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推すぜ!ペンタックス

第35回 ペンタックスK-1にはFA★レンズを使いなさい④ smcペンタックス FA★ズーム80〜200mmF2.8ED[IF]

2022/07/28
赤城耕一

値段と造りも一級品のFA★望遠ズームレンズ

 

1994年発売の本レンズでありますが、本体のみ1510gという重量をどう考えましょうか。悩ましいですねえ。登場した時は21万円もしたそうです。高級です。立派な値段と造りです。例によって、うちにあるフィルムペンタックス一眼レフとも共通使用できるものとして絞り環のある本レンズを選択しています。

 

うちにあるペンタックスK-1 MarkⅡ(PENTAX K-1アップグレードサービスでMarkⅡ化)は1010g(SDカード含む)だそうですから、総計すると2620gですね。今回はこのセットを持ち歩いてみたわけです。いや、今年のような酷暑の中、筆者のような年寄りが使うセットじゃないなあとは思いますが、筋トレのつもりで頑張りました。けれど集中力が削がれるのか、ろくな作例は撮れません。これはいつもか…。

 

明暗差のある条件ですが、良い感じに階調が出ています。1/2段ほど絞っていますが、針でついたようなシャープネスという印象はありません。実用的には問題なくボケも悪くありません。
ペンタックスK-1 MarkⅡ・smcペンタックス FA★ズーム80〜200mmF2.8ED[IF]・200mmで撮影・絞りF3.5・1/125秒・-1.3EV補正・ISO400・WBオート・RAW

 

FAスターレンズの銘板であります。ここで読者の皆様にお詫びせねばならないのですが、過去、この銘板にあるレンズ構成図はテキトーなんじゃないかと申し上げたところ、当時のデザイナーさんがレンズ構成図からそれぞれトレースして作ったものだそうです。に、してもすごいですね。

 

 

動画撮影で活きる!? パワーズーム

 

その昔、まだフィルムカメラ時代の80〜200mmF2.8ズームって、各社が競い合う望遠ズーム分野でありまして性能面でも鎬を削っておりました。この頃、ペンタックスには超広角ズームはまだ当時なかったから大三元という言葉はなかったように思います。
 

本レンズは高級望遠ズームの憧れの1本という存在となりました。ペンタックスはかなり頑張ったわけです。鏡筒の仕上げは例のごとくのシルバーです。なぜか専用のレンズフードはsmcペンタックスFA★ズーム28〜70mm F2.8ALと同じですね、これはちょっと不満ですかねえ。でも作りはしっかりしています。
 

他社にはない特徴としては、smcペンタックスFA★ズーム28〜70mm F2.8ALに続いてのパワーズームであることです。実際の撮影では、パワーズームはまず使いませんけれども、手慰み用としては悪くないですね。同時録音しない動画撮影なら、速度を変化させることなくズーミングすることができますから、今後は役立つこともあるかもしれません。大切に使っていきたいところであります。

 

 

画面全体の画質の均質性を上げるためには少し絞り込んで撮影した方がよさそうです。色の残りはあまり感じられず、実用上は十分です。
ペンタックスK-1 MarkⅡ・smcペンタックス FA★ズーム80〜200mmF2.8ED[IF]・200mmで撮影・絞りF8・1/1000秒・ISO400・WBオート・RAW

 

フォーカスクラッチ方式のフォーカスリングです。AF時です。距離指標は窓内表示ですね。数字小さいです。最短撮影距離は1.4mであります。

 

 

この重量はレンズに夢を与えてくれている

 

レンズ内にはAFモーターは内蔵していませんので例のごとくAFは力技でフォーカシングします。速度は悪くないですね。鏡胴にAF駆動の手応えを感じるくらい強力な感じがします。
フォーカスクラッチ方式が採用されているのでAF/MFの切り替えはフォーカスリングのスライドを行えば可能です。これは便利です。このためにAF時にはフォーカスリングは回転しません。
パワーズーム内蔵でなければ、もしかするともう少し軽量化することができるのかもしれません。
 

