top コラム推すぜ!ペンタックス第4回 漢のカメラ、アサヒペンタックス SL

推すぜ!ペンタックス

第4回 漢のカメラ、アサヒペンタックス SL

2021/12/09
赤城耕一

今回はもう4回目ですし、もうKマウントの一眼レフの話にしようかと思っていましたが、ペンタックスSLの存在を忘れていましたよ。登場は1968年ですから、SPから遅れること4年です。意外ですね。同時代に似たような経緯で生まれたカメラにニコンのニコマートFTとFSみたいな関係がありますが、FSの方は短命で終わりました。


地味なカメラですが、なぜかうちに3台もあるなあ。晩酌代くらいで買えたりしますもんねえ。SLはSPからメーターを省略した真のフルメカニカル一眼レフのことですね。漢のカメラです。いや女性でもいいんですよ、もちろん。

 

メカニカル一眼レフには、バッテリー入れて使わない筆者なんで、TTLメーター内蔵のSPやSPⅡ、SPFにもバッテリーを入れないで使う話は、すでにしましたよね。だからペンタックスのメカニカル一眼レフカメラはすべてSL的な使い方をしています。


TTLメーター内蔵のSPは便利なようでいて、ファインダー内の右にある指針がどうにも気になってしまうわけです。電源も入れていないのに指針がどクラウドじゃない、“どセンター ” を示す個体もあったりします。生産時期によってこういう表示は異なるのかしら。 


信じやすい私なのでその指針をみて適正露出と思い、シャッターボタンをすぐに押してしまい、失敗写真を作る間違いを犯したりするわけです。パブロフの犬です。ほら、結局は指針やLEDの光に常に惑わされているわけです。こういうのはどうもいけませんねえ。


ではSVとかS2とかメーターのないペンタックスで撮影すりゃいいと思うかもしれないけど、たまにこれらを持ち出すと、小刻み巻き上げができないのが気になりはじめるわけです、ワガママです。SV使いの森山大道さんはよく文句言わなかったよなあ。普通の人は言わないのか。


フィルム巻き上げはリズミカルにチャッチャと2回に分けて行いたいんですよねえ。少し話は逸れますが、小刻み巻き上げできない一眼レフで、ワインダーを装着可能な機種には、もうマストとしてワインダーやモータードライブをつける筆者であります。いや、小刻み巻き上げできるカメラにもつけているか…。

 

少し真面目に言いわけをすると1回巻き上げ方式カメラで、巻き上げ角の大きな機種の場合、巻き上げレバーを操作すると、ファインダーアイピースから目が離れてしまうのがイヤなわけです。巻き上げている最中に決めた構図が動いちゃいますからねえ。

 

だから、コマ速度は遅くてもいいので、巻き上げを自動化してしまいたいわけですわ。だからワインダーでも構いません。できれば、シャッターが切れた後にシャッターボタンから指を離さなくても自動的にフィルムが巻き上げるタイプがいいんだけど。

 

 

で、話を戻してSLなんですが、つまらない思い出がありました。筆者は中、高校時代はとある地方都市に住んでいたわけです。都市とも呼ぶほど大きくないか。まあいいや。

 

で、元から写真少年だった私なので、学校近くのカメラ店とも呼べないようなチェーン系のDPE屋さんにネオパンSSSを買いに行ったりしていました。そうしたら、なぜかここの小さなウィンドウに、ある時、いきなりペンタックスSLのブラックが出現したわけです。この小さくて締まった感じの一眼レフが素晴らしく素敵なカメラに見えたわけです。質屋のウィンドウで楽器を見るグレンミラーみたいね。違うね、はい。
 

ネットがある時代じゃないけど、一生懸命調べてみると、ペンタックス一眼レフの総合カタログにはブラックボディが載ってないわけです。こうなるとより欲しくなるわけですわ。でもすでにオリンパスOM-1とかOM-2とか持ってましたから要らないんです。けれどカメラは要らないものが欲しいわけです。しばらくするとこのSLはウィンドウから忽然と姿を消しておりました。なんだか2度と会うことがないように思えてとても寂しかったですね。


