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第28話 「カメラとレンズのしくみがわかる光学入門」安藤幸司著 インプレス

2024/01/30
柊サナカ

「カメラとレンズのしくみがわかる光学入門」ためになって面白い光学入門書の決定版! おすすめです。

 

 

わたしは根っからの文系ですから、「ああ、いかにもトリプレットの写りですね」とか言いながらも、正直まったくわかっていません。ほわほわのボケが出るくらいはわかるのですが、なぜそうなるのかまでは説明できないですね。

 

一度、カメラの会合で、長年キヤノンのレンズを設計していらした、ベテランの光学設計関係の方と話し込み、その方がホワイトボード全体を数式と図でぎっしり埋めながらいろいろと解説してくださいました。できるだけ賢そうな顔をして、ええ、ええと頷いておりながらも(映画とかで天才が数式をいっぱい書いて語り出すシチュエーションがこの私にもついに!)くらいしかわからずに申し訳なかったです。

 

そういえば、モノクロ写真はなんとなく光と影でわかるような気もしますが、デジタルのカラー写真なんて、どうやって写っているのでしょう。カメラの中はいったいどうなっているのか、原理は何なのか。わからないことだらけなのに、機材だけはあれやこれやと増えていっています。これではいけない、と思って探したのが、この「カメラとレンズの仕組みがわかる光学入門」です。

 

入門本ってけっこう難しくて、わたしのようにカメラ歴だけはある人間が読んで面白い入門本って、実はなかなかないのです。それでもこの「カメラとレンズの仕組みがわかる光学入門」は、一時間目「光の色のはなし」「光の性質のはなし」という目次を見てもわかるとおり、カメラを使っていく上で知っておくといいことが、ちょうどいい按配で記されています。これ以上難しくなると専門的になりすぎる、これ以上易しくなるとだいたい知っている、というような絶妙なラインでなりたっているのがいいです。デジタルカメラマガジン連載で、「プロも読んでる人気連載、ついに書籍化!」と帯にあるのも頷けます。

 

目次を少しお見せします。お手元のカメラやレンズに深くかかわるお話。

 

1ページ目から字と数式がぎっしりだったら(無理です)となって尻込みしてしまうでしょう。でもこの本がいいのは、マサオ君と安藤博士の可愛いイラストと、わかりやすいカラーの図がたくさんあって、難しいことも感覚的に見てわかるようになっているところ。
 

デジタルカメラの色再現がどのようなしくみになっているか、CIE色度図に関してもわかりやすく、ひとくちに赤と言っても本当にいろんな赤がある中で、色をどう定義つけているのかということもわかります。「色温度、色温度」とわかったように言っていても、内心(何の温度だ……? 寒そうに見えるからそうなの?)などと思っていたことが、スッキリわかるようになっていてありがたい。

 

裏表紙もどうぞ。このかわいいマサオ君のおかげで和みました。ボケが何でできるか説明できない方は買いましょう。

 

「さすが非球面レンズですよね!」と言いつつ、非球面はなんでいいのか、というところまでは、(なんか昔は手磨きとかして職人のアレでいい按配に写るアレ。お高い)という理解にとどまっていました。マサオ君と安藤博士のおかげさまで、心の底から「さすが非球面レンズですよね!」と言うことができるようになりました。ありがたい。
 

あと、35mm判換算で○○の言い回しとかも、(なんで換算するの……? 何を換算しているの、謎……)と思っており、釈然としない思いがありました。これでもう何も怖くありません。
 

レンズ設計者がどのようにして光線追跡してきたか、手作業でどう計算していったかもわかるようになり、ほんとうにカメラの歴史は光学の歴史、より美しく、より写るようにと考え抜かれた知恵の結晶なのだなと思います。
 

光学のことをぜんぜんわからなくてもカメラは問題なく使えますが、わかったらもっとカメラが好きになる、そんな一冊です。カメラを趣味で始めた方にぴったり。

 

中身を少し。こんな風にいたるところに図があって、その図も可愛いので、(かわいい……)と思っているうちにスッとわかるようになる素晴らしさ。ピントが合う合わないはこれか、となりました。

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