発売以来、ペンタックスK-3 MarkⅢ(以下K-3 Ⅲ)とのおつきあいもそこそこ長くなりましたが、これね、飽きないわけです。私にしては珍しいんですよね。体に合うカメラということでしょうか。
アサインメントに使うカメラのほとんどがミラーレスになったということもあるんですが、一眼レフであり続ける姿勢って、ここにきて際立って個性ある存在感を示しているような気がしてきます。スペックだけではないんですよ、カメラの魅力は。
K-3 Ⅲ以前の機種では電子接点を有しないペンタックスKマウントレンズでは絞り優先AEにしても絞りが動作しないため、事実上は使用できないなど、不変のKマウントの意味を問いたくなったものですが、K-3 Ⅲは、電子接点を持たないレンズを装着しても絞り優先AEでも使用できるようになりました。
ただし、絞り優先AE時には、設定絞りに対する適正シャッタースピードは表示されず「AUTO」という表示がカメラ内外の表示に出てきます。瞬間絞り込み測光による対応なんでやむを得ないのですが、あまり面白いものではありませんね。
個人的には精度よりも利便性を優先しますので、まあいいんじゃないかと諦めてはいます。撮影前にシャッタースピードがわかるのが一番ですが、どうしてもこれを知りたい場合はマニュアル露出にして、背面のグリーンボタンを押せば解決します。もっとも気に入らなければ撮り直せばいいわけで、成否がすぐにわかるデジタルならではということで、割り切っている面もあるわけですね。このあたりはユーザー側の考え方次第でしょう。
グリーンボタンは、ペンタックス一眼レフの特徴のひとつ。マニュアル露出時にも、このボタンを一度押せば、絞りが動作し、適正露出値に設定されます。
暗いお堂の中にあるモニュメント。エラい人に違いありません。表に出してあげればいいのにと思いながら、強いストロボ光を浴びせてしまいました。すみません。
ペンタックスK-3 Ⅲ・smcペンタックスFA★ 24mm F2AL[IF](35mm判換算37mm相当)・絞りF11・1/80秒・-0.3EV補正・ISO200・クリップオンスピードライト使用・WBオート・RAW
今回は直前に、ワークショップによる町歩きがあり、この時にK-3 Ⅲを持ち出してみることにしました。選択レンズはsmcペンタックスFA★24mmF2AL[IF]だけ。大好きな35mm画角になるわけです。
生憎の天気だったので、屋外でもクリップオンのスピードライト(今回はサンパックB3000sを使用)を発光させることで、被写体全体のコントラストを上げ、ハイライトを立てることを考えつきました。久しぶりの日中シンクロですね。スピードライトをメインライトではなくフィリンライト的な感じで使用するわけです。筆者は割と硬めの調子を好みますので、これは成功でした。
K-3 Ⅲのシンクロ速度の最高速は1/200秒になります。気持ちとしては、もうちょい頑張りたかったところですが、実用的にはさほど問題はありません。
K-3 Ⅲのファインダーを覗きながらスピードライト単体でテスト発光を行うと、被写体のどこが反射するのか、効果のほどはいかばかりかがファインダー内でわかります。これもまた一眼レフならではの撮影行為だと思います。
もちろん実際にテスト撮影し、じっくりと効果を見極めて、設定を追い込んでいくのが本来のやり方なのですが、歩行と撮影のリズムは崩したくないし、普段アサインメントでやっているようなことをプライベートな撮影に持ち込むと逆に疲れます。一眼レフの撮影はこちらの想像力を喚起させます。アナログな撮影スタイルが楽しいのです。
雨の中で燻っていたように見えた公園遊具。ストロボ光でコントラストを高めて、色彩を際立たせてみました。
ペンタックスK-3 Ⅲ・smcペンタックスFA★ 24mm F2AL[IF](35mm判換算37mm相当)・絞りF11・1/60秒・-0.3EV補正・ISO400・クリップオンスピードライト使用・WBオート・RAW
廃屋とバイク。なんだかスキャンダラスな現場に見えなくもないのですが、これはストロボ光が強かったためでした。