これは設計者でなければわかりませんが、個人の感覚としては、本レンズにはたっぷりのレンズが詰まっているから重たいのではないかと感じております。性能や信頼の証。実際はどうなんでしょうかねえ、でも良い方に考えれば、この重量はレンズに夢を与えてくれていると思うし、確かに重たいけど、バランスは悪くありません。
最短撮影距離は1.4mですから、本レンズが現行時代は割と頑張っていたという印象でしたが、今では遠く感じてしまいます。人間は贅沢に慣れてしまいます。仕方ないけど。

 

画面右辺の画質があまり良くありません。偏心なのか残存収差なのかはわかりません。この条件ではボケ味は悪くないですね。
ペンタックスK-1 MarkⅡ・smcペンタックス FA★ズーム80〜200mmF2.8ED[IF]・80mmで撮影・絞りF3.5・1/8000秒・-0.3EV補正・ISO400・WBオート・RAW

 

パワーズームの切り替えスイッチです。中古の中にはこれが失われているものが多いんですよねえ。実はなくても大して困らないんですが、ないとカッコ悪いです。

 

 

経年劣化の兆候?が見られるうちの個体…… でもまだまだ実用十分!

 

本レンズはディスコンになった後も中古市場では高値が維持されました。今でも廉価なものを見つけるのが難しいですね。
でも今回、本レンズを引っ張り出し、久しぶりに使用したんですが、世間で言われるほどの性能じゃないですね。あたりまえですけど。うちにある個体は、画面中央と周辺部の描写の差異が意外と大きいのではないかと感じています。均質性を求めたい場合は2段ほどは絞って全体を落ち着かせたい感じです。でも、これではなんのためのF2.8なのかと言われてしまいそうです。
 

ただ、画面中央は開放でも十分にイケる画質ですので、主要被写体が画面中央に位置している場合は開放絞りを使用してもさほど大きな問題はなさそうです。この描写の劣化は経年変化によるレンズの偏心が原因なのかもしれませんが、今はもう確かめようもないです。
 

ボケ味に関しては一概には言えませんが、手放しでホメられるものではなさそうです。大きなクセがあるわけではないのですが、輪郭のボケにもう少し軟らかい優しい感じがあればいいなと。
 

本レンズに代わる現行レンズはHD PENTAX-D FA★70〜200mmF2.8ED DC AW になりますが、重量は1.75kgになりますし、いきなりの定価30万円コースになります。もちろん高画質を求める方、絞り環など必要ないぜ、という方にはこちらをお勧めしますよ。

 

 


前ボケと後ボケを見てみました。少し絞り込んでいます。この条件においては高周波のボケは今ひとつな感じです。特に後ボケにクセがありますね。もっとも合焦点はシャープですし実用としてはなんら問題はありません。
ペンタックスK-1 MarkⅡ・smcペンタックス FA★ズーム80〜200mmF2.8ED[IF]・148mmで撮影・絞りF4.5・1/1000秒・-0.7EV補正・ISO400・WBオート・RAW

 

パワーズーム切り替えもズームリングをクラッチさせます。焦点距離は窓表示ですね。もう少し数字大きくてもよかったんじゃねとは今になって思います。当時は小さい文字も見えましたからねえ。

 

 

 

 

 

 

 

ペンタックスレンズ総合カタログ【35mm一眼レフ用・1994年版】

(資料提供:リコーイメージング株式会社)

 

smcペンタックス FA★ズーム80〜200mmF2.8ED[IF]

 

  • smcペンタックス FA★ズーム80~200mmF2.8ED[IF]SPECS
     
  • ◉マウント=ペンタックスKAF2マウント
    ◉レンズ構成=13群16枚
    ◉画角=30.5°~12.5°
    ◉絞り方式=完全自動絞り
    ◉最小絞り=F32
    ◉測光方式=開放測光
  • ◉焦点調節=インナーフォーカス、AF/MF切替え可能
    ◉フィルター径=77mm
    ◉最短撮影距離=1.4m
  • ◉最大撮影倍率=約1/5倍
    ◉フード=専用フード付
    ◉大きさ=87.5(最大径)✕191.5(全長)mm
    ◉重量=1510g
    ◉発売日=1994年(平成6年)4月10日
    ◉価格=210,000円(ケース・フード付・税別)
    ◉生産数=当初月産500本

 

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