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推すぜ!ペンタックス

第15回 中古市場で超絶な不人気廉価カメラ、ペンタックスSFXNで名作を撮りたい

2022/03/03
赤城耕一

今週も「ペンタックススーパーAはどこに行ったのか」の時間がやってまいりました。みなさんお元気でしょうか。こんばんは。赤城耕一です。
さてと、いいかげんお前のペンタックスネタは尽き欠けてきたのではないかと思われているフシがあるようですが、もうちょいと引っ張ることにいたしますね。

 

今では日替わりランチ価格でも誰も見向きもしない、かつての本格派AF一眼レフ

 

今回取り上げるのは、ペンタックスの本格派AF一眼レフSFXの改良型SFXNでございます。
以前のAF一眼レフ初号機のME-F君とはずいぶんと様相が異なります。はい、ガタイがいいのはモータードライブやストロボを内蔵しているからですね。ME-Fが本気出してないとは言いませんが、AFを使うことができるレンズは1本だけしかないですし、さすがのカメラ博愛主義者の筆者でも、あの合焦に向かう最中に考え事をしているようなAFの動作で、自己表現を追求する写真制作は難しいのではないかと考えております。いじくり回している時は楽しいけどね。
 

前回のP30に続いて「お前はSFXNにまで手を出しているのか!」というご意見があるのは百も承知の上でございます。それくらい中古カメラ店でのSFXNの評価は低く、ショーウィンドウよりも、ジャンクコーナーで見かけることが多いように思いますが、これでは携わった全ての人々がとてもかわいそうです。
 

手を出すも何も、何せこのSFXNくんも、数年前のことですが、東京は杉並区の某私鉄沿線にあるカメラ店にて、本日の日替わりランチ+ランチビールくらいの値段で売られていたからです。もうジャンクかと思いました。しかも標準ズームのsmcペンタックスFズーム35-70mmF3.5-4.5までもついておりました。動作させてみると問題はなさそう。それにしてもこれくらい価値が認められていないAF一眼レフも珍しいですねえ。現役時代はレンズついて10万円は超えてたと思うんだけど、今では日替わりランチ価格でも誰も見向きもしないわけです。
 

筆者が救出せねば、誰がするのだ。使命感に燃えました。筆者が購入しなければ今ごろ家電ゴミになっていたんじゃないかなあ。あ、筆者が居住しています東京都下の市は「カメラ」を廃棄する場合は「家電ゴミ」の日にしろと書いてあります。ここにデジタルカメラとフィルムカメラの区別がないので、今後、市のゴミ減量課に問い合わせて聞いてみましょう。
 

ペンタックスSFXN+smcペンタックスFズーム35〜70mmF3.5−4.5

ブス好きな人に向いたAF一眼レフです。でも最近はもしかして、このデザインはイケるのではと考え始めています。ジジイになったので好みが変化したのかもしれないですね。いや、ミラーレス機にブスが多いからでしょうか。

 

 

で、本題に入りますね。どうもトシ食ってくると話が長くていけません。いつものことですけど。
SFXにNがついたSFXNですから本機は改良型ですね。ただ、外観からはその違いは分かりません、それほど両者は酷似しています。個人的にもかなりカッコ悪いと思っております。でも密かなブス好きなわけですね。というか筆者は長いことこの顔を眺めておりますのでもう慣れました。いや、今回久しぶりに取り出したらそれなりに見られるんじゃねえかなあと思い直しています。ブスなミラーレス機を見すぎているからかもしれないですね。
 

前機種のSFXのデザインのことは、赤瀬川原平さんがえらく褒めていて、たしかトランジスタラジオだったかラジカセのデザインのように例えていました。あ、ウラ取れてません。記憶によればですけどね。ただ、このデザインは、金属製のボディでは難しいであろうことが、ど素人の筆者にも分かります。ガンプラって、こんな感じじゃないんですか?違うのか。
 

グリップが意外に太めでゴツいのですが、実際の握り心地はなかなか良く、ホールディングバランスもとれています。ちなみにバッテリーはグリップのところに入りますが、通常では2CR5を使います。もしかするとボディよりバッテリーの方が高価な可能性があります。グリップのアクセサリーでは「単3バッテリーグリップFB」というのがあるようです。欲しいですね。要らない人くれないかな。
 

ペンタプリズム部にポップアップ式、のストロボを内蔵していますが、これは前機種のSFXからのもので、素晴らしいアイデア賞ものです。ブスなんだけど収納時は発光部が見えませんから、身だしなみが良い人という印象を受けます。これ、収納時に発光部が見えると、ものすごくだらしなく見えませんか?
 

