前回の最後に、ソニーのCyber-shotシリーズは2010年に、メモリースティックDuoとの両対応というかたちでSDカードに対応した、という話を書きました。今回紹介するのは、まさにそのタイミング、2010年春モデルとして登場したCyber-shot DSC-HX5Vです。
ちょっと前回の補足をしておきますと、私はメモリースティックのような独自規格が嫌いなわけではありません。そもそもカメラは独自規格だらけですしね。ビデオはソニーのベータ派でしたし。ただ、メモリースティックとは縁がなかったというか……。
と、言い訳したところで、DSC-HX5Vの話に戻りましょう。見かけはごく普通のコンデジのDSC-HX5