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推すぜ!ペンタックス

第38回 高らかに一眼レフで行く宣言をしたPENTAXのシンボル、ペンタックスK-3 MarkⅢ ②

2022/08/18
赤城耕一

待望のフルサイズデジイチ。ただ肥大化したボディサイズが、ね

 

ペンタックスはAPS-Cセンサー搭載を前提として、長い間一眼レフを開発してきましたが、35mmフルサイズセンサーを搭載したK-1登場時の一瞬、少しだけ潮目が変わったような気もしました。
 

繰り返して述べますが、筆者としては、フィルム一眼レフ時代のレンズやアクセサリーを共用できるデジタル一眼レフシステムは、35mmフルサイズセンサーを搭載するカメラを用意するのは必然だと考えていたこともあります。フィルム時代からのパフォーマンスをそのままデジタルにおいても活用したいと考えるのは当然だと考えるからであります。
 

ところがK-1は、35mmフルサイズセンサー搭載と、高性能、高画質ぶりと引き換えに、少々手に余るサイズになりました。
フィルム一眼レフのLXやMXなどの細身のボディを撫で撫でしながらこれまで生きてきた作者としては、最初にK-1を手にした時、かなり残念感が漂ったことは事実です。
ま、今では慣れてしまいましたので、ねちねち言う気はないのですが、それでも、もうちょい何とかならんかのうと思い続けています。内緒ですけど。

 

ボディ左肩にある、モードダイヤルですが、これがシャッタースピードダイヤルだったらなーと思う人も少なくないはず。

 

絶妙なサイズ感、コンサバデザインが秀逸。

 

ペンタックスK-3 MarkⅢ(以下K-3 Ⅲ)は、APS-Cサイズのセンサーを搭載しました。これ、本機の価格設定からみても少し戸惑ったところもあるのですが、使用し始めたら、すぐに正解だと思うようになりまして。あいかわらず優柔不断な筆者であります。
 

いや、なんかね、素晴らしく手に馴染むサイズなわけです。K-3 Ⅲ。一眼レフビギナーの方に本機を貸したことがあるのですが、誰に教わったのではなく、自然体の構えができてしまうのは、サイズ感が絶妙だからでしょうか。コンサバなデザインは人間の道具としての必然からくるものかもしれません。サイズは過剰になることなく、存在を見事に主張しています。素晴らしいことです。

 

このボディのサイズ感を実現したのはやはりAPS-Cセンサーのサイズによるところも大きいのではないでしょうか。K-1でもK-3 Ⅲでもフランジバックは同じですから、厚みという点では期待できませんが、それでもK-3 Ⅲでは不満がありません。
ただ、シャッターやミラーなどを含め、中身のデバイスは小型化することができるわけですから、カメラをぐっと凝縮させるために搭載センサーはAPS-Cでなければならなかったのかもしれません。

 

これも毎度の繰り返しになりますがAPS-C一眼レフで一番失望するのはファインダーが小さいことであります、ミラーレスのEVFならこの問題はないのですが、光学ファインダーはそうはいきません。この問題を解決しただけでもK-3 Ⅲは評価点が一気に上がるわけです。

 

日常世界は均等な光に照らされているわけではありません。こうした明暗差のある光景はよく見かけるのですが、さほどの考えもなくさらっと撮影しただけでも繋がりのいい階調が再現されます。

ペンタックスK-3 MarkⅢ・HDペンタックスDA 40mmF2.8 XS(35mm判換算61mm相当)・絞りF4.5・1/4000秒・-0.7EV補正・ISO400・WBオート・RAW

 

センサーサイズによる画質の違いなんて気にならない!

