コンデジにとって、カシオは特別なメーカーです。
1995年にカシオが発売した、世界初の液晶付きデジタルカメラQV-10は大ヒットとなり、コンパクトデジタルカメラの道を切り開きました。その後も、ユニークなコンデジを作り続けたカシオは、コンデジ界のアバンギャルドだったといっていいかもしれません。
2002年に発売された、厚さ11mmの世界最薄カード型デジカメEXILIM EX-S1も画期的でした。私はMP3再生機能が付いたシリーズ機のEX-M1を持っていましたが、起動時間約1秒、レリーズタイムラグ0.01秒、撮影間隔約0.6秒の爆速ぶりは、それまでとまったく違った撮影体験を提供してくれました。
QV-10は25万画素、EX-S1は124万画素、そして2006年発売のEXILIM ZOOM EX-Z1000は、コンパクト機として初の1,000万画素越えとなる1,010万画素。進歩のスピードがすごいですね。このころは、コンデジでもガソ、ガソ、ガソといって画素数競争をしていた時代ですが、1,000万画素越えになると、もう充分という感じになってきたように思います。
EX-Z1000の特色のひとつは、1,000万画素越えにもかかわらず、サイズがコンパクトだったことでしょう。EX-S1は85gで幅88mm×高さ55mm×厚さ11.3mm(突起部除く)、EX-Z1000は139gで幅92mm×高さ58.4mm×厚さ19.9〜22.4mm。EX-M1とEX-Z1000を並べてみると、幅と高さはそんなに変わりません。それでいて、撮影、再生もサクサクで快適でした。
しかし、いまEX-Z1000を振り返ってみると、なんだか普通です。QV-10やEX-S1の方が尖っている気もしてしまいます。正統に進化すればするほど普通になってしまうという、テクノロジーのパラドックスを体現したコンデジでもあるのかもしれません。
その後もカシオは、自撮りに最適化したコンデジを、台湾や中国のアジア圏で大ヒットさせたりしますが、けっきょく2018年にコンパクトデジタルカメラ事業から撤退することになります。
カシオのカメラを振り返ると、どうしても、コンデジや兵どもが夢の跡、という気分になってしまいます。
[CASIO EXILIM ZOOM EX-Z1000]
・1010万画素の1/1.8型CCD搭載・光学3倍ズーム(35mm換算・約38〜114mm)
・大画面2.8型のワイドサイズ(画面比率14:9)液晶モニターを搭載
・クイックシャッター、ズーム連写、フラッシュ連写、高速連写など豊富な速写機能
・1回の充電で約360枚撮影できる長電池寿命
・量販店実勢価格49,800円(2006年8月中旬)
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