その昔、一眼レフ交換レンズ3種の神器とは28、50、135mmでした。この3本さえ揃えば、世界をすべて見ることができるとされたものであります。もちろん“キットレンズ” がまだ50mm標準レンズだった頃の話ですし、カメラ雑誌なんかではこの3本のレンズを使いこなすことが肝であると盛んに言われてましたねえ。
24mmという焦点距離のレンズもそれなりに歴史があるのですが、28mmと比較すると高価で、特別な存在のようにみえました。ええ、これは筆者が中学生の頃の話でありますよ。
キヤノンF-1だったかな、この広告で「私の標準レンズは24mm」と書いてあって、それに憧れたりしていた筆者なのですが、ようはその焦点距離のレンズをチョイスするというのがカッコ良かったわけです。28mmを選ぶってステレオタイプじゃないですか。中学生の浅薄な価値観ですね。
公園にて。実直な生活をしている証拠です。絞り込んでいるので周囲までの均質性は同じみたいです。
ペンタックスK-1・smc PENTAX-FA★24mm F2 AL[IF]・絞りF11・1/800秒・−0.7EV補正・ISO400・WBオート・RAW
当時は24mmは超広角レンズの入り口的な存在でした。今は標準ズームのワイド端にもなっているのでお馴染みというか、ビギナーにとっても珍しいものじゃないわけですね。ただ、28mmよりは被写体にもう一歩近づく意識で撮らないとなかなかうまくいかないのです。
ペンタックスの交換レンズにはM42スクリューマウント時代から24mmは用意されていて、28mmよりも立派に見えましたし、中学生には憧れに見えました。
ペンタックスはFA★レンズシリーズの1本に、この24mmを加えました。開放F値はF2。今では珍しくないですが、往時はそれなりのインパクトありましたねえ。
大口径のわりにはさほど大きくないし重たくもない。ありがたいことです。外装は特別感のあるシルバー塗装、フォーカスクラッチ機構がついていますから、MFの切り替えはフォーカスリングをずらすだけで素早く行うことができます。前回紹介したFA★28-70mmF2.8ALと同じですね。
このレンズにも、FA★ならではの銘板がありますね。あまりステータスは感じません。これも本レンズのレンズ構成とは関係なさそうですね。
ガラスに当たるリフレクションです。強い太陽光でも特に画像に影響なくです。素晴らしいですね。
ペンタックスK-1・smc PENTAX-FA★24mm F2 AL[IF]・絞りF8・1/500秒・ISO100・WBオート・RAW
距離表示は窓の中に表示されるタイプでこれも特別感がありますね。フードは花形で、バヨネットタイプですが、装着しづらいです。なんでだろう。
FA★レンズの仲間ですから写りは特別かといえばそんなでもないですね、正直なところ。そんなにキチキチとしたシャープネスのあるレンズじゃないと思います。少し軟らかめのレンズにも思えますが、階調の繋ぎ方はもう少し良くてもいいんじゃないかと。
ボケは悪くないです。特に前ボケは大口径の単焦点レンズらしく良い感じです。ただ、背景は条件によっては2線ボケが認められます。絞れば多少改善できますけど。ボケを重視する場合はある程度使いこなしや妥協せねばならないところが出てくるかも。
逆光に関しては、わりと良い感じです。花形の大きなフードも役立ちました。極端に大きなフレアなどは出現しませんでした。解像力に関しては中央はバッチリです。どの絞りでも。周辺部は中央部よりも少々甘くなりますが、色収差も確認できますね。
ジジイになるとこういうものを撮りたくなるわけです。枯れてきたというか(笑)。良い感じで光を繋ぎますね。
ペンタックスK-1・smc PENTAX-FA★24mm F2 AL[IF]・絞りF8・1/60秒・−1.7EV補正・ISO400・WBオート・RAW
そういえば、ペンタックスLXのディスコン直前のカタログに本レンズを装着したLXの写真が載っていたような記憶があります。AFレンズなんだけどMFでも使いやすいよ、というアピールだったのではないでしょうか。フォーカスリングの厚い幅やフォーカスクラッチ搭載を主張したかったんでしょうね。
でもね、私は本レンズは開放絞りの描写よりも少し絞った時の画面全体の描写の安定感が出る頃合いが好きですね。
道端にある共用のゴミ箱が用済みになったので近所の人が土を入れて花壇にしています。毎日のようにこの前を通り観察するのが楽しいです。絞り込んで俯瞰気味に撮影しましたが、欠点のない画像です。
ペンタックスK-1・smc PENTAX-FA★24mm F2 AL[IF]・絞りF11・1/160秒・−1.3EV補正・ISO400・WBオート・RAW
特別な大口径レンズは絞り開放で撮影しないと大口径レンズを使う意味はないとかいう人がいますが、何度も繰り返してしまうけど、写真制作の目標は開放絞りで撮影することや微量光下での撮影にあるわけじゃないですからね。ましてや背景のボケのためではない。背景に特徴あるボケが出てきたら、主題が目立たなくなります。
本レンズは中古市場でそんなに高価ではなかったら、1本は用意しておくと間違いなく現代の24mmより楽しめます。所有していて役立つレンズじゃないかなあ。APS-Cのペンタックスカメラに装着すれば私の好物の35mm相当の画角になるのもありがたく感じております。
正直、フードがないと不細工なデザインのレンズなんです。レンズを入手したらなんとしてもフードを見つけたいですね。けっこう欠落してるの多いんです。
お待たせしました。絞り開放です。合焦点はなかなかシャープです。意外とこの条件では欠点が出ませんでした。すみません。べつに謝る必要もないんだけど。
ペンタックスK-1・smc PENTAX-FA★24mm F2 AL[IF]・絞りF2開放・1/1000秒・ISO100・WBオート・RAW
smc PENTAX-FA★24mm F2 AL[IF]
ペンタックスレンズ総合カタログ【35mm一眼レフ用・1994年版】
(資料提供:リコーイメージング株式会社)
- smc PENTAX-FA★24mm F2 AL[IF]SPECS
◉マウント=ペンタックスKAF2マウント
◉レンズ構成=9群11枚
◉画角=84°
◉絞り方式=完全自動絞り
◉最小絞り=F22
◉測光方式=開放測光
◉焦点調節=インナーフォーカス式 AF/MFワンタッチ切替え可能
◉フィルター径=67mm
◉最短撮影距離=0.3m
◉最大撮影倍率=0.12倍
◉フード=専用フード付
◉大きさ=72.5(最大径)✕65.5(全長)mm
◉重量=405g(フードなし)
◉発売日=1991年(平成3年)6月21日
◉価格=67,000円(ケース・フード付・税別)
PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。