 

35mmフルサイズセンサー搭載のカメラをお使いの方は画質のこだわりが特に強いから、APS-Cサイズセンサーでは物足りないと考えている方もいるとは思います。でもね、例えば通常の撮影条件で同じものをK-1とK-3 Ⅲで撮り比べ、プリントで比較しても、その違いを判別できる方は少ないと思います。
 

筆者は機材レビューでは、画質がどうだこうだと大騒ぎすることも仕事のひとつですから、引き受けたからには自分なりに一生懸命やりますけど、私的な写真制作、いや、アサインメントの撮影でもセンサーサイズの違いによる画質の差を気にしたことはほとんどありません。
厳密にみれば、微量光下時などの撮影ではK-1の方が優れているのかもしれませんが、これも数値的な画質評価という意味だけですね。
 

smc PENTAX A24mmF2.8を装着してみました。画角的には35mm判換算で35mm相当の大好きな画角になります。電子接点を有していますので、使用に対してもストレスがありません。

 

小型軽量であることは常にカメラとともにあっても負担が小さいですね。街歩きスナップ用の一眼レフとしてもK-3 Ⅲは向いていると思います。

ペンタックスK-3 MarkⅢ・HDペンタックスDA 20〜40mmF2.8-4ED Limited DC WR・33mm(35mm判換算51mm相当)で撮影・絞りF8.0・1/25秒・-1EV補正・ISO400・WBオート・RAW

 

K-3 Ⅲ、画質面での改善要求ナシ

 

K-3 Ⅲでは、画質関連で、ここを改善してくださいというところが思い浮かばんのですよ。筆者の場合。筆者の所有するペンタックスレンズはフィルム時代のものの方が圧倒的に多いので、中心はともかく、周辺域では怪しいとは、言わないまでも、ユルいんじゃね、コレ、みたいなものもなきにしもあらずです。
 

ところがAPS-Cのセンサーのカメラならば、周辺の欠点はカットされる理屈にもなりますから、古いレンズでも文句がなくなるわけです。逆にそれではつまらないと考えるお古レンズマニアの方の中には面白くないとする人もいるかもしれませんけど。
 

超高画質を追求するなら、最新レンズ+ハイレゾで、という手法も使うことができます。ただ、筆者の場合はパソコン上で部分拡大して“おお、なるほど” と思う程度の差なので、レビュー仕事以外に使用したことないですねえ。

 

ベストセラーであったSPの時代から、小型軽量であることが魅力的でしたが、K-3 Ⅲはその栄光の時代に戻ったような凝縮感を感じさせます。

 

モノクロでの再現。屋内に差し込む鈍い光で撮影。コントラストも弱い条件でしたので、カメラと同時にレンズの実力も問われます。欠点のない階調豊富な美しい描写です。

ペンタックスK-3 MarkⅢ・HDペンタックスDA 20〜40mmF2.8-4ED Limited DC WR・36mm(35mm判換算55mm相当)で撮影・絞りF5.0・1/320秒・-1EV補正・ISO400・WBオート・RAW

 

 

 

ペンタックスK-3 MarkⅢカタログより抜粋(資料提供:リコーイメージング株式会社)

 

 

  • 【PENTAX K-3 MarkⅢ 性能表】
  •  
  • ◉型式
    型式=TTL AE・AF一眼レフデジタルカメラ
    レンズマウント=ペンタックスバヨネット KAF2マウント(AFカプラー・情報接点・電源接点付き)
    使用レンズ=KAF4、KAF3、KAF2(パワーズーム対応)、KAF、KAマウントレンズ ◉撮像部
    撮像素子=APS-CサイズCMOS、サイズ:23.3✕15.5mm 有効画素数=約2573万画素(総画素数 約2678万画素)
    ISO感度=ISO AUTO/100~1600000(1EV、1/2EV、1/3EVステップ)
    手ぶれ補正=撮像素子シフト方式「SR Ⅱ」(5軸補正)、オート/流し撮り/オフ
    ローパスセレクター=SRユニットを用いたモアレ低減、オフ/弱/強/ブラケット撮影(2枚)/ブラケット撮影(3枚) 
     
    ◉記録形式
    画像ファイル形式=RAW(PEF/DNG)、JPEG(Exif2.3準拠)
    最大記録画素数=JPEG:L(26M:6192✕4128)、RAW:(26M:6192✕4128)
    画質=RAW(14bit):PEF、DNG JPEG:★★★、★★、★、RAW+JPEG
    記録媒体=SD、SDHC、SDXCメモリーカード(UHS-Ⅰ/UHS-Ⅱ規格に対応) ※UHS-Ⅱはスロット1のみ
    デュアルスロット=順次、複製、RAW/JPEG分離、画像コピー ◉ファインダー
    方式=ペンタプリズムファインダー
    視野率・倍率=約100%・約1.05✕(FA 50mmF1.4・∞) アイレリーフ長=約20.5mm(見口枠より)
    視度調節機能=約-4~+1m-1ディオプトリ−
    フォーカシングスクリーン=ナチュラルブライトマットⅢ
     