着脱式のボディデザインに合わせた専用ストロボを用意した一眼レフカメラはオリンパスや京セラにはあるのですが、完全にストロボを内蔵した一眼レフって、前機種のSFXが最初だったようですね。筆者は内蔵ストロボを実際の撮影では一度も使用したことないので、その便利さはよくわからないのですけど。
 

アクセサリーシューはボディ右袖に位置しています。面白いのはこのシューにはえらく大型のシューカバーが用意されており、シューのレールが通常は見えないように隠されていることです。筆者は普通のカメラではシューカバーのことは現在に至るまで「ケッ」とか思うくらいその価値を認めていません。
でも本機にはデザインのまとまりという意味では、シューカバーはどうしても必要な感じはしてきます。珍しいですね。紛失しないように注意すべきでしょう。
 

大型のLCDパネルはペンタプリズムやや後ろに位置していてなかなか見やすいですね。ちょっとカッコ悪いけどね。

 

 

右の四角い盛り上がりがシューカバーですね。ここまでしてアクセサリーシューを隠したいのか、というストイックな姿勢を感じます。気持ちはわかります。 

 

ペンタプリズム後方にかなりデカいLCD窓があります。ここではPモードに合わせています。プログラムシフトが可能でアイコンで変更するタイプです。筆者は真面目ですからPモードでは撮りません。

 

 

シャッターを半押しするとAFレンズが大きいシャーッという音を発して走ります。往時でのAF速度どうなんだろう。ME-Fよりは明らかにマシです。というか100倍は速いよね。ただ、合焦した後にタイムラグがあります。少し考えているというか答え合わせをしているような感じがします。そしてカシャー、カシャーという動作音を発して、シャッターが切れて、フィルムが巻き上がります。安っぽいんだけどいま聞くと新鮮に感じます。嘘です。
 

そうそう、SFXとSFXNはどう違うんだという話をせねば。あまり興味ないけど(笑)。まず最高速シャッタースピードはSFXの1/2000秒からSFXNは1/4000秒になり、シンクロ速度も1/100秒から1/125秒と高速化。フォーカシングスクリーンも明るくなり、コマ速度がSFXの1.8コマ/秒から2.2コマ/秒となりました。気に入っているのはフォーカスモードがMANUALとSERVO AFとSINGLE AFに明確に分かれていることで、ミノルタα7000のおまかせ的なAFよりも使いやすいです。
AFの合焦精度もこの当時としてはなかなかいい感じです。答え合わせが効いているのかなあ。他にも違いがたくさんあるみたいなので興味のある人は調べてください。ふつうは調べないか。
 

価格だけを見て、勢いで購入したSFXNなわけですけれど、実用的にもかなりイケることがわかります。何よりもユーザーになることで、人気機種や最新機種に安易になびくことのない写真表現者を気取ることができます。
こうした超絶な不人気廉価カメラで名作を撮ることを目標としている筆者としては、SFXNは理想的な機種ということになります。少なくともペンタックスLXのFA-2ファインダーを探すことを人生の目標にしている人とは異なる位置から写真制作をすることができるからです。ええ、何を重視するかは個人の自由ですけれど。

 

フォーカスモードの切り替えレバーです。MFにはそのまま切り替えることができません。ロック解除ボタンを押してスライドする必要があります。可能なかぎりAFを使ってね、という意思表示かもしれないですね。

 

 

左が露光補正設定・ISO感度設定スイッチ、右が露出モード・コマ速度設定スイッチですね。グリップ側の上下スイッチと組み合わせて設定します。単独では設定を変えることができません。めんどくせえなあ。

 

 

手前がシャッターボタンです。四角いですね。安っぽさは表彰したいくらいですが、しばらくすると慣れてきます。ジジイは従来のカメラのシャッターボタンのように心が丸い。その後ろが撮影モードやISO感度設定スイッチと組み合わせて使用する上下スイッチです。

 

 

 

クリップオンタイプストロボを使用する場合はシューカバーを外して装着します。こうしてみるとたしかに醜いですねアクセサリーシューって。ブス感が増幅します。見たくないというか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンタックスSFXNカタログより抜粋(資料提供:リコーイメージング株式会社)

 

 