ペンタックスK-3 Ⅲ・smcペンタックスFA★ 24mm F2AL[IF](35mm判換算37mm相当)・絞りF14・1/80秒・-0.7EV補正・ISO400・クリップオンスピードライト使用・WBオート・RAW
K-3 Ⅲはグリップ感が良いために、ストラップをせずに長時間持ち歩くことができます。
手の大きくない私にも優しいのですが、ここぞという時にはすぐにカメラを構えることができますから、とてもありがたいのです。
もともと、ペンタックスのカメラは中判カメラに至るまで、フィールドで活躍できるように考えられていたようなので、K-3 Ⅲもホールディングバランスはよく練られています。
シャッターのフィーリングもよく考えられていますし、その動作音も生理的に心地よい響きなのです。
電子シャッターの進化で、メカのフォーカルプレーンシャッターの命運やいかに、という状況の昨今なのですが、K-3 Ⅲは、機械として、巧みにその存在感を表現していると思います。実際に使用してみなければなかなかこの感覚的な気持ちは伝わりづらいものがありますが、これも機能以上の魅力といえます。
ノウゼンカヅラ。オレンジの鮮やかさを、より際立たせてみました。この条件では自然光測定値より少し弱めにストロボ発光させています。
ペンタックスK-3 Ⅲ・smcペンタックスFA★ 24mm F2AL[IF](35mm判換算37mm相当)・絞りF13・1/125秒・-0.7EV補正・ISO400・クリップオンスピードライト使用・WBオート・RAW
マンション前の棕櫚。ストロボ光を浴びせかけたら違う生き物になったようです。自然光とはまるで異なる写真になるのが面白いですね。
ペンタックスK-3 Ⅲ・smcペンタックスFA★ 24mm F2AL[IF](35mm判換算37mm相当)・絞りF11・1/60秒・-0.7EV補正・ISO400・クリップオンスピードライト使用・WBオート・RAW
何度も書いておりますが、APS-C一眼レフ最大の問題であったファインダーの大きさを解決したK-3 Ⅲはツッコミどころが少なくなり、35mmフルサイズへのコンプレックスが小さくなり、こだわりもなくなります。
このためK-1 MarkⅡ(以下K-1 Ⅱ)との使い分けは難しいのですが、アサインメントで使用する場合はK-3 Ⅲはテレコン代わりに考えるなどして、それぞれの役割分担を持たせています。
最近ではプライベートな撮影、普段使いの時にはフォーマットサイズの大きさの違いにほとんど意味を感じなくなりました。
装着レンズのポテンシャルを全部引き出すのだ、と考えたい時には何としてもK-1 Ⅱを持ち出しますが、常時必要な一眼レフカメラなのかと言われると機能面や大きさ重さを考えると、ちょっと違うような気がします。
K-3 Ⅲを使用してみると、いつも傍にいて、気にならない存在であること。それでも、ここぞという時に本気を出してくれる頼もしい存在であることがわかります。街歩きに連れ出すと、本当に魅力ある一眼レフカメラであると再認識することができるでしょう。
役目を終えた向日葵。物悲しいようなグロテスクなような。不思議な情景ですが、天気によっても印象はかなり変わります。ここは青空が欲しかったかな。
ペンタックスK-3 Ⅲ・smcペンタックスFA★ 24mm F2AL[IF](35mm判換算37mm相当)・絞りF13・1/160秒・-0.7EV補正・ISO400・クリップオンスピードライト使用・WBオート・RAW
電子接点を持たないSMCペンタックス50mmF1.2で撮影。Kマウント改変時に登場したレンズですが、絞り値で描写はかなり変わります。でも現代でも通用する性能だと思いますよ。
ペンタックスK-3 Ⅲ・smcペンタックス50mm F1.2(35mm判換算75mm相当)・絞りF2.8・1/2500秒・-0.7EV補正・ISO400・WBオート・RAW
ペンタックスK-3 Ⅲ+SMC ペンタックス50mmF1.2
一眼レフ用の標準レンズとしては最も早い段階で、F1.2の開放F値ながら50mmの焦点距離を採用しました。なかなかルックスの良いレンズです。
ペンタックスK-3 Ⅲカタログより抜粋(資料提供:リコーイメージング株式会社)
- 【PENTAX K-3 MarkⅢ 性能表】
- ◉型式