こういう少年時代の思い出ってのは、脳に沁みますね、つまらないことなのにこうして今もまだ覚えているわけです。英語の単語のひとつを余計に覚えている方が役立つというのに。


それにしても、ウィンドウに飾られているカメラはなぜ光り輝くのでありましょうか。所有しているカメラなのに見るとまた欲しくなるのが謎なほどです。今後の研究課題としておく必要がありますね。
 

そう、SLですよね、ペンタックスSL。それからずいぶんと時を経てから入手しましたが、ブラックボディとか中古カメラ店にふつうにあるわけですよ。タマ数はSPよりは多くはありませんね。  

 

大きな特徴はないカメラですが、ボディ底部にバッテリー室がないのは安心材料です。バッテリーの漏液で、バッテリー室の蓋が開かなくなり、ジャンクボックスに捨てられているSPをこの40年で5台は目撃しています。これも悲しいです。
 

当然SLにはSPにあったボディのエプロン部の左にあるメータースイッチが省略されています。そうなるとですね、絞り込みのプレビューを行う場合には、レンズ側のAUTO/MANUALレバーを動かす必要があります。これが不満と言えば不満ですが、でも、これも絞り込みレバーがボディ側にないから文句言うわけで、使いはしないんですけどね。
 

ただし、サードパーティのM42マウントレンズの中には、マニュアルへの切り替えレバーが省略されているレンズがありますが、これらのレンズをSLに装着すると、絞りプレビューをする術はなくなることになります。ま、使わないからいいけど。SPよりもできないことが見つかると気になるじゃないですか。
 

SLには専用の外部メーター、「ペンタックスSLメーター」が用意されてましたね。これね、いまだに少し欲しいわけです。意外と探すと見つけることができないですね。

 

この理由は、SLとこのメーターを購入するならばSPと同等価格になるのではということに気づいた人が多くいたからでしょうか。いや正確なところはわかりません。

 

SLのシャッタースピードダイヤルにはピンを差し込む切り欠きがありますから、メーター側のダイヤルと連動しているんでしょう。M型ライカにもありますね、切り欠き。もちろんSLメーターを入手しても測光なんかしません。ボディとメーターのカップリングしているところと動きが見たいわけです。ただ、それだけのことです。

 

SLメーターを装着した時の姿はニコンF2フォトミックみたいですな。いま現物がないのでググってください。SLの方はすごくカッコ悪いですね。建て増し違法建築どころか、屋上にあるペントハウスみたいな感じですね。“傷だらけの天使” を思い出します。

 

「メーターがないと写真が撮れないやつ」と周囲からバカにされながら、じつは秘めたる才能があって名作を次々とモノにする感じでメーター付きのSLを使い倒してゆくって妄想はなかなかいいんじゃないかなあ。今度サナカさんみたいに小説を書くかなあ。でも間違いなくライカ使いより尊敬します。若者たち、頑張ってください。

 

そこのあなた。SLメーターなんか使っていないだろうし最後にはどうせ捨てちゃうんだから、筆者にください(笑)

 

メーターのないニコンFやF2アイレベルが人気ですが、SLも同じような立場だと思うのですが、不人気です。けっこう狙い目のカメラだと思いますけどねえ。

 

ASAHI PENTAX SL

開放測光を可能にしたSPFが登場した後もSLはカタログに出ていたので、独自の位置にいたという感じがします。SMCタクマー50mmF1.4をつけて、少しゴージャスにみせてみせました。

 

もっともノーマルな姿というか、廉価な姿というか、SLにスーパータクマー55mmF2をつけてみました。このとおり見た目はえらく地味なんですけどね、すごくよく写りますね。

 

