前回のペンタックスZ-1Pは使っても、執筆していてもなんだか疲れました。久しぶりに。こちらも使い方を忘れていたこともあったわけですが、一時は仕事にも使用していたカメラだというのに、操作設定に悩んだりするのは加齢のせいかもしれませんが、よろしくないのは取説を見るのが面倒になったからかな。あ、これは昔からか。
とにかく写真を撮るための最低限の操作設定がわかれば大きな問題はないという考え方が筆者の根底にあるためでしょうか。ですのでスペック評価って、カメラ雑誌のレビューの時に軽く試してみるくらいのものなんですよね。
スペックマニアの皆さまにはおそらくご不満点も多々あると思いますが、特定のカメラのスペックに対して、あれができる、これができる、これが便利だという話は、ググればいくらでも出てくるわけですし、ここで羅列したところであまり大きな意味を持ちません。言い訳だけど。ですので使い方とか疑問点は聞かないでください。正直なところ、筆者にはZ-1Pのポテンシャルを最大限引き出すことができなかったいうことになります。これは現在のスーパースペックのデジタルカメラにも当てはまるかもしれませんが、筆者の仕事には高機能スペックはまず支障はないという証明でもあります。開き直っております。
ペンタックスMZ-5N+smcペンタックスFA 43mm F1.9 Limited
この位置から見ると、カメラがどのような状況にあるかが電源を入れなくてもわかります。ダイヤル方式の大きなメリットですが、レトロすぎるという意見も出てくるんですよね。全体的にコンパクトで軽量です。35mm一眼レフカメラはこうでなくてはいけません。
ペンタックスのAF一眼レフは最初がSFシリーズで、Zシリーズになり、その次がMZシリーズになります。で、気を取り直して今回はAF一眼レフのMZ-5Nでいかせていただきます。
姿とカタチを見ただけで、筆者には安堵感が広がり、余裕が出てまいります。理由は単純ですね。カメラを真上から見れば取説を読まなくても認識できるシャッタースピードダイヤルが表に出ている。絞り値が見られる。露光補正ダイヤルが表に出ている。これだけでもう気持ちが癒され、ゆとりが出てきます。
カメラの電源を入れなくても、写真を撮影するための基本設定状態がわかるのはとにかく精神的にラクですね。小型軽量であることも嬉しい点です。
MZシリーズの代表格は1995年に登場したMZ-5であり1997年にモデルチェンジしたMZ-3なんじゃないのか、なぜMZ-5Nなのか?という疑問がたぶん出てきそうです。ええ、そのとおりです、でもね、前2機種もウチに在籍されていたことがありますが、順を追ってお亡くなりになりました。
これらの機種の有名な故障にミラーが復帰しなくなる、内蔵ストロボのポップアップが不能になるという2点がありまして、2台ともそのケースに当てはまりました。で、生き残ったのがMZ-5Nであるという単純な理由で今回取り上げたわけです。とりあえず、本日の執筆中までは支障なく動いております。
ペンタプリズムにポップアップストロボを内蔵させる技はペンタックスのお家芸ですが、各社にパクられます。発光部を収納しておいたままだとポップアップしなくなりますので保管する時には邪魔でも発光部を収納しないでおきましょう。
シャッタースピードダイヤルに測光方式切り替えダイヤルに液晶表示窓ですね。合焦音を消したいのですが取説を読むのが面倒なので消音ができず、我慢して使用しております。
本機は1996年に登場しています。立ち位置はMZ-5の後継改良型ではなくて、MZ-3の最高速シャッターの1/4000秒を1/2000秒にした普及型カメラとして考えていただいた方がいいかもしれません。当初は輸出専用機だったようです。輸出カメラは一円でも価格を下げたいということで、機能を落とすことがありますが、シャッターユニットって、シャッタースピード1段分くらいで価格が下がるんでしょうか。知らんけど。
でもまあ国内市場で売るにはMZ-3との差別化をはかった仕様にしたのでしょうねえ。MZ-5にはなかったプレビューボタンは付いてますね。これは筆者も頻繁に使うわけではないのですが、真面目な機能追加ということで高評価になります。
外装はプラスチッキー感バリバリですね。正直、高級感がありません。ただ、小型軽量ですからどこへでも連れ回せる気軽さがあります。
動作感触はどうでしょうか。シャッター音はなんだか赤ちゃんのくしゃみみたいな音がします。モーター巻き上げも余裕がない感じですね。いずれも実用上は問題はないのですが、気持ちが入りません。
