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推すぜ!ペンタックス

第1回 最初のリアルな出会い、ASAHI PENTAX SP

2021/11/15
赤城耕一

PCTのめでたき船出にあたりまして、なんとも唐突なのですが、私はこの連載にて「ペンタックス推し」であることを高らかに宣言することにいたします。
宣言とは大袈裟かもしれませんが、最大派閥と比較すると、すごく少数人数の派閥ですが、時々目立ったことを言ったり行動したりして、存在感を示すという感じでしょうか。でも、ここには「長老」もいたりするので、主流派もないがしろにはできないわけです。
歴史とか資料研究のお話というのは私は得意ではないので、ここではあくまでも実用主義に徹します。私はカメラに関してはデザインがすべてだと固く信じているので、過去も現在も未来も関係なくカタチから使うので、デタラメな使い方をしています。したがって時代に関係なく、あちこちに飛んで、突然特定の機種に切り込んでゆく可能性もあると思います。
また、こうして使うと面白いんでねえのかとか、「自分の体を通り過ぎてきたペンタックス話」をしたいなと考えており、そういう意味では役立つことは何もありませんので、とくに熱心なペンタキシアンの方は期待しないで優しく見守ってください。


 
ペンタックスとの最初のリアルな出会いは、拙著「銀塩カメラ史上主義!」(平凡社)でも述べていますが、中学校の大嫌いな理科教師の愛機だったペンタックスSPです。ええ、いまも恩師とは呼びたくない存在です。
接写リングをつけて資料の複写を手持ちで撮影していたところに遭遇したわけですが、もうね、うす暗い理科室の中で手持ちで撮影しているのが許せなかったわけです、あまりにもテキトーすぎて(笑)。
こういう自分とはソリが合わない人が使っているカメラというのは連動して嫌いになったりするんですが、そこはカメラ博愛主義の私ですから、「キライなヤツの手の中にあるSP」がかわいそうになったりするわけですよ。「ええ。キミは悪くないんだ」って。逆に救いたくなったんじゃないかな。


ペンタックスの愛用者って、筆者の少年時代は、教師とか小金持ちとかに多かったような気がしますね。筆者の個人的な印象です。一眼レフって、クラスにかかわらず本格的なカメラでしたから。みんな「カメラ月販」のお世話になって「月賦」で買ってましたね。この頃「ローン」という言葉はあったのかしら。ボーナス払いはどうだったんでしょうか。 


そういえば小金持ちの同級生からは父親所有のSPを見せてもらったこともいま突然思い出しました。
シャッター幕が開いている間にアパーチャーに指を突っ込み、シャッターが閉じないうちに素早く引き抜くというシャッター幕に指がぶつかったら負けみたいな、ロシアンルーレットみたいなバカな遊びをこの同級生とやってました。おいおいー、シャッター幕に指が当たったら壊れるだろうよ。ガキだよね。でもデジタルカメラじゃこんなことできませんしねえ。


繰り返しますが、少なくても一眼レフって、1970年台の初頭までは特殊な存在でした。高額でしたし。コンパクトカメラだってそれなりの価格でしたしね。カラーネガフィルムだって今ほどじゃないかもしれないですが高価でした。DPE店に頼むサービスサイズのカラープリントは1枚70円したことを今も覚えています。
でも、特殊な存在だった一眼レフを少なくても教師や小金持ちに手が届くところまで降ろしてきたペンタックスの功績は大きかったわけで、おおげさではなく写真文化を広めることに貢献したわけです。これはすごいことだと思います。
それにしても半世紀近く前のことをぐずぐず書くというのは粘着ですが、刻み込まれてしまうといくつになろうが、遺恨が残ります。大切なお子さんを預かっている教師の皆さんは責任が重いよなあ。頑張ってください。 

 