型式=TTL AE・AF一眼レフデジタルカメラ
レンズマウント=ペンタックスバヨネット KAF2マウント(AFカプラー・情報接点・電源接点付き)
使用レンズ=KAF4、KAF3、KAF2(パワーズーム対応)、KAF、KAマウントレンズ ◉撮像部
撮像素子=APS-CサイズCMOS、サイズ:23.3✕15.5mm 有効画素数=約2573万画素(総画素数 約2678万画素)
ISO感度=ISO AUTO/100~1600000(1EV、1/2EV、1/3EVステップ)
手ぶれ補正=撮像素子シフト方式「SR Ⅱ」(5軸補正)、オート/流し撮り/オフ
ローパスセレクター=SRユニットを用いたモアレ低減機能、オフ/弱/強/ブラケット撮影(2枚)/〃(3枚)- ◉記録形式
画像ファイル形式=RAW(PEF/DNG)、JPEG(Exif2.3準拠)
最大記録画素数=JPEG:L(26M:6192✕4128)、RAW:(26M:6192✕4128)
画質=RAW(14bit):PEF、DNG JPEG:★★★、★★、★、RAW+JPEG
記録媒体=SD、SDHC、SDXCメモリーカード(UHS-Ⅰ/UHS-Ⅱ規格に対応) ※UHS-Ⅱはスロット1のみ
デュアルスロット=順次、複製、RAW/JPEG分離、画像コピー- ◉ファインダー
方式=ペンタプリズムファインダー
視野率・倍率=約100%・約1.05✕(FA 50mmF1.4・∞) アイレリーフ長=約20.5mm(見口枠より)
視度調節機能=約-4~+1m-1ディオプトリ−
フォーカシングスクリーン=ナチュラルブライトマットⅢ- ◉ライブビュー
方式=撮像素子によるTTL方式
フォーカス=コントラスト検出式(オートエリア、ゾーンセレクト、追尾、セレクトL/M/S、スポット)
機能=フォーカスアシスト、顔検出、タッチAF
表示=視野率約100%、拡大表示(最大16倍)、グリッド表示、ヒストグラム表示、白とび警告、構図微調整- ◉画像モニター
形式=TFTカラーLCD、広視野角タイプ、エアギャップレス強化ガラス- 画面サイズ・ドット数=3.2型(アスペクト比3:2)・約162万ドット タッチパネル=静電容量方式
- ◉ホワイトバランス
方式=撮像素子およびRGBIrセンサーによる併用方式
ホワイトバランス=オートWB、マルチパターンオートWB、太陽光、日陰、曇天、蛍光灯(D:昼光色、N:昼白色、W:白色、L:電球色)、白熱灯、CTE、マニュアル(3種類登録可)、色温度設定(3種類登録可)、撮影画像設定
微調整=A-B軸、G-M軸で±14ステップで調整可- ◉オートフォーカス
方式=TTL位相差検出式、専用LEDによるAF補助光付き
測距センサー=SAFOX13、101点測距(中央25点はクロスタイプ)
輝度範囲=EV-4~18(ISO100・常温)※-4EVは、F2.8光束対応レンズ装着時、F2.8光束対応測距点のみ
AFモード=シングルAF(AF.S)、コンティニュアスAF(AF.C)
AFエリア=オートエリア、ゾーンセレクト、セレクト、セレクトエリア拡大(S、M、L)、セレクト(S)、スポット- ◉露出制御
測光方式=30.7万画素RGBIrセンサーによるTTL開放測光、分割/中央重点/スポット/ハイライト重点
露出範囲=EV-3~20(ISO100・50mmF1.4)
露出モード=シーンアナライズオート、プログラム、感度優先、シャッター優先、絞り優先、シャッター&絞り優先、マニュアル、バルブ、フラッシュ同調速度、USER1、USER2、USER3、USER4、USER5
露出補正=±5EV(1/2EV、1/3EVステップ選択可)- ◉シャッター
方式=電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター *リアル・レゾリューション時には電子シャッターを使用
シャッタースピード、オート:1/8000秒~30秒、マニュアル:1/8000秒~30秒(1/3EV、1/2EVステップ)、バルブ(タイマー露光設定可能:1秒~20分)- ◉ドライブモード