ファインダーは明るいですが、マットのフォーカスの切れ込みがいまひとつという印象です。AFなんだから明るければいいだろう的な感覚を感じてしまうところがツラいですね。
マウントの型式はKAF2と呼びますが互換性はさすがです。MFのKマウントレンズでも、現代のデジタル一眼レフ用ペンタックスD-FAレンズでさえも使用は可能です。M42レンズもアダプターでOK。
露光補正ダイヤルですね。わかりやすいです。1/2刻みです。ちなみに分割測光はどのような光線状態でも露光補正しなくても、問題なく写るというのがウリなはずですので、これはお好みと考えていいのでしょうか。でも、このMZシリーズはみんなデフォルトでもオーバー露光めな感じするので、露光補正はよく使います。
KAF2マウントと呼ぶみたいです。内部にある2つの接点は、この時代はパワーズーム用ですね。のちにレンズ内モーターの電源供給になるそうです。うまく使いまわしています。
筆者は本機ではマニュアル露出と絞り優先AE以外は使用したことありませんが、シャッターダイヤルをAに、絞り環のあるレンズをAポジション、にすればプログラムAEになります。露出精度はどうなんだろう、筆者の経験からすると、AEは露出過多気味に設定される感じです。カメラのクラスからして、カラーネガフィルム使用の前提だからでしょうか。理由はよくわかりません。いずれのAEでもそうなのですが、気に入らなければ自分で匙加減すれば済むことです。
MZシリーズの当初のコンセプトはZシリーズで突っ走ってしまった先進(?)の操作性をMF一眼レフ時代のそれに戻したという考え方で良いのではないでしょうか。スペックマニアさんからは後退と見られ低評価だったかもしれませんが。
中古市場ではこれらのMZはいずれも不人気です。先に書きました故障問題もあるのでしょうか。中古カメラ店でジャンクの箱の中に捨てられるような感じで投げ込まれたMZシリーズをよくみるのですが、悲しくなりますね。もうちょっと質感を高く、頑丈に作っておけば評価は維持されたんじゃないでしょうか。でも、きちんと機能している個体ならフィルムカメラ入門機として使う意味は今でも十分にあると思っています。
あ、ここのボタンを押して何かをすると、消音できるのか?ストロボマークは発光と非発光とか選べるんですか?ストロボ使わないから知らず。実際にご使用になる方は調べてください。AF/MFの切り替えレバーがありますがAF-SとAF-Cの切り替えはどうやって行うのかしら。
フィルム室とシャッター巻き上げスプール。フィルム先端を指定位置に置いて、裏蓋を閉めると自動的に1コマめまで送られますね。サルでもフィルム装填を失敗するのは難しいという方式ですね。
AFエリアの大きさ切り替えができますが、位置は中央だけですね。それでも特に問題ないですね。多点のAFエリアのあるカメラでも一眼レフの位相差AFは中央しか信用できません。コサイン誤差の方がフォーカスがズレる影響は小さいんじゃないですか。
ペンタックスMZ-5Nカタログより抜粋(資料提供:リコーイメージング株式会社)
- 【PENTAX MZ-5N 性能表】
- ◉型式=TTLストロボ内蔵・TTL自動露出・オートフォーカス35mm一眼レフカメラ〔パノラマ途中切替え可能〕
- ◉画面サイズ= 24×36㎜(標準サイズ)、13×36mm(パノラマサイズ)
- ◉レンズマウント=ペンタックスKAF2、KAFマウント〔従来のKA、Kマウントレンズ使用可能〕
- ◉オートフォーカス
- ・測距方式=TTL位相差検出方式(SAFOX Ⅳ)
- ・測距輝度範囲 = EV-1~18〔ISO100〕
- ・フォーカスモード=①AFシングルモード〔合焦後レリーズ〕②マニュアルモード〔手動で焦点合せ〕
- ・適合レンズ=KAF2・KAFマウントレンズ、KA及びKマウントレンズ〔AFアダプター使用でAF可能〕
- ・動体予測機能=あり〔自動切替え〕
- ・フォーカスロック=あり〔シャッターボタン半押し〕
- ◉シャッター
- ・型式=電子制御式縦走行フォーカルプレーンシャッター
- ・速度=プログラムオート、絞り優先:1/2000~30秒(無段階)、シャッター速度優先、マニュアル :1/2000~2秒(1EVステップ)、バルブ、1/100秒、Xシンクロ :1/100秒以下
- ◉セルフタイマー
- ・方式=電子制御式
- ・作動時間=約12秒
- ・作動確認表示=PCV音
- ◉露出制御
- ・測光方式=TTL開放分割測光(6分割測光)
- ・測光範囲=EV 0~21〔ISO100・F1.4レンズ使用時〕
- ・測光モード=①6分割測光〔FA、F、Aレンズ装着時〕②中央重点測光 ③スポット測光