    ◉ライブビュー
    方式=撮像素子によるTTL方式
    フォーカス=コントラスト検出式(オートエリア、ゾーンセレクト、追尾、セレクトL/M/S、スポット)
    機能=フォーカスアシスト、顔検出、タッチAF
    表示=視野率約100%、拡大表示(最大16倍)、グリッド表示、ヒストグラム表示、白とび警告、構図微調整 
     
    ◉画像モニター
    形式=TFTカラーLCD、広視野角タイプ、エアギャップレス強化ガラス 画面サイズ・ドット数=3.2型(アスペクト比3:2)・約162万ドット タッチパネル=静電容量方式 
     
    ◉ホワイトバランス
    方式=撮像素子およびRGBIrセンサーによる併用方式
    ホワイトバランス=オートWB、マルチパターンオートWB、太陽光、日陰、曇天、蛍光灯(D:昼光色、N:昼白色、W:白色、L:電球色)、白熱灯、CTE、マニュアル(3種類登録可)、色温度設定(3種類登録可)、撮影画像設定
    微調整=A-B軸、G-M軸で±14ステップで調整可
  •  
  • ◉オートフォーカス
    方式=TTL位相差検出式、専用LEDによるAF補助光付き
    測距センサー=SAFOX13、101点測距(中央25点はクロスタイプ)
    輝度範囲=EV-4~18(ISO100・常温)※-4EVは、F2.8光束対応レンズ装着時、F2.8光束対応測距点のみ
    AFモード=シングルAF(AF.S)、コンティニュアスAF(AF.C)
    AFエリア=オートエリア、ゾーンセレクト、セレクト、セレクトエリア拡大(S、M、L)、セレクト(S)、スポット
     
    ◉露出制御
    測光方式=30.7万画素RGBIrセンサーによるTTL開放測光、分割/中央重点/スポット/ハイライト重点
    露出範囲=EV-3~20(ISO100・50mmF1.4)
    露出モード=シーンアナライズオート、プログラム、感度優先、シャッター優先、絞り優先、シャッター&絞り優先、マニュアル、バルブ、フラッシュ同調速度、USER1、USER2、USER3、USER4、USER5
    露出補正=±5EV(1/2EV、1/3EVステップ選択可)
     
    ◉シャッター
    方式=電子制御式縦走りフォーカルプレーン※リアル・レゾリューション・システム時には電子シャッターを使用
    シャッタースピード、オート:1/8000秒~30秒、マニュアル:1/8000秒~30秒(1/3EV、1/2EVステップ)、バルブ(タイマー露光設定可能:1秒~20分) 
     
    ◉ドライブモード
    ドライブ=1コマ、連続(H、M、L)、ブラケット(2コマ/3コマ/5コマ)、被写界深度ブラケット、モーションブラケット、ミラーアップ、多重露出(平均、加算、比較明)、インターバル撮影、インターバル合成 タイマー/リモコン=セルフタイマー(12秒、2秒)、リモコン(即時、3秒)
    連続撮影=最高約12コマ/秒、JPEG(L★★★・連続H):37コマまで、RAW:32コマまで、RAW+:30コマまで 最高約7.0コマ/秒、JPEG(L★★★・連続M):60コマまで、RAW:37コマまで、RAW+:33コマまで 最高約2.5コマ/秒、JPEG(L★★★・連続L):90コマまで、RAW:39コマまで、RAW+:37コマまで  
     
    ◉外付けフラッシュ
    発光方式=自動発光、赤目軽減自動発光、強制発光、赤目軽減強制発光、スローシンクロ、赤目軽減スローシンクロ、P-TTL、光量比制御、ハイスピードシンクロ、ワイヤレスシンクロ可能 
    シンクロ同調速度=1/200秒
     
