二子玉川から渋谷行きのバスに乗ると、土手のようなものが見えて、それが気になって仕方がなかった。「何だろうあれ?」と車窓から眺めては首をひねっていた。
でもって先日、それを見に行ったのだが、確かに土手のようである。しかし川はどこにもない。歩いていると看板が眼に入った。そこには「玉川西陸閘」と書かれている。なんだそりゃ? 陸閘の読み方すら分からない。①の写真がその土手のようなものに上がって撮ったものである。②は上から見た逆側の写真で、右端に見えるのが二子玉川駅(東急田園都市線・大井町線)である。
①OM Digital Solutions OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF7.1・1/800秒・−0.3EV補正・ISO200・WBオート・RAW(2022年8月15日)
②OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・27mm(35mm判換算54mm)で撮影・絞りF7.1・1/640秒・−0.3EV補正・ISO200・WBオート・RAW(2022年8月15日)
そういえば、小名木川と隅田川の運行する船の水位を調節する施設を閘門(こうもん)と言ったっけか? ということは、陸閘は「りくこう」と読むのか? 辞書で調べるのだが、陸閘はヒットしない。広辞苑も新明解国語事典にも出ていない。そこでGoogleに陸閘と打ち込むとあっさり出てきた。読み方は「りっこう」か「りくこう」とある。
ついでに陸閘の役目も調べてみた。ありゃ、陸閘というのはこの土手のようなもののことではないんですな。
「陸閘とは、河川等の堤防を通常時は生活のため通行出来るよう途切れさせてあり、増水時にはそれをゲート等により塞いで堤防の役割を果たす目的で設置された施設」とある。
つまり、この土手はやはり堤防なのだが、陸閘とは堤防のことではなく、人や車が通れるように作られた切れ目ということになる。そして陸閘は多摩川の氾濫時に、堤防の役目を確保するために締め切ることのできる設備である。③の写真にある堤防の切れ目が陸閘ということになりますな。陸閘の先、南側に70mほど行くと多摩川である。④の写真が多摩川の河川敷である。
③OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・31mm(35mm判換算62mm)で撮影・絞りF7.1・1/400秒・−0.3EV補正・ISO200・WBオート・RAW(2022年8月15日)
④OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF7.1・1/1000秒・−0.3EV補正・ISO200・WBオート・RAW(2022年8月11日)
この堤防は多摩川改修工事の時に作られたらしい。着工は大正7年(1918)、昭和8年(1933)完成とあるから、15年の年月がかかったことになる。この堤防は国の管轄で、工事対象区間は河口から上流まで約22km、世田谷区玉川1丁目から野毛2丁目付近の堤防もこの時築かれた。つまり、玉川西陸閘と東陸閘である。
⑤は陸閘に近寄っての写真である。なるほど、この切れ目に鉄板か石板のゲートを差し込んで水を止めるというわけですな。待てよ、鉄や石で出来たゲートだったら、相当重量があるから重機等が必要になるんじゃないの? たとえ木の板だとしても、ひとりやふたりじゃ無理でしょうよ。しかも⑥の写真をご覧下さい、溝がコンクリートで塞がれている。しかもこの堤防から多摩川の間に民家が沢山あるというのも解せない。すでに堤防の役目はしていないってことですかね?
⑤OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF5.0・1/60秒・ISO200・WBオート・RAW(2022年8月15日)
⑥OM Digital Solutions OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF5.6・1/640秒・−0.3EV補正・ISO200・WBオート・RAW(2022年8月15日)
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1952年、東京生まれ。70年、アルバム『万年床』で、フォークシンガーとしてメジャーデビュー。以後ラジオパーソナリティー、俳優、エッセイスト、タレントとして活躍。写真やカメラにも造詣が深く、写真家の顔も持っている。『町の残像』(日本カメラ社)など著書も多数ある。
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