英語の写真論のアンソロジー『Reading into Photography : Selected Essays, 1959-1980』(1982年)を入手したきっかけは、企画展『ニュー・トポグラフィクス(New Topographics)』の序論が収録されていたからでした。今回はそのあたりのテキストを見てみましょう。

同展は、1975年にジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館で開催されたもので、ロバート・アダムズ、ルイス・ボルツ、ジョー・ディール、フランク・ゴールケ、ニコラス・ニクソン、ジョン・スコット、スティーブン・ショア、ヘンリー・ウェッセル・ジュニア、ベルント&ヒラ・ベッヒャーの9組10名が参加しています。
序論を執筆した企画者のウィリアム・ジェンキンズは、展覧会タイトルをめぐって、こう述べています。

The word topography is in general use today in connection with the making of maps or with land as described by maps and it does not unduly stretch the imagination to see all photographs as maps of a sort. But for the sake of clarity a return to the original meaning may be helpful: "The detailed and accurate description of a particular place, city, town, district, state, parish or tract of land." The important word is description for although photography is thought to do many things to and for its subjects, what it does first and best is describe them.
今日、「トポグラフィー(地形学・地誌)」という言葉は、一般的に地図製作や、地図によって記述される土地に関連して使われています。そして、あらゆる写真を一種の地図として捉えることは、決して突飛な発想ではありません。しかし、意味を明確にするために、この言葉の本来の意味に立ち返ることは有益でしょう。それは、「特定の場所、都市、町、地域、州、教区、あるいは一画の土地の詳細かつ正確な記述(ディスクリプション)」というものです。ここで重要な言葉は「記述」です。写真は被写体に対して、あるいは被写体のために多くのことを行うと考えられていますが、写真がまず第一に、そして最も得意とすることは、被写体を「記述」することだからです。(翻訳 Gemini)
この序論は、ニクソン、ボルツ、ディール、アダムスといった参加者のテキストを引用しつつ展開されており、次のような文章で締めくくられています。
If "New Topographics" has a central purpose it is simply to postulate, at least for the time being, what it means to make a documentary photograph.
「ニュー・トポグラフィクス」展に中心的な目的があるとすれば、それは、少なくとも当面の間、「ドキュメンタリー写真を撮る」ということが何を意味するのかを、単に提示することなのです。(翻訳 Gemini)
『Reading into Photography』には、同展の参加者であるロバート・アダムズの写真集『The New West』(1974年)に掲載されているジョン・シャーカフスキーと作者によるテキスト、同じく同展の参加者であるルイス・ボルツによる『The New West』の書評("Art in America" 1975年)も収録されています。
それぞれの冒頭部分を少し紹介しましょう。

As Americans we are scarred by the dream of innocence. In our hearts we still believe that the only truly beautiful landscape is an unpeopled one. Unhappily, much in the record of our tenancy of this continent serves to confirm this view.
John Szarkowski
アメリカ人として、私たちは無垢の夢に傷つけられている。私たちの心の中では、真に美しい風景とは人のいない風景だけだと今も信じている。悲しいことに、この大陸を我々が占拠してきた記録の多くは、この見解を裏付けるものだ。(翻訳 DeepL)
ジョン・シャーカフスキー

The first uplift of the Rocky Mountains, the Front Range, revealed to nineteenth-century pioneers the grandeur of the American West, and established the problem of how to respond to it.
Robert Adams
ロッキー山脈の最初の隆起部であるフロントレンジは、19世紀の開拓者たちにアメリカ西部の壮大さを示し、それにどう対応すべきかという課題を突きつけた。(翻訳 DeepL)
ロバート・アダムズ

There is something paradoxical in the way that documentary photographs interact with our notions of reality.
Lewis Baltz
ドキュメンタリー写真が私たちの現実認識と結びつくあり方には、どこか逆説的なものがある。(翻訳 ChatGPT)
ルイス・ボルツ
『The New West』をめぐるテキストがこれだけ収録されているということは、とりわけ重要な写真集だと捉えられていたということでしょうが、1980年代の日本では、なかなか見ることができない写真集でした。
『New Topographics』のカタログの方は、さらにレアだったように思います。にもかかわらず(だからこそ)、日本でもじわじわと企画展『ニュー・トポグラフィクス』の影響が広がっていき、「ニュートポ」などと略される動向にまでなっていきました。
その後、『The New West』や『New Topographics』など、多くの写真集、カタログの、再編版、復刻版などが出版されました。残念ながら『Reading into Photography』は再版されていませんが、検索してみると入手困難ではないようですので、今日改めて参照してみると、新たな発見があるかもしれませんね。
ちなみに『New Topographics』は再編版が出版されたものの、しばらく品切れになっていましたが、最近再版されました。興味がある方は、この機会に入手を検討してはいかがでしょうか。


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