ペンタックスSP+スーパータクマー55mmF1.8つき。TTLメーターをカメラボディ内に内蔵したのがエラかったそうです。全世界で400万台売ったそうです。この個体にはずっと「smcタクマー」をつけて使用していましたがブツを撮影するにあたり、「スーパー」名のレンズを用意した真面目な私です。このへんの機能的な意味については次第に解き明かしていこうかなあ。いやあ、PCTのサイトをご覧になる方は不要なのかな。

 

 

SW、つまりスイッチです。上にあげると絞りが絞り込まれてTTLメーターのスイッチが入りますが絞り込まれていると当然ファインダー視野が暗くなります。絞り込み測光ですから。実絞りで測光するんだから開放測光よりも正確だぜって論評読みましたが果たしてそうなんですか?ちなみにSPはSPOTMATICの略ですが、試作機がスポット測光だったからって、製品にもそのままつけますかねえ?

 

 

軍艦部の上ですね。SPでイヤなのは巻き上げレバーがわりと重めなことですね。ちゃんとメンテナンスすれば軽くなるのでしょうか。以前、クラシックカメラ専門誌でかなりのフィルムを通したことがあるのですが、親指が真っ赤になって皮が剥けそうになりましたマジで。

 

 

スーパータクマー55mmF1.8は単層のコートですのでレンズ表面の反射が黄色いですね。でもえらくよく写るので最近は程度の良いものはそれなりのお値段とか。やはりお古レンズ+ミラーレスでいくんでしょうか。大事に使いましょう。鏡胴の作り込みとか好きですよ。

 

 

横走りのフォーカルプレンシャッターのとろんと走るレトロな動作音が良い感じなので、
街中スナップでも耳障りになることはなく、むしろ撮影のリズムを刻んでくれる感じがする。

アサヒペンタックスSP・スーパータクマー55mmF1.8・絞りf8・500分の1秒・トライX

 

 

 

【ASAHI PENTAX SP 性能表】

型式=TTL露出計内蔵35mm一眼レフカメラ

使用フィルム=35mmフィルム

画面サイズ=24×36mm

レンズマウント=ペンタックス スクリューマウント(径42mm、ピッチ=1mm)

シャッター=フォーカルプレンシャッター、B、1~1/1000秒、フィルム感度(ASA)表示窓付、セルフタイマー内蔵(6~13秒)

ファインダー=ペンタプリズム式ファインダー、フレネルレンズ・クロスマイクロプリズム付き、像倍率 50mmで0.89倍、55mmで等倍、視野率約93%、視度-1.0ディオプトリー

ピント調整=距離環を回して、ピントグラスの映像をルーペで拡大透視

ミラー=クイックリターン式

巻き上げ=レバー式(160度、分割巻き上げ可能、予備角10度)、巻き上げ完了表示装置付き

フィルムカウンター=自動復元順算式

巻き戻し=クランク式、巻き戻し完了表示装置付き

シンクロ=FPおよびX(JIS-B型ターミナル)、X=1/60秒

露出計=平均測光式・TTL露出計(CdS)、ファインダー内定点合わせ式 ASA20~1600、EV1~18(ASA100フィルム、F1.4 ~16レンズ使用時)、メータースイッチ、連動範囲指標付き

電源=1.3V水銀電池1個(H-B型)

バッテリーチェッカー=ファインダー内に表示

フィルムインジケーター=黒白フィルム、昼光用カラーフィルム、電燈光用カラーフィルム、フィルムが入っていないとき

標準レンズ=SMCタクマー50mmF1.4(6群7枚)および55mmF1.8(5群6枚)、自動絞り付き直進ヘリコイド、フィルターサイズ49mm

距離目盛り=∞~0.45m(∞~1.5フィート)

大きさ=50mmF1.4付き 横幅143×高さ92×奥行き91mm、55mmF1.8付き 横幅143×高さ92×奥行き87mm

重さ=50mmF1.4付き 877グラム、55mmF1.8付き 826グラム(ボディのみ623グラム)

付属品=レンズキャップ、バッテリー、ショルダー、三角金具、肩あて

発売年=1964年7月

発売当時の価格=51,000円(ボディのみ)

 

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