今回は、連載21回目にして、はじめてのソニーのコンデジの登場です。ソニーのCyber-shotシリーズといえば人気のコンデジなのにどうしてだろうと考えてみたら、理由を思い出しました。
Cyber-shotシリーズは長い間、ソニーの独自規格のメモリーカード、メモリースティックを採用してきました。これの購入を躊躇していたのです。
独自規格のメモリーカードでは、オリンパスと富士フイルムが開発したxDピクチャーカードというのもありましたが、こちらは2社のカメラに採用されているということもあり購入しました。メモリースティックの一本や二本くらいさっさと買えとも思いますが、ぐずぐずと迷っているうちに、いずれSDカード対応になるような気配も出てきて、根比べのような感じになっていたのだと思います。
で、今回紹介するCyber-shot DSC-T700のためにメモリースティックを買ったのかといえば、そうではありません。このカメラは約4GBの内蔵メモリーを搭載していたので、メモリースティックがなくても使うことができたのです。私のようにぐずぐずと迷っている人もターゲットにした戦略なのかどうかわかりませんが、コンデジ単体でも写真を楽しめるこの方向性は、なかなか先進的だったのではないでしょうか。
Cyber-shotのTシリーズは薄型シリーズということですが、DSC-T700は95.0×58.4×16.4mm(最薄部15.2mm)で、さすがはソニーという薄さに仕上がっています。連載19回目に紹介したカシオ EXILIM Hi-ZOOM EX-V7の、95.5×59.8×25.5mm(最薄部20.8mm)と比較してみると、幅と高さはほぼ同じながら、薄さがかなり違うことがわかります。開発の方向性が違うので、こうした比較にそれほど意味はないでしょうが、DSC-T700が真の薄型と感じさせるモデルだったことは確かでしょう。
背面はほぼ全面が液晶モニターで、操作もタッチパネル式です。このあたりも先進的だったのですが、やや反応が鈍かった記憶があります。とはいえ、当時の一般的なタッチパネル式液晶は、もっさりして、使えなくはないというレベルも普通だったのです。それを考えれば、DSC-T700の液晶の反応は悪くなく、実用の範囲ではあったと思います。
しかし、DSC-T700が発売された2008年9月という時期は、なめらかにスクロールする液晶を搭載したiPhoneが日本上陸した直後というタイミングでもありました。大容量のメモリーを搭載し、単体でも写真を楽しめるというコンセプトも重なります。上陸したのはiPhone 3Gなので、カメラ性能は、比較にならないほど圧倒的にDSC-T700の方が優れているわけですが。
DSC-T700で撮った写真を見返してみたところ、アスペクト比を横長の16:9に設定して、なかなか楽しそうに撮影していました。この薄型でアルミの板のようなカメラで撮るのが新鮮だったのでしょう。
ところで、Cyber-shotシリーズがSDカードに対応したのは、2010年。メモリースティックDuoとの両対応というかたちで実現され、この両対応の仕様は今も続いています。
[Sony Cyber-shot DSC-T700]
・有効1010万画素CCD・カール ツァイス光学4倍ズーム
・撮らないときも美しいスリムデザイン
・最大約40,000枚の写真を保存できる約4GB内蔵メモリー
・3.5型ワイド大画面のエクストラファイン液晶搭載
・量販店実勢価格44,800円(2008年10月下旬)
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