かつて、コンデジというカテゴリーがあった。いや、もちろん今もあるのだが、かつてのような賑わいはない。このコラムでは、コンデジ全盛期に使った機種を振り返りつつ、インターネット老人会ならぬ、コンデジ老人会のような話を綴ってみたいと思います。
今回取り上げるのは、キヤノンのPowerShot S2 IS(以下S2 IS)。2005年11月頃に試用したカメラである。
コンデジというにはちょっと大きく、ネオ一眼とか、ブリッジカメラとか呼ばれていたカテゴリーだと思う。どちらも、コンパクトと一眼の間って意味ですね。
コンデジ同様、ネオ一眼やブリッジカメラという呼び方も、輝きがなくなってきているけれど、当時はキラキラしていた。
何せ、手ブレ補正付12倍ズーム! 0cmスーパーマクロ! ムービー機能!ってわけで、デジタルならではの全部入り。夢があったのである。
シャッター音をEOS-1やEOS 5にできるという、音だけでも一眼レフに近づこうという、面白い機能もあった。こういう遊び心、いいですね。
写真を見返してみると、432mm(35mm判換算36-432mm)の望遠端で撮った写真がすごく多い。今だったらなんてことない望遠だけれど、当時は新鮮だったのだろう。EVFも約11.5万画素で像が粗かったし、背面液晶も1.8型で小さかった。撮ってる時はイマイチよくわからなくて、あとで見る楽しみがあったのかもしれないね。
たぶんこのカメラを使うためだと思うけれど、同時期に奮発して、「金パナ」と呼ばれたパナソニック製1GBのSDカードを買っている。確か、1万円以上でした。
S2 ISは、単3形電池4本というバッテリーの仕様もよかった。バッテリー切れの緊急時にアルカリ電池も使えるし、単3なら充電池も汎用性があるというわけです。当時、ちょうど、エネループが誕生したというのも大きかった。それ以前のニッケル水素単3形電池は、すぐ電圧不足になってしまって、デジカメには使えなくなってしまうことが多かったけれど、エネループはその問題をほぼ解決していた画期的な電池だった。
試用した時の実勢価格が59,800円くらい。かなり気に入ったのか、翌年3月頃、少し安くなった時に自分で買って、ある日電源が入らなくなるまで、けっこう長く使っていました。
S2 IS、金パナ、エネループの組み合わせが軽快だった、そんな時代でした。
キヤノン PowerShot S2 IS
・手ブレ補正機構付12倍ズーム(35mm判換算36-432mm)
・オプションのコンバーターで広角側27mm・望遠側648mm
・スーパーマクロ・マクロ・通常撮影で0cm-∞全域撮影可
・高画質ムービー機能
・量販店実勢価格59,800円(2005年11月末)
パナソニック製1GBのSDカード。通称「金パナ」、当時1万円。
付属ストラップ。シンプルな薄手でこれも気に入っていた。
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