前回とりあげたキヤノン IXY DIGITAL 910 ISをブラッシュアップして、約一年後の2007年9月に登場したのが、後継モデルの910 ISです。
7.1 メガピクセルCCDから8.0メガピクセルCCDに高画素化、液晶が2.5型から3.0型に大型化、タッチホイールを新たに採用といった変更点がありますが、その進化のなかで無くなったものがあります。それは、光学ファインダーです。
液晶が3.0型になるというのは、感覚的にはけっこう大きな変化で、ビューワーとしても使えるようになってくるわけです。ということは、当然、撮影するためにも充分な大きさということになります。とはいえ、直射日光の影響があるシチュエーションでは見にくいという問題が残りますが、910 ISはクリアライブ液晶を採用することで、この問題をある程度克服しています。
900 ISでは、光学ファインダーで撮影し、2.5型の液晶で仮に確認し、パソコンで見たりプリントアウトして楽しむものだった流れが、910 ISでは、3.0型の液晶で撮影し、同じ液晶で見て楽しむという流れに変わった、と考えてみると、この変化が根底的なものだったことがわかるでしょう。
もちろんこのような撮影の流れは、カシオが1995年に発売した世界初の液晶モニター搭載デジタルカメラQV-10からはじまっていたものでもありますが、910 ISあたりで実用的なものになった、つまり、コンパクトフィルムカメラから乗り換えたくなるような完成度になってきたと捉えることもできるでしょう。
そんなわけで、910 ISは、試用だけでなく個人的にも購入して使っていました。おそらく購入時の実売価格は3万円前後で、当時としてはお買い得な価格だったように思います。確認してみたところ、2007年12月から2011年2月まで約2700枚の写真を撮影していました。ちなみに、2010年一年間でiPhoneで撮影したのも約2700枚、2011年一年間でiPhoneで撮影したのは約4200枚となっています。年々、iPhoneでの撮影の比率が高くなっていたようです。
大きめの液晶をコンデジに搭載し、撮ることも見ることも単体で楽めるようにする、ということは、スマートフォンと争うことになる、ということでもあります。そうなってくると、シャッターボタンと大きめなレンズという物理的な存在が、カメラとしてのアイデンティティになるのかもしれません。
そんなことを意識して設計したわけでもないでしょうが、今日から振り返ってみると、910 ISもシャッターボタンとレンズが目立つデザインになっているのが興味深いですね。
[CANON IXY DIGITAL 910 IS]
・35mm換算で28mm-105mmの光学3.8倍ズーム
・3.0型の高精細・クリアライブ液晶を搭載
・光学手ブレ補正(IS)を搭載
・直感的に操作ができるタッチホイール
・量販店実勢価格32,900円(2007年12月中旬)
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