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コンデジ回想録

8 リコー GR DIGITAL

2022/08/15
上野修

あのGRがデジタルになって帰ってきた、と話題になったのが、2005年に発売されたリコー GR DIGITALです。

 

広角単焦点を搭載したコンパクトで写りがいいカメラ、というのがGRの特徴ですが、ほかにこれといって特徴がないのも、GRの特徴です。

 

 

ということで、カメラらしいカメラとか、撮っていると撮っていると感じるとか、カメラを持っていることを忘れるくらい身体と一体化するとか、同語反復的なウンチクくらいしか書くことがなくなってくるのも、GRの特徴かもしれません。

 


 

じっさい試用時に撮影した写真を見返してみても、特になにも思い出しません。というか、そもそもなにを撮ったのかも覚えてませんでした。これはどういうことなのでしょうか。
 

語弊を恐れずにいえば、GR DIGITALは、撮った写真を見ることよりも、撮ること自体が楽しいカメラなのかもしれません。試用したときには、これが話題のGR DIGITALか、と心躍ったはずですが、あっという間に、手になじんでしまったようです。
 

……あ、やはり、撮るのが楽しいとか、手になじむとか書いてしまいました(笑)

 


 

それはそれとして、ひさしぶりに外観を見てみると、モードダイヤルがM・A・Pなど計6モードに絞られているなど、じつにシンプルです。若干増減しながらも、このあたりのシンプルさが現行機まで引き継がれているのも見事ですね。
 

外観や操作性が大きく変わらないということは、もともとの設計思想がしっかりしているということでもあります。言うは易く行うは難し。デジタル時代に、それを体現しているのは、設計思想の設計思想も練られているということになるでしょう。このような同語反復的美学の原点と考えると、この初代GR DIGITALの特徴のなさが、特別なものに見えてくるかもしれません。


[RICOH GR DIGITAL]
・卓越した高解像度・低ディストーションのGR LENS F2.4/f=5.9mm(35mm判カメラ換算28mm)
・ワンショットでRAWとJPEGを同時記録
・堅牢なマグネシウムボディ
・外部ファインダー・21mmワイドコンバージョンレンズなどのオプション
・量販店実勢価格79,800円(2006年9月中旬)

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