東京駅丸の内南口、そのすぐ眼の前にある、東京中央郵便局が取り壊されると聞いたのは何年前だっただろうか? 郵政民営化がスタートしたのが平成19年(2007年)で、時を同じくして東京中央郵便局の一部を残し、高層ビルを建設するという再開発計画が発表されたと記憶する。そこに至るまでは紆余曲折があり、建築関係者や政界人などによる保存運動の力が大きく働いたと聞いた。
平成25年(2013年)3月21日、旧東京中央郵便局は『JPタワー』となって地下4階地上38階、丸の内エリア最大級の事業ビルとなった。旧東京中央郵便局舎の一部を保存、再生しているのだが、低層棟にある商業施設がそれで、『KITTE(キッテ)』という名称である①②。
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO125・−0.7EV補正
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO100・−0.7EV補正
裏手に回るとかつての外観がそのまま残され、とてもその後ろに見える38階建てのビルが同じ建物だとは思えない③。蛇足だが、4階には旧東京中央郵便局長室も残されている④。
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO100・−0.7EV補正
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・35mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO100・−0.7EV補正
こうして元の建物を維持しつつ(残しつつ)、その上に新たな建造物を配する建築工法をなんと呼ぶのだろう? そんなことを考えていたら、ふとひらめいた。『親亀の背中に子亀を乗せて工法』なんてのはどうだろう。昔「♪親亀の背中に子亀を乗せて 子亀の上に孫亀乗せて 親亀こけたら 子亀孫亀皆こけた」などという戯れ歌があった。おいおい、「皆こけた」はどう考えてもマズイだろう。『親亀の背中に子亀を乗せて工法』は却下!!
で、こうした工法は希有なものと思っていた。と言うのも、今まであった建物を残して再利用するということより、取り壊して一端更地にしてから新たにビルを建てる方が作業的にも容易だし、金銭的にも費用節減になることは間違いない。それに耐震化を図ることなどが必須であり、さらに費用もかさむことであろう。耐震化によって外観が損なわれたりすれば本末転倒である。
ところが、である。ある資料を見ていたら、こうした低層部を残しつつ高層部を新たに建設している建物が丸の内や大手町界隈には結構あるという。
⑤は『KITTE』から眺めた景観であるが、手前の建物が『丸ビル』⑥、その向こうが『新丸ビル』⑦、そして奥に見える茶色いビルが『日本工業倶楽部』⑨のビルであるが、高層階は三菱UFJ信託銀行本社ビルになる⑧。
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・32mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO100・−0.7EV補正
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO125・−0.7EV補正
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF5.0・1/60秒・ISO100
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF8.0・1/60秒・ISO320
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・33mmで撮影・絞りF7.1・1/80秒・ISO100
見てわかる通り、みな一様に低層部が同じ高さということである。これはこうした建物が建設された時代、このあたり一体の建物は100尺(30、303㍍)の高さにする基準があったという。写真には写っていないが、『大手町野村ビル』なども美しい⑩⑪。
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF8.0・1/60秒・ISO320
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・53mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO400
つまりその時代の建物を残すという、なんとも天晴れな行為であろうか。他にも⑫⑬などが眼についた。
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO800・−0.7EV補正
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・28mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO800・−0.7EV補正
また側にある『三菱一号館美術館』の赤煉瓦の建物も後ろのビルとくっついていると思ったのだが、裏に回ってみると別々の建物であることがわかった⑭。どう見ても後ろのビルが上層部に見えるのだが、同じ建物ではない。この建物、三菱が1894年(明治27年)に建設した『三菱一号館』を復元したもので、2010年(平成22年)春に誕生した新しい建物である。
Panasonic LUMIX S5・SIGMA28-70mm F2.8 DG DN・35mmで撮影・絞りF7.1・1/60秒・ISO250・−0.7EV補正
こうしたビルって結構あるんですが、我々は気にしていないから眼に入らない。では気にしながら歩いて、第二弾もありですかな!
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