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コンデジ回想録

6 ニコン COOLPIX S6

2022/06/06
上野修

ニコン COOLPIX S6を試用した時の記事を読み返してみたら、無線LAN(Wi-Fi)通信機能のことばかり書いていました。
 

要するに、ワイヤレスで画像を転送したり、プリントできたりするのが素晴らしい、という話ですが、COOLPIX S6は先進的にそこにチャレンジしたコンデジだったのです。
 

カードリーダーで読み込むにしても、ケーブルで読み込むにしても、一手間、二手間かかるわけで、ワイヤレスでサクっとできるに越したことはありません。
 

しかし、それは、安定してシームレスにできるならば、ということであって、うまく接続できないワイヤレスは、一手間、二手間どころか、三手間、四手間、五手間かけても解決しないこともしばしば。みなさんも、こんな思いをするなら有線でいい、と思った経験があるかと思います。
 

COOLPIX S6のワイヤレス接続も、サクっとはいかなかった記憶があります。そして、接続しているとバッテリーも消費するので、常用には向かないな、という印象でした。安定してシームレスにできる、というのと、できなくはない、というのは、かなり違うのです。

 


 

COOLPIX S6で撮った画像を見返していたら、当時使っていたパソコンや周辺機器などの画像がありました。Power Mac G4やG5のキーボードなどは、当然、有線接続で、パソコンのまわりはケーブルだらけ。クリックホイールのiPodの転送も有線、IBM WorkPadの接続も有線のクレードル。サクっとはいかなかったにせよ、COOLPIX S6が先進的だったことがわかるでしょう。

 


 

ワイヤレス接続以外にも、暗く写ってしまった部分を自動補正する「D-ライティング」、生体認証技術を使った顔認識AF、アドバンスト赤目軽減、直感的に画像検索や機能選択ができるロータリーマルチセレクター、音楽と演出をカメラが自動作成する「Pictmotion」など、COOLPIX S6が搭載した機能は、当時としては先進的でした。時にこうしたチャレンジをするのは、ニコンの面白いところだと思います。
 

この連載4回目のコダック EasyShare V570の時にも書きましたが、コンデジに搭載された先進的な機能の多くは、その後、スマートフォンにより洗練されたかたちで搭載されることになりました。とりわけ、シームレスなワイヤレス接続は、もともと通信機能が売りのスマートフォンにはかないません。
 

薄型でオシャレなデザインのCOOLPIX S6は、スマートフォンになれなかったカメラなのか、あるいは、スマートフォンとは違ったカメラの未来を見ていたのか……。振り返っていると、しみじみテクノロジーの分かれ道を考えてしまいそうになります。

 

ところで私は、試用記事に、「チョイ撮りでノッてきたら、そのままマジ撮りするのもいい」と書いていました。当時、不遜にも、一生に一個くらい流行語を作ってみたいと思っていたのです。もちろん「チョイ撮り」も「マジ撮り」もまったく流行りませんでした。
 

 

[Nikon COOLPIX S6]
・カメラ内蔵型の無線LAN(Wi-Fi)通信機能
・3.0型ワイドアングル液晶モニター
・35-105mm(35mm換算)の光学3倍ズームEDレンズ搭載。
・画像検索や機能選択が直感的にできる、ロータリーマルチセレクター
・量販店実勢価格47,900円(2006年6月中旬)

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