top コラムコンデジ回想録3 富士フイルム FinePix F11

コンデジ回想録

3 富士フイルム FinePix F11

2022/02/21
上野修

フィルム時代、ISO400は高感度、ISO1600やISO3200は超高感度と呼ばれており、そうした超高感度はちょっと特殊なフィルムという感じだった。ということは、普通のフィルムの場合、日没後などの暗い条件で撮影するためには、三脚立てるなり、フラッシュ使うなり、工夫が必要だったということですね。


現在では、超高感度は読めないくらいの桁数になり、スマートフォンにもナイトモードが搭載されていて、肉眼では見えないような場所でも撮影できて当たり前になってしまったけれど、フィルム時代はそんなことはなかったし、はじめの頃のデジタルも、暗い条件は苦手だった。

 

 

そんな常識を覆したコンデジが、2005年3月に発売された富士フイルムのFinePix F10で、2005年10月発売のFinePix F11は、FinePix F10をブラッシュアップした後継モデル。


ISO1600での撮影が可能だというだけではなく、画質もナチュラルなのがよかった。つまり、撮れないこともないけれど使いたくない、なんちゃって超高感度ではなく、これなら使ってみようと思う、実用性の高い超高感度だったわけです。

 

 

そのあたりの自信のあらわれが、積極的に超高感度を使い「室内や暗いシーンでもフラッシュを使わずに、目で見たままの美しさを再現」できると謳う、「ナチュラルフォトモード」というネーミングのモード。今日では、当たり前になっている撮り方だけれど、当時はそれが当たり前ではなく、今日の当たり前を先取りしたモードといえるかもしれないですね。

 

 

暗いところで撮れても、ピントが合わなかったらしょうがない。その問題は、最長4.0m先まで届くという、緑色の眩いAF補助光で解決。この力技にも、当たり前を実現するための苦労があらわれてます。


バッテリーの持ちもよかった。約500枚の長電池寿命は当時世界最高とのこと。メモリーカードは、いまはなきxDピクチャーカード。マニュアルを見ると、1GBのカード使用時に最高画質で341枚となっているので、当時の一般的な感覚なら、約500枚撮影できたら充分すぎるくらい充分な感じだったでしょう。

 

ニュースリリースには、「手ブレ・被写体ブレに強く、暗いところでもきれいに撮れる」「最高感度ISO1600、約500枚の長電池寿命、シャッタータイムラグ0.01秒」と記されています。バッテリーの持ちなどデジカメの弱点を克服し、超高感度を実現したこのカメラは、フィルム時代の概念の延長線上にある、フィルム時代の夢を実現したようなカメラだった気がします。

 

■FUJIFILM FinePix F11
・高感度・フラッシュレス撮影のナチュラルフォトモード搭載
・約500枚連続撮影の長持ちバッテリー
・広角側で約4mまで届くAF補助光
・シャッタータイムラグ最短0.01秒、撮影間隔最短約1.1秒の高速レスポンス
・量販店実勢価格49,800円(2006年1月中旬)

 

 

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