ドライブ=1コマ、連続(H、M、L)、ブラケット(2コマ/3コマ/5コマ)、被写界深度ブラケット、モーションブラケット、ミラーアップ、多重露出(平均、加算、比較明)、インターバル撮影、インターバル合成- タイマー/リモコン=セルフタイマー(12秒、2秒)、リモコン(即時、3秒)
連続撮影=最高約12コマ/秒、JPEG(L★★★・連続H):37コマまで、RAW:32コマまで、RAW+:30コマまで 最高約7.0コマ/秒、JPEG(L★★★・連続M):60コマまで、RAW:37コマまで、RAW+:33コマまで 最高約2.5コマ/秒、JPEG(L★★★・連続L):90コマまで、RAW:39コマまで、RAW+:37コマまで- ◉外付けフラッシュ
発光方式=自動発光、赤目軽減自動発光、強制発光、赤目軽減強制発光、スローシンクロ、赤目軽減スローシンクロ、P-TTL、光量比制御、ハイスピードシンクロ、ワイヤレスシンクロ可能
シンクロ同調速度=1/200秒- ◉撮影機能
カスタムイメージ=オートセレクト、鮮やか、ナチュラル、人物、風景、雅(MIYABI)、ポップチューン、ほのか、フラット、銀残し、リバーサルフィルム、モノトーン、クロスプロセス クロスプロセス=シャッフル、プリセット1~3、お気に入り1~3- ◉動画
ファイル形式=MPEG-4 AVC/H.264(MOV)
記録サイズ フレームレート=4K(3840✕2160、30p/24p) Full HD(1920✕1080、60p/30p/24p)
音声=内蔵ステレオマイク、外部マイク使用可能(ステレオ録音)、録音レベル調整可能、風切音低減可能- ◉再生機能
再生方法=1画像、マルチ画面表示、拡大(最大16倍)、グリッド表示、回転表示、ヒストグラム表示、白とび警告表示、縦位置自動回転、詳細情報表示、著作権情報表示、GPS情報、方位、フォルダー表示、撮影日別表示
RAW現像=RAW画像選択:1画像選択/複数画像選択/フォルダー選択/撮影日選択 RAW現像パラメーター20項目
編集機能=プロテクト、回転、コピー、転送、RAW追加保存、リサイズ、トリミング、レベル補正、ホワイトバランス補正、色モアレ補正、動画切出し、動画分割、動画フレーム画像JPEG保存- ◉カスタマイズ機能
設定項目=ユーザーモード、Fxボタン、AF/AEロック設定、プレビューレバー、電子ダイヤル、スマートファンクション、タッチパネル、アイセンサー、ファインダー内表示、表示パネル、画像モニター表示、クイックビュー、拡大表示、警告表示、コントロールパネル、モードメモリ、露出設定ステップ、ISO感度ステップ、色温度ステップ、焦点距離入力、回転情報記録、絞り情報記録、AF微調整、著作権情報- ◉電源
使用電池=充電式リチウムイオンバッテリーD-LI90P、AC
電池寿命=撮影可能枚数 約800枚、CIPA規格準拠- ◉外部インターフェース
端子=USB端子(USB Type-C)、ケーブルスイッチ端子(φ2.5mm)、Xシンクロソケット、HDMI端子(タイプD)、マイク端子、ヘッドホン端子
USB接続=USB3.2 Gen1、データ転送: MTP/CD-ROM、充電式バッテリーへの充電/カメラ本体への電源供給(専用ACアダプター使用時)- ◉無線LAN
準拠規格=IEEE 802.11b/g/n(無線LAN標準プロトコル)
使用周波数(中心周波数)=2412MHz~2462MHz(1ch~11ch)
セキュリティ=認証方式:WPA2、暗号化方式:AES- ◉Bluetooth通信
準拠規格=Bluetooth v4.2(Bluetooth Low Energy)
使用周波数(中心周波数)=2402MHz~2480MHz(CH0~CH39)- ◉外形寸法・質量
寸法=約134.5mm(幅)✕103.5mm(高)✕73.5mm(厚) (突起部を除く)
質量=約820g(バッテリー、SDカードを含む)・約735g(本体のみ)
ボディカラー=ブラック/シルバー- ◉発売時期=2021(令和3)年4月23日
- ◉価格=オープンプライス(ボディのみ 実売280,000円・税込)
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