メーター内蔵ではないのにフィルム感度の覚え書き用ダイヤルを備えます。もちろん装填フィルムと感度が合ってなくても関係ありませんが、この数字をみてフィルム確認する人はどれくらいいるのかと。

 

バッテリー室が存在しません、あたりまえですが。すっきりとした底部がよいなあと思いますね。SLにはモータードライブの装着可能なボディはあったのかしら。見たことないんです。

 

シャッターダイヤルのB(バルブ)の位置に専用のペンタックスSLメーター側のシャッターダイヤルと連結するための切り欠きがあります。今回、SLメーターの入手は間に合いませんでしたが、装着した姿やダイヤルや指針の動きを見てみたいですね。

 

ボディ側にスイッチがないということは、絞りによるプレビューができないということになります。どうしても被写界深度を確認したいという場合にはレンズ側のAUTO/MANUALの切り替えレバーを使用することになります。そんなことしないよね。

 

SLにRMCトキナー28mmF2.8を装着。タクマーの28mmはF3.5止まりなのにこれはどうしたことか。鏡胴にはA/M切り替えレバーがなく、SLに装着すると、プレビューは不可能。プレビューしてもファインダーが暗くて、被写界深度の確認なんかできないんですけどね。

 

1974年7月発行のペンタックスの総合カタログ。ESIIやSPFと並んで、ここにもSLの記載があります。6年間は売られていたことになります。ボディのみ27,000円。ちなみにSPFはボディのみ42,000円。ESIIは69,500円となっています。価格の開きが大きいですね。このカタログにはペンタックスメーターSLの写真や価格の記載がありません。差別だ!1975年にはペンタックスKM、KX、K2が登場します。

 

 

「SLはSPFから内蔵のTTL露出計をはずした実質的な普及機で…」とあり、「プロ写真家やベテラン・アマチュアのハードワークにも充分応えるタフな一眼レフです」と続きます。欲しくなりませんか?ならないか。この時点ではブラックの記載がないですが、カタログを掘り起こしたら1970年発行のものにはブラックは1000円高とありました。途中で外されたのかな。

 

 

 

【ASAHI PENTAX SL 性能表】

型式=35mm一眼レフカメラ
使用フィルム=35mmフィルム
画面サイズ=24×36mm
レンズマウント=ペンタックス スクリューマウント(径42mm、ピッチ=1mm)
シャッター=フォーカルプレンシャッター、B、1~1/1000秒、フィルム感度(ASA)表示窓付、セルフタイマー内蔵(6~13秒)
ファインダー=ペンタプリズム式ファインダー、フレネルレンズ・クロスマイクロプリズム付き、像倍率 55mmで等倍、視野率約93%、視度-1.0ディオプトリー
ピント調整=距離環を回して、ピントグラスの映像をルーペで拡大透視
ミラー=クイックリターン式
巻き上げ=レバー式(160度、分割巻き上げ可能、予備角10度)、巻き上げ完了表示装置付き
フィルムカウンター=自動復元順算式
巻き戻し=クランク式、巻き戻し完了表示装置付き
シンクロ=FPおよびX(JIS-B型ターミナル)、X=1/60秒
露出計=非内蔵、シャッターに連動するペンタックスメーターSL型を取り付け可能
電源=不要
フィルムインジケーター=黒白フィルムASA32〜3200、カラー、特殊フィルムASA20〜400
標準レンズ=SMCタクマー55mmF1.8(5群6枚)、自動絞り付き直進ヘリコイド、フィルターサイズ49mm
距離目盛り=∞~0.45m(∞~1.5フィート)
大きさ=55mmF1.8付き 横幅143×高さ92×奥行き87mm
重さ=55mmF1.8付き 796グラム(ボディのみ596グラム)
付属品=レンズキャップ、バッテリー、ショルダー、三角金具、肩あて
発売年=1968年
発売当時の価格=27,000円(ボディのみ)、43,500円(SMCタクマー55mmF1.8付き)

 

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