先日『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系列)に出演させていただいた。ご存じ、町歩き番組の古株である。年に何回か呼んでいただいており、今回は東武東上線の旅で川越に降り立った。
ズバリ川越というと、小江戸と呼ばれる観光地である。江戸時代、徳川将軍家や江戸と関わりが深かったから小江戸と呼ばれるらしい。
観光の呼びものとしては、蔵造りの町並みであろう。なぜ川越に蔵造りの家が多いかというと、明治26年に起こった大火災がきっかけで、それ以後防火への意識が強まり、建物そのものを防火建築にすることを考えたという。焼け残った建物の多くが、伝統的な工法による蔵造りの建物であったことで、商人は争うように蔵造りによる店(たな)を建てたという。まあ、これまでそれを維持するには相当の修繕や修復がなされてきたと思いますがね。
で、今回はその蔵造りの紹介ではない。町のちょいと外れにある、路地である。路地の入り口にあった、飲み屋の看板が目に入った①。どうにもいい様子ではありませんか。昔は東京にもこうした看板が結構あったが、最近はあまり目にしなくなってしまった。しかし、地方では未だにお目にかかる。
①OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF7.1・1/500秒・ISO200
これはいいぞと、その路地に入って行ったのだが、驚かされたのは廃屋ばかりである②。しかも尋常な廃屋ではない。相当年季の入った廃屋である――まあ、年季が入っているから廃屋なったんでしょうけど。看板にあった『ロートレック』もひどい状態であった③。
②OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・15mm(35mm判換算30mm)で撮影・絞りF5.6・1/60秒・ISO640
③OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF5.6・1/80秒・ISO200
その廃屋の一軒で何やら作業をしている方を見つけた。工藤さんといって、宮崎出身の大工さんで、古い家をリノベーションしているという。中に入れて貰うと土壁が露出しているし、ひどい有り様である。ところが、屋根もなく、2年かかかってこの状態まで修復したという。しかし今でもこの様子であるからにして、2年前は目も当てられなかったでしょうね④。この通り、かつては川越でも有数な盛り場だったというが、経時で廃墟同然となり、怖がって近寄らない人もいたらしい。
④OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF5.6・1/60秒・ISO6400
その工藤さんから、川越蔵の会というのがあって、この路地の再生をしていると聞いた。喜多町弁天長屋(元々は川越芸者の置屋だった)という四軒長屋を改修して、お店やら工房やら1階と2階9つの部屋に分けて使っている。2階に上がらせてもらい外を見ると、なんとも立派な長屋が目に入った。四軒長屋どころではない。八軒ぐらいはある⑤。なかなかこんな立派な長屋はお目にかかれませんよ。改装して1軒だけ白い店舗になってしまっている。う~ん残念だな~。
⑤OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF7.1・1/160秒・ISO200
で、先ほどの工藤さんがその長屋を改装して、「Gallery & Cafe 二軒堂」なる店をやっていると言っていたから、最後にちょいとおじゃましてみた。ええ~これが廃屋だったの?⑥⑦ で、ひとりで改装したの? 凄いの一言!
⑥OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF5.6・1/60秒・ISO6400
⑦OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF5.6・1/60秒・ISO2500
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1952年、東京生まれ。70年、アルバム『万年床』で、フォークシンガーとしてメジャーデビュー。以後ラジオパーソナリティー、俳優、エッセイスト、タレントとして活躍。写真やカメラにも造詣が深く、写真家の顔も持っている。『町の残像』(日本カメラ社)など著書も多数ある。
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