top コラムコンデジ回想録13 キヤノン IXY DIGITAL 900 IS

コンデジ回想録

13 キヤノン IXY DIGITAL 900 IS

2023/02/06
上野修

オシャレなコンデジといえば、キヤノン IXY DIGITALシリーズという時代がありました。そのIXY DIGITALシリーズで、はじめて広角側28mm(35mm判換算)のズームを搭載して話題になったのが、900 ISです。
 

広角側28mmのなにが特別なのか、現在では、ピンとこないかもしれませんが、かつてズーム倍率がアピールされたときには、なぜか望遠側ばかりが注目されていたのです。望遠側を伸ばす方が簡単だったのか、望遠の方がスゴそうに感じたのか、理由はいろいろあるでしょう。ガソ、ガソといって画素数競争をしていたときと、同じようなものかもしれません。選ぶ目安の数字がなにか欲しいけれど、その数字の意味は、イマイチわかってないというやつです。そんななかで、900 ISは、あえて広角側にズームを広げたわけです。

 


 

ちなみに900 ISのガソは、710万画素。1000万画素搭載のコンデジも登場していた時期のカメラなので、スペック的には控え目です。28mmスタートの光学3.8倍ズーム、710万画素、最高感度ISO1600、手ブレ補正内蔵を、高い質感のステンレスボディにバランスよくまとめた機種だといえるでしょう。このようにバランスがよく、実用性が高い機種の開発は、キヤノンが得意とするところですね。
 

28mmは、スナップするのに楽しく、嬉しい画角です。試写した写真を見返してみても、けっこうノリノリで撮っていることがわかります。フィルム時代には躊躇して撮らなかった、いかにも広角の効果という嬉し恥ずかしなベタな写真も、コンデジなら気軽に撮れてしまうわけです。

 


 

900 ISが発売された2006年には、まだiPhoneは登場していませんし、2007年登場の初代iPhoneが搭載したカメラは、それほど広角ではありませんでした。だんだん広角に強くなり、2019年のiPhone 11は、ついに35mm判換算で26mmと13mmのデュアルカメラ搭載となっています。13mmというのは特殊な超広角でしたが、iPhoneがそれを一気に身近なものにしてしまいました。ということで、現在の感覚では、28mmなんてなんでもないですね。
 

しかし、iPhoneで撮っても、スナップするのが楽しいという感覚はありません。形状的に連続して撮影するのが難しいからでしょうか。液晶画面だとイマイチ気分がノらないからでしょうか。
 

900 ISには、しっかり光学ファインダーが搭載されていましたが、使った記憶がありません。使わないけれど、ファインダーがあるということが、思いのほか重要だったのかもしれませんね。


[CANON IXY DIGITAL 900 IS]
・高輝度処理を施したステンレスボディ
・28mm-105mm(35mm判換算)の光学3.8倍ズーム
・キヤノン独自開発のレンズシフト式手ブレ補正機構搭載
・カメラが人物の顔を見分ける顔優先AF・顔優先AE搭載
・量販店実勢価格44,800円(2006年12月中旬)

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