2011年11月発売のカシオ HIGH SPEED EXILIM EX-ZR10は、28mmから196mm(35mm判換算)までの光学7倍ズーム、1210万画素の裏面照射型CMOSセンサー、フルハイビジョン動画対応といったスペックのモデルです。
前回紹介した、2011年3月発売のソニー Cyber-shot DSC-HX5Vも、25mmから250mm(35mm判換算)までの光学10倍ズーム、1020万画素の裏面照射型CMOSセンサー、フルハイビジョン動画対応ということで、似たようなスペックのモデルでした。
つまりどちらもなかなかのハイスペックなのですが、それゆえに似たり寄ったりのコンデジになってしまう、そんな時代になったのが、この頃なのかもしれません。
画素数も1000万画素超えになると、画質としても数字としても、あまりインパクトがありません。EX-ZR10もDSC-HX5Vも、3.0型の大型背面液晶を搭載しているのですが、その結果操作部のスペースが小さくなり、デザインも似通ってきます。
EX-ZR10には、連写画像を位置合わせしながら合成し解像感を高める「14倍プレミアムズーム」、カメラを動かすだけで360度パノラマを仕上げる「スライドパノラマ」といった機能があり、使ってみたときにはスゴイ!と思うのですが、常用する機能でもないので、あまりありがたみがありません。
0.37秒間隔でシャッターを押せるサクサク感は、さすがはHIGH SPEEDを冠したEXILIMですが、体感しない限りわからないし、すぐ慣れてしまうので、こちらもなかなか伝わりにくい、といった具合になるのです。
とはいえ、カシオは尖ったコンデジを作るメーカーです。「これまで見たこともないようなアート表現がシャッターを押すだけで実現」と謳う「HDRアート」は、EX-ZR10ならではのユニークな機能だったといえるでしょう。
シャッターを押してちょっと待つと、内部でゴニョゴニョしてド派手でコクのあるアートを生成してくれます。どんな画像が出てくるかわからないのも面白いです。好き嫌いが分かれる画像でしょうが、この振り切った感じがいいですね。現在でも、いや現在だからこそ、こんなコンデジがあったら欲しくなるかもしれません。
2018年、残念ながらカシオはコンパクトデジカメ事業からの撤退を正式発表しました。1995年にあのQV-10を発売し、数々のユニークなモデルを生み出してきたカシオこそは、コンデジ史を体現したようなメーカだったのではないでしょうか。カシオのコンデジをまとめた本などがあったらいいのに、と切に思います。
[CASIO EXILIM EX-ZR10]
・35mm判換算約28~196mmの光学7倍ズーム
・露出の異なる連写画像を合成するHDRテクノロジー
・美しく画像を再現する46万画素高精細液晶
・ステレオマイク搭載・フルハイビジョンムービー
・量販店実勢価格28,200円(2011年1月下旬)
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