尋常じゃない。周さんがミシン好きとかじゃなくて、カメラ好きで本当によかったですよね。そのおかげでわたしも今回LIGHT LENS LAB M 35mm f/2を使えるという恩恵を受けられるわけですから。
 

「神話」「伝説」と称されたレンズとまったく同じ、いや復刻なので、もはや発売当時の、新品の状態で使えるというわけです。こんなに嬉しいことはありません。

 

というわけで、LIGHT LENS LAB M 35mm f/2をフィルム(ライカM4)と、デジタル(SIGMA fp)両方につけて、嬉しいので、もう毎日持ち出して使ってみますよ。欲望のおもむくままに毎日撮り歩いてみて、どうだったかお知らせいたしましょう。

 

 

 

SIGMA fpにつけたところ。こちらにも似合います。

 

斜め上から。焦点工房のマウントアダプターを使いました。

 

 

まずは外観から。
 

ずっしり高級感のある重みで、材質は何だろうと気になったら真鍮なのですね。オリジナルがアルミ合金ということなので、むしろ当時より頑丈になっているという話。オリジナルに敬意を表しつつ、現代の技術で改良できるところは改良というのは素晴らしい。赤丸の取り付け表示、綺麗だなと思ったらなんとルビーだそう。贅沢な話ですよ……。

 

とりつけてみておやっと思ったのは、ピントの無限遠でピタッカチッ! と止まるところ。なんとも気分良く使えます。この無限遠ロックの仕組みも復刻なのだそう。しかし、この仕組みがどうなっているのかわからない。金属がこんなにするする動いて、ピタッカチッ! と気持ちよく止まるものなのでしょうか? 用もないのに何度も触ってしまいます。操作のよろこび!

 

ただしこのLIGHT LENS LAB M 35mm f/2は、フィルムのライカは機種によって干渉してしまうこともあるとか。わたしのM4は大丈夫でした。心配な方は、店頭(フジヤカメラ、マップカメラなどで取り扱い中)で実際に試してみた方がいいかもしれません。

 

わたくしが実際に撮ってみてこんな感じというのを、一枚一枚、普段より写真多めでお伝えしていきますね。まずはライカM4、コダックのフィルム、コダックゴールドで撮影。
 

しかしこのライカM4につけてみたときのしっくり感といったらないです。

 

LeicaM4・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF5.6・1/1000秒・コダックGold200

バナナの木。このバナナの木の写真を見た瞬間、周さん……、とつぶやきましたよ。バナナの立体感、すごくないですか? 奥の木がぼけていて、手前の有刺鉄線も少しぼけている。人間の目より本物の記憶の中のバナナらしく写っている気がします。

 

LeicaM4・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF8・1/1000秒・コダックGold200
上野、アメヤ横町前。こんどは絞ってみました。観光客も影もくっきり。絞ったときのシャープさも好きですね。

 

LeicaM4・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF8・1/1000秒・コダックGold200

上野の公園、パンダの水らくがき。どの人が描いたのかわからなかったのですが、じつに鮮やかなパンダでした。水がすでに乾きそうになっているところ、無限遠がパチッと止まるので、すぐに撮れました。

 

LeicaM4・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF2・1/250秒・コダックGold200

通りすがりの胡蝶蘭を開放で。ピントがきているところはくっきり、後ろのボケ方も自然で好きです。

 

LeicaM4・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF2・1/250秒・コダックGold200

油絵教室での一枚。開放で撮りました。机の所を見るとピントの合っている範囲がわかりやすいですよね。破綻のない、自然な雰囲気が気に入りました。

 

このライカM4と、LIGHT LENS LAB M 35mm f/2の組み合わせは、外観、写りとも最高だなと思いました。見た風景よりももっと、記憶に近い写りをするような気がします。フィルムでもどんどん撮りたいですね。

 

今度はデジタル、SIGMA fpに焦点工房のアダプター(SHOTENマウントアダプター LM-LSL Macro)を介してつけてみました。このヘリコイド付きアダプターは接写もできるのでいい。(ただし、ズミクロン35mm F2の作られた時代は、ヘリコイド付きアダプター+フルサイズミラーレス機は当然なかったので、接写で写りを評価するのはフェアじゃない気がします……が、せっかくなので撮ってみました。一番後に載せます)

 

SIGMA fp・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF2・1/30秒・ISO2500

イワシ水槽の光。前に人を入れて群れの大きさを表現してみました。イワシの一匹一匹の光も撮れたと思います。

 

SIGMA fp・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF2・1/30秒・ISO3200

糸のようなクラゲ。照明の加減か、二重にフレアが入っています。このフレアの入り方もちょっと気に入っています。

 

SIGMA fp・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF2・1/30秒・ISO160

エゾピリカ。羽毛の様子や水滴など、リアルですよね……。

 

SIGMA fp・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF8・1/1000秒・ISO100

曇天、激しく打ち寄せる波。波しぶきがすごい日でした。

 

SIGMA fp・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF2・1/25秒・ISO100

大洗のかき小屋。海老の殻などの質感が、まさにそこにあるように写りますよね。

 

同条件で、ガラスのうきを撮りました。
開放のf2とf8です。

 

SIGMA fp・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF2・1/25秒・ISO100

開放だとこんな感じに。

SIGMA fp・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF8・1/25秒・ISO100

絞るとこんな感じになります。
 
ヘリコイド付きアダプターを繰り出して接写してみました。

 

SIGMA fp・LIGHT LENS LAB M 35mm f/2・絞りF2・1/25秒・ISO100

ランの花。15センチくらいにまで接近して撮りました。

 

このLIGHT LENS LAB M 35mm f/2、一本あればフィルムとデジタル両方で大いに楽しめることでしょう。
 

ベテランの方と話をしていて、「周八枚、いいですよね」という話になり、そのベテランの方は、自分の持っているオリジナルより写りがいいと思った、みたいな話をされていました。
 

オリジナルにはオリジナルの良さとロマンがあると思うのですが、わたしはこのLIGHT LENS LAB M 35mm f/2の写り、毎日持ち歩くくらい気に入りました。
 

気になった方は、焦点工房でぜひ見てみてください。

https://stkb.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000001627
 

漢字で、LIGHT LENS LABは光影鏡頭実験室なのですね。レンズ構成図が素敵です。

 


持ち運びにも便利な豪華なレンズケースも。

 

  • LIGHT LENS LAB M 35mm f/2 周八枚
  • 焦点距離:35mm
    フォーカス:MF(マニュアルフォーカス)※距離計連動型
    レンズ構成:6群8枚(ダブルガウスタイプ)
    対応撮像画面サイズ:35mmフルサイズ
    最短撮影距離:0.7m
    絞り:F2-F16
    絞り羽根:10枚
    フィルター径:39mm (E39規格)
    サイズ:Φ51mm×28.5mm(マウント部除く)
    質量:約230g
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  • 取り扱い=焦点工房
  • https://stkb.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000001627

 

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