- ◉露出モード=
- 【レンズAポジション】
- ①プログラム自動露出:シャッターダイヤルA位置(表示パネルにP表示)
- ②シャッター速度優先自動露出:シャッターダイヤルでシャッター速度設定(表示パネルにTv表示)
- 【レンズMポジション】
- ①絞り優先自動露出:シャッターダイヤルA位置(表示パネルにAv表示)
- ②マニュアル露出:レンズ絞りとシャッター速度を任意に設定(表示パネルにM表示、ファインダー内にバーグラフ表示)
- ③バルブ露出:シャッターダイヤルB位置(表示パネルにM表示、ファインダー内にbu表示)
- ・露出補正=±3EV〔1/2 EVステップ:露出補正ダイヤルでセット〕
- ・メモリーロック=あり〔MLボタン押しによる〕
- ・オートブラケティング=ドライブレバーによる、1EVステップもしくは1/2 EVステップで3枚連写、露出モードP、Av、Tvで可能、露出補正、メモリーロック、フラッシュ併用可能
- ・フィルム感度設定=DX:ISO 25~5000、Non DX :直前がDXの場合・ISO 100・直前がマニュアル設定の場合・最終設定値、マニュアル:ISO6~6400(1/3EVステップ)
- ◉ファインダー
- ・型式= ペンタプリズム式
- ・スクリーン=スポットフレーム付ナチュラルブライトマットスクリーン(固定式)
- ・視度=-2.5 ~+1.5m-1(ディオプター)
- ・視野率 =92%
- ・像倍率=0.8倍〔50mm F1.4レンズ・∞〕
- ・ファインダー内表示=Tv(シャッター速度)値、Av(絞り)値、マニュアル露出時&露出補正時バーグラフ、露出補正マーク、フォーカス表示、ストロボ情報マーク、メモリーロックマーク、AFフレーム
- ◉内蔵ストロボ
- ・型式=リトラクタブル電子制御式TTLオートストロボ
- ・ガイドナンバー= 11〔ISO 100・m〕
- ・照射角=焦点距離28mmレンズの画角をカバー
- ・表示=使用勧告表示、充電完了表示、不適合レンズ・画角警告表示
- ・充電時間=約3秒(※ストロボ発光後)
- ・機 能=①低輝度・逆光時自動発光 ②赤目軽減プリ発光 ③自動発光[プログラム自動露出時]
- ◉ストロボシンクロ
- ・接点=X接点・ホットシュー(専用ストロボ接点付)
- ・シンクロ速度=1/100秒以下、後幕シンクロ1/60秒以下、光量比制御1/60秒以下
- ・撮影モード=①TTL自動調光 ②後幕シンクロ〔AF330FTZ、AF500FTZ、AF400FTZ、AF240FT使用時〕 ③マルチストロボ発光〔AF500FTZ使用時〕 ④光量比制御〔AF330FTZ、AF500FTZ使用時〕
- ◉フィルム給送
- ・フィルム装填=オートローディング(フィルム装填後裏蓋閉じにより1枚目まで自動空送り)
- ・巻上げ、巻戻し=自動巻上げ〔連続撮影可能〕、フィルム終了時自動巻戻し〔途中巻戻し可能〕
- ・巻上げ時間=約2コマ/秒
- ・途中巻戻し=途中巻戻しボタン押しによる
- ・巻戻し時間 =約13秒〔24枚撮りフィルム〕
- ◉液晶パネル表示=①フィルム有無、フィルム装填エラー、撮影枚数、巻上げ・巻戻し、巻戻し終了 ②絞り優先・絞り値、シャッター速度優先・シャッター速度 ③フィルム感度 ④ストロボ自動発光、ストロボ充電完了、未充電、ストロボ使用勧告、不適合レンズ警告、赤目軽減、 ⑤バッテリー警告 ⑥PCV電子音
- ◉デート機構
- ・型式=クォーツ制御液晶表示デジタルカレンダーウォッチ〔2049年まで日付自動調整〕
- ・写し込みモード=①年・月・日 ②日・時・分 ③写し込みなし ④月・日・年 ⑤日・月・年 〔パノラマ自動切替え〕
- ・電源=CR2025
- ◉電源
- ・使用電池 =リチウム電池〔CR2タイプ〕2本
- ・撮影可能本数=約120本〔24枚撮りフィルム〕、内蔵ストロボ50%使用時 約20本、バルブ露出の継続時間 約8時間 ※使用条件は当社試験条件による
- ・バッテリーチェック=警告:表示パネルの電池マーク点灯、交換表示:電池マーク点滅、ファインダー表示全消灯、レリーズロック
- ◉大きさ=135(幅)×90(高さ)×61.5(厚さ)mm
- ◉重さ=425g〔デート付、電池別〕
- ◉発売時期=2001(平成13)年3月10日
- ◉価格=75,000円(本体のみ・税別)
- ◉生産数量=当初月産3,000台
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