表紙。写真部……ではないですが、写真をいっぱい撮る部活です。面白いよ!
最近、映画はカメラが関係のありそうなものは全部見て、カメラが表紙にある漫画も、とりあえず全部読んでみることにしています。
そこで読んだ「写らナイんです」。表紙の女の子が持っているのはFUJIFILM instax SQUARE SQ1――となるとこれは多分、写真部の話で、思うような作品を写せない葛藤とか、青春のあれこれの話なのかな? と思ったら、もうまったく全然違いました。オカルト部の話でした。
写真部の話とは違いましたが、この「写らナイんです」勢いがあってすごく面白かったのでぜひ紹介したく……!
主人公は橘みちる。オカルト部に所属しており、いろいろな心霊スポットに行っては、心霊写真を撮るために日夜努力をしています。でも、どんな強力な心霊スポットに行っても心霊写真を撮ることができません。真面目に頑張っているのですが、こんなことでは、”全国高校オカルト部・選手権大会”優勝なんて夢のまた夢です。県大会も通過できるかどうか。しかも三年生が引退してしまって、オカルト部は廃部の危機に。
困った橘は、奇妙な噂のある黒桐まことを勧誘することに。黒桐は目の下にいつもクマをこしらえた、陰鬱な雰囲気の学生で、”あいつといると呪われる”ということで誰からも疎まれ避けられています。呪いは気のせいではなく、黒桐の周りでは不吉な事件がずっと続いています。
最初はオカルト部の勧誘を断る黒桐でしたが、どうしても心霊写真が撮りたくて、めげない橘の勢いに飲まれ……!
――という話なのですが、この漫画、次の展開はこうくるかな……? というところをちょっとずつずらしており、それがもう本当に面白く、かと思えばホラーの場面はびっくりするくらい怖くて、笑いありホラーあり、恋と友情と青春、しんみりもあって、情緒が全方位に揺さぶられます。ぜひ試し読みで第一話を読んでいただきたい。一巻読むうちに、橘も黒桐のことも大好きになりました。わたくし、すぐ書店に二巻を買いに走ったほどです。
中身を少しだけお見せします。この橘、めげなくて明るくて可愛い。
ホラー映画とインスタント写真って、とても相性が良いですよね。この「写らナイんです」でも、写真がとても重要な役割を持ちます。写真を撮られたら、絶対に身体の周りに心霊が写りこんでしまう黒桐は、みんなに気味悪がられ、修学旅行などの学校行事も来るなと言われ、自分の写った写真をあまり持っていません。
ところがオカルト部の橘は、霊を撮りたくて仕方がないのに、霊感が全然なく、ないばかりか霊を無意識のうちに吹き飛ばし、勝手に除霊してしまう体質の持ち主だったのです。この対照的な二人が出会ったらどうなるか。面白くならないわけがない!
えっ、オカルト部? えっ全国大会? なんて頭の中を ? でいっぱいにして読み始めたものの、黒桐の写真のくだりではぐっときて、わたくしちょっと泣きそうになりました。
作中の写真を、チェキ判ではなくFUJIFILM instax SQUARE SQ1のスクエア判にしたというのもよいですね。二巻では新入部員も増えて、ますます賑やかに。
そんな青春群像心霊写真(?)漫画「写らナイんです」をぜひ。
「都市伝説」「因習村」お好きでしょう? ぜひぜひ。
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