  • 【PENTAX SFXN 性能表】
  •  
  • [型式]=ストロボ内蔵マルチモードTTL AE・AF35mm一眼レフカメラ
  • [画面サイズ]=24×36mm
  • [レンズ]=SMCペンタックスFレンズ(K・KAマウントレンズの場合、実効F No.5.6 以上の明るさのレンズでフォーカスインジケーションが可能)
  • [レンズマウント]=ペンタックスK AFマウント、K・KAマウントレンズ使用可能
  • [焦点調整機能]
  • 測距方式=ペンタックスTTL位相差検出方式
  • 作動輝度範囲=EV2〜EV18(ISO100の時)
  • 補助投光=低輝度時、AFスポットビーム自動照射
  • 制御モード=①オートフォーカス(シングル)モード[フォーカスロック可能]②オートフォーカス(サーボ)モード[動体に追従]③マニュアルフォーカスモード ※スナップ・イン・フォーカス[オートフォーカス(シングル)モードでAレンズを使用した時可能]
  • 合焦速度=0.3秒(SMCペンタックスFズーム35〜70mm 3.5-4.5で最短距離から無限遠までの時間)
  • AF適合レンズ=ペンタックスFレンズまたは、ペンタックスAFアダプター1.7×
  • [露出調整機構]
  • 測光方式=TTL中央重点全面測光 GPD受光体使用
  • 作動輝度範囲=EV1〜EV20(ISO100・F1.4レンズ使用時)
  • モード=①マルチプログラム自動露出モード・ノーマルプログラム自動露出モード(レンズの焦点距離に応じて、被写界深度深めのプログラムワイド〜プログラム標準〜手ブレを防ぐプログラムテレにオートシフト)・プログラムアクションモード(高速シャッター優先のプログラム自動露出モード)・プログラムデプスモード(被写界深度優先のプログラム自動露出モード)②絞り優先自動露出モード③シャッター速度優先自動露出モード④マニュアル露出モード⑤バルブ露出モード⑥TTL自動調光ストロボモード(プログラムストロボ可能)⑦外光オートストロボモード⑧マニュアルシンクロ1/125秒モード
  • オートブラケティング=オートブラケティングモードの選択より可能、適正⇒アンダー⇒オーバーの順に段階露出、ステップは選択可能(初期設定は±0.3EV、0.5EVステップで±4EVまで)
  • 露出補正=0.5EVステップで±4EVまで、メモリーロックやISOマニュアル設定による補正も可能
  • [シャッター機構]
  • 型式=電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター
  • 速度=オートシャッター1/4000〜30秒、マニュアルシャッター1/4000〜1秒、Xシンクロ1/125秒、バルブシャッター(電子制御式電磁シャッターレリーズ式)
  • シャッターロック=電源メインスイッチOFFでロック
  • [絞り機構]
  • 型式=完全自動絞り方式(K AF・KAマウントレンズ使用時)
  • [ファインダー]
  • 型式=ペンタプリズム式
  • 視野率=92%
  • 像倍率=0.8倍(撮影レンズ50mmF1.4、撮影距離∞の時)
  • フォーカシング=アスフェリックマイクロマット、交換式スクリーン
  • [内蔵ストロボ]
  • 型式=リトラクタブル・AFスポットビーム付・並列制御TTLオートストロボ
  • ガイドナンバー=14(ISO100・m)
  • 撮影距離範囲=プログラムモードで1.4m〜5m(ISO100・F2.8)F値、周辺の明るさで変化
  • 照射角=焦点距離35mm以上のレンズの画角をカバー
  • 充電完了表示=ファインダー左横ランプ点灯
  • 警告=不適合レンズ装着の場合、上記ランプ点滅
  • [セルフタイマー]
  • 方式=電子制御式。セルフタイマー1コマ、トリプルセルフタイマーを選択可能(1コマ、トリプルともにストロボ撮影可能)
  • 作動時間=①セルフタイマー1コマ:始動12秒後にレリーズ ②セルフタイマー3コマ:始動12秒後にレリーズ⇒2秒後レリーズ⇒2秒後レリーズ ③セルフタイマーストロボ3コマ:始動12秒後にレリーズ⇒充電完了2秒後レリーズ⇒充電完了2秒後レリーズ 充電時間制限付
  • 始動=シャッターボタン
  • 作動確認表示=LED点滅、PCV電子音、LCDにて作動秒数減算表示
  • 作動解除=クリアボタンまたはドライブモードの変更または電源スイッチOFFにより可能
  • [ミラー機構]=スイング上昇式、クイックリターンミラー、オートフォーカス用ミラー付
  • [裏ぶた]=交換式(データバックFB、インターバルデータバックF装着可能)
  • [表示]