    ◉撮影機能
    カスタムイメージ=オートセレクト、鮮やか、ナチュラル、人物、風景、雅(MIYABI)、ポップチューン、ほのか、フラット、銀残し、リバーサルフィルム、モノトーン、クロスプロセス
  • クロスプロセス=シャッフル、プリセット1~3、お気に入り1~3
    デジタルフィルター=色抽出、色の置換え、トイカメラ、レトロ、ハイコントラスト、シェーディング、ネガポジ反転、ソリッドモノカラー、ドラマチックアート、ハードモノクローム、粒状感モノクローム
    Real Resolution=三脚撮影(動体補正あり)、三脚撮影(動体補正なし)
    レンズ補正=ディストーション補正、周辺光量補正、倍率色収差補正、回折補正
     
    ◉動画
    ファイル形式=MPEG-4 AVC/H.264(MOV)
    記録サイズ フレームレート=4K(3840✕2160、30p/24p) Full HD(1920✕1080、60p/30p/24p)
    音声=内蔵ステレオマイク、外部マイク使用可能(ステレオ録音)、録音レベル調整可能、風切音低減可能
    記録時間=最大4GBまたは最長約25分、内部温度上昇時は自動終了 
     
    ◉再生機能
    再生方法=1画像、マルチ画面表示、拡大(最大16倍)、グリッド表示、回転表示、ヒストグラム表示、白とび警告表示、縦位置自動回転、詳細情報表示、著作権情報表示、GPS情報、方位、フォルダー表示、撮影日別表示
    消去機能=1画像消去、全画像消去、選択消去、フォルダー消去、撮影日消去、クイックビュー消去
    RAW現像=RAW画像選択:1画像選択/複数画像選択/フォルダー選択/撮影日選択 RAW現像パラメーター20項目
    編集機能=プロテクト、回転、コピー、転送、RAW追加保存、リサイズ、トリミング、レベル補正、ホワイトバランス補正、色モアレ補正、動画切出し、動画分割、動画フレーム画像JPEG保存 
     
    ◉カスタマイズ機能
    設定項目=ユーザーモード、Fxボタン、AF/AEロック設定、プレビューレバー、電子ダイヤル、スマートファンクション、タッチパネル、アイセンサー、ファインダー内表示、表示パネル、画像モニター表示、クイックビュー、拡大表示、警告表示、コントロールパネル、モードメモリ、露出設定ステップ、ISO感度ステップ、色温度ステップ、焦点距離入力、回転情報記録、絞り情報記録、AF微調整、著作権情報
     
    ◉電源
    使用電池=充電式リチウムイオンバッテリーD-LI90P、AC 
    電池寿命=撮影可能枚数 約800枚、CIPA規格準拠 
     
    ◉外部インターフェース
    端子=USB端子(USB Type-C)、ケーブルスイッチ端子(φ2.5mm)、Xシンクロソケット、HDMI端子(タイプD)、マイク端子、ヘッドホン端子 
    USB接続=USB3.2 Gen1、データ転送: MTP/CD-ROM、充電式バッテリーへの充電/カメラ本体への電源供給(専用ACアダプター使用時) 
     
    ◉無線LAN
    準拠規格=IEEE 802.11b/g/n(無線LAN標準プロトコル) 
    使用周波数(中心周波数)=2412MHz~2462MHz(1ch~11ch) 
    セキュリティ=認証方式:WPA2、暗号化方式:AES
     
    ◉Bluetooth通信
    準拠規格=Bluetooth v4.2(Bluetooth Low Energy)
     使用周波数(中心周波数)=2402MHz~2480MHz(CH0~CH39) 
     
    ◉外形寸法・質量
    寸法=約134.5mm(幅)✕103.5mm(高)✕73.5mm(厚) (突起部を除く)
    質量=約820g(バッテリー、SDカードを含む)・約735g(本体のみ)
    ボディカラー=ブラック/シルバー 

  • ◉発売時期=2021(令和3)年4月23日

  • ◉価格=オープンプライス(ボディのみ 実売280,000円・税込)

 

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