Panasonic LUMIX S5・LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6・26mmで撮影・絞りF5.6・1/60秒・ISO250
町を歩いて写真を撮っていて、「はて、一体これはなんだろう?」と思うことがある。余程注意を払っていないと見過ごしてしまうだろうと思う程度の物で、著しく変わった物でもないのだが、つい「何?」と首をひねってしまう。普通はそんな物、気にもせずに通り過ごしてしまうのだが、なんだか分らないが一応押さえておこうとシャッターを切ることもある。以前『日本カメラ』誌に連載をしていた「帰ってきた町の残像」というフォトエッセイに載せたのが、①の写真である。ボーッとしていたら目に止まらなかっただろうし、例え目に止まったとしても、深慮もないままスルーしてしまうことであろう。「帰ってきた町の残像」のこの時書いたのが次の文章である。
①Panasonic LUMIX S5・LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6・26mmで撮影・絞りF5.6・1/60秒・ISO250
「このミラー、そう確かにミラーには間違いない。横手からそれを確認した。しかしこのミラーは垣根(植え込み)の中にある。そこには車が停められるスペースなど全くないし、道路側を向いていない。よって車のための安全確認のカーブミラーではない。玄関の脇に木が植えてあって、その横にこの2台のミラーがある。写真からは分からないと思うが、実はこのミラー、ひとつの直径が1メートルほどある。なんのために家屋側に向いている? 防犯のため? 明かり取り? 分からない!」
以前『ぶらり途中下車(日本テレビ系列)』で町歩きをしていて、家の外に幾つもの小型のミラーを取り付けているお宅を発見して、なんのためのミラーか尋ねたことがあった。
「あれですか? 隣にマンションがありますよね、実はあれが建ってからお日様があたらなくなってしまったんですよ。そこで苦肉の策としましてミラーに太陽の光を反射させて少しでも光を採り入れようとしているんです」と返ってきた。ミラーの光がどのぐらいの効果を発揮するのか分らなかったが、なんとも涙ぐましい努力であった。
しかし写真のミラーはそうした理由ではなかろう。光り採りならばミラーの向きがおかしいし、あまりに家に近付きすぎている。でここを通るたびに首をひねることしきりであった。そして撮影から2年半経った今、愕然とした。ミラーがないのである(②)。ええ~、いつから? そういえば数ヶ月前ここを通ったとき、斜目に「あれミラーの家、この通りじゃなかったっけ」そう思いながらここを通った。そのように疑問に思ったと言うことは、ミラーが目に入らなかったと言うこと――すでにミラーはなかったのであろう。しかも隣のあった木まで伐られてしまっているので、景観が変わってしまっていたのだ。
②OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO・20mmで撮影・絞りF6.3・1/60秒・ISO200・−0.3EV補正
で、「帰ってきた町の残像」にこのミラーの家のことを書いたとき、次の文章も載せた。
「拙著『町の忘れもの(ちくま新書)』の中にあるのだが、石の厚みが十㎝ほどある、防火用水のような物を発見したことがあった。」と。そのときはその物体の写真を載せなかったのだが、ここに『町の忘れもの(ちくま新書)』からの写真と文章を転載しておく。つまりこれも一体なんだか分らない物なのである。
「石の厚みが十㎝ほどあるので防火用水でもないし、旗竿を立てる土台でもない。上から覗くと、太い金属の筒がある。その筒の中には、さらに小さな筒がある。井戸? そう思ったのだが、物体と地面には隙間がある。またなぜ下に石の板をかませているのか、この物体、なんだか分からないのだ。」そして(③)がその写真である。これがいつ頃まであったのかは知らない――もしかしたらまだあるのかもしれない。しかしこれってなんのためにあるのだろう? とっくに役目を終えているように感じる。役目を終えているのなら、なぜ撤去されないのか? 分らない。
③RICOH GXR・絞りF5.1・1/6秒・ISO100・−0.3EV補正
さてもうひとつ分らない物を。
これは多摩川の下流、羽田の太子橋付近の防波堤に固定されている物である(④)。ちょっと離れたところにも同じ物が固定されているが(⑤)、形状が若干違う。大きさは5cmほどであろうか、前から見るとガラスが入っている――レンズかも知れないが、十字線が切られていてセンターが分るようになっている(⑥)。なんだこれ? そしてこれが向いている方向を見るとこの鉄塔が目に入った(⑦)。どうやら上部にある箱のような物に向かっているようである。光を当てるのなら④⑤に光源がなくてはならないが、そうした物はない。ここから覗くのであれば、この場所(位置)はおかしい。覗くのには身体は防波堤の河側からになる。そこに人は立てない。だいいち頭を横にしてもこの高さだと覗けない。
④OLYMPUS PEN-F・17mmで撮影・絞りF6.3・1/500秒・ISO100・−0.3EV補正
⑤OLYMPUS PEN-F・17mmで撮影・絞りF6.3・1/100秒・ISO100・−0.3EV補正
⑥OLYMPUS PEN-F・17mmで撮影・絞りF6.3・1/100秒・ISO200・−0.3EV補正
⑦OLYMPUS PEN-F・17mmで撮影・絞りF6.3・1/1600秒・ISO100・−0.3EV補正
世の中には分らない物が結構ゴロゴロしている――多分それが何者か分ってしまえば「な~んだ」とガッカリさせられるか、感心させられるかのどちらかであろう。しかしこれこそは相当アンテナを張って歩いていなくては見えてこない。アンテナを張っていても見過ごしてしまうこと必至。
さて、最後の④⑤だが、誰か知っている人はいないだろうか。もし知っていたら是非教えていただきたい。なんでしょ、これ?
●記念コンサート情報
なぎら健壱コンサート2023 下町情歌Part.18
・2023年11月4日(土)17:00開演(16:30開場)
料金(全席指定・税込み):一般5,000円(友の会4,500円)
会場:亀戸文化センター カメリアホール
●CD発売情報
なぎら健壱 レコードデビュー50執念記念ALBUM
「ぐるり万年床~あれから50執念~」 ROOTS-016
全国CDショップにて発売中!& デジタル音源配信中!
●書籍発売情報
『アロハで酒場へ ~なぎら式70歳から始める「年不相応」生活のススメ~』
判型四六判・1,815円(税込)・双葉社
●LIVE SCHEDULE
・8/26(土) 吉祥寺マンダラ2
・8/27(日) 新宿南口フォーク集会@こくみん共済coopホール
・9/16(土) 横浜サムズアップ
・9/30(土) 吉祥寺マンダラ2
・10/6(金) 長野・Rosebery cafe
・10/7(土) 松本ロフト
・10/8(日) 駒ヶ根・カントリーカフェ
・10/13(金) 旅とカレーと音楽の店 JAN (掛川)
・10/14(土) Live House UHU(静岡)
・10/15(日) Community Space ANTERA(富士)
・10/21(土) Goodstock Tokyo
・10/28(土) 吉祥寺マンダラ2
※「なぎらチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UCFCz3lDO-hXCb1NnVwTsgpA
※TOTAL INFO : http://roots-rec.s2.weblife.me/index.html
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