  • ファインダー内LED表示=【フォーカス情報】 合焦表示 前ピン表示 後ピン表示 【撮影情報】 プログラム自動露出表示 絞り優先・シャッター速度優先自動露出表示 マニュアル露出表示 シャッター速度表示 露出補正表示 AEロック(メモリーロック)表示 内蔵・専用外付ストロボの充電完了および調光確認表示 手ブレ警告表示
  • 外部LCD表示=プログラム自動露出表示 プログラムアクション(高速シャッター優先プログラム)表示 プログラムデプス(被写界深度優先プログラム)表示、絞り優先・シャッター速度優先自動露出表示 マニュアル露出表示 バルブ露出表示 マニュアル1/125秒露出表示 オートブラケティング(自動段階露出)表示 セルフタイマーマーク 露出補正表示 マニュアルISO設定表示 フィルム装填表示(電源OFF時も表示) フィルムローディング表示 1コマ/連続撮影モード表示 シャッター速度/バルブ/ISO表示 F値/露出補正値表示 フィルム枚数/セルフタイマー秒数カウンター バッテリー警告マーク
  • [ストロボシンクロ]
  • シンクロ=内蔵オートストロボおよびホットシュー
  • シンクロ速度=1/125秒
  • ホットシュー=X接点(専用ストロボ接点付)
  • シンクロ速度自動セット=内蔵オートストロボおよび専用オートストロボ充電完了時に自動セット(マニュアルモード時1/125秒以下のスローシンクロ可能)
  • TTL自動調光ストロボ=内蔵オートストロボおよび専用オートストロボ(AF400 FTZ・AF240 FT・AF400 T・AF280 T・AF200 T・AF080 C)で可能
  • TTLプログラムストロボ=プログラムモードで内蔵オートストロボおよび専用オートストロボ AF400 FTZ・AF240 FTを使用時、被写体輝度により作動(1/60〜1/125秒、F2.8〜F11のプログラム(ISO100)および発光自動制御)
  • [フィルム巻き上げ]=内蔵モーターにより自動巻き上げ・巻戻し、フィルム終了時自動停止・巻き戻し
  • モード=連続撮影モード、1コマ撮影モード
  • 巻き上げ速度=約2.2コマ/秒
  • [フィルム感度設定]=DX対応自動設定 ISO25〜ISO5000、マニュアル設定 ISO6〜ISO6400(1/3ステップ)
  • [電源]
  • 電圧=6V
  • 使用電池=リチウム電池2CR5専用バッテリーグリップを標準装備、単3形電池(4本)用バッテリーグリップ、リチウム電池2CR5またはCR-P2のコンバチグリップ別売
  • 撮影可能本数=リチウム電池 約150本(24枚撮り)、ストロボ50%使用時 約30本(24枚撮り)
  • バッテリーチェック=規定電圧以下になった時、LCDバッテリー警告マークが点灯し、ファインダー内LEDが点滅する
  • [大きさ]=154.5(幅)×99(高さ)×63.5(厚さ)mm
  • [重さ]=665g(バッテリーなし)
  • [発売時期]=1988(昭和63)年11月21日
  • [価格]=SFXn:ボディのみ 80,000円、35〜105mmレンズ付 120,000円、ケース(35〜105mm装着用) 5,000円、グリップストラップ 5,000円
  •  
  •  

  • 【PENTAX SFXN クォーツデート 性能表】

  • [デート機構]=クォーツ制御・液晶表示式・デジタル時計・オートカレンダー(西暦2019年まで、閏年は自動補正)
  • データの写し込み方法=7セグメント6けたLCD(液晶)表示、フィルム背面より写し込み
  • データ表示=データ表示窓にLCD(液晶)表示、表示写し込み時 ─マークが2〜3秒秒間点滅
  • データの種類=①年・月・日 ②日・時・分 ③…………(データ写し込みなし) ④月・日・年 ⑤日・月・年  年月日[年=87〜19(1987〜2019年) 月=1〜12 日=1〜31 時分[時=0〜23 分=00〜59]
  • 使用フィルム感度=ISO25〜1600(感度自動セット)
  • データ電源=CR2025型
  • 発光回数=約5000回
  • [大きさ]=154.5(幅)×99(高さ)×66.5(厚さ)mm
  • [重さ]=685g(バッテリーなし)
  • [発売時期]=1988(昭和63)年11月21日
  • [価格]=SFXnクォーツデート:ボディのみ 85,000円、35〜105mmレンズ付 125,000円、ケース(35〜105mm装着用) 5,500円、グリップストラップ 5,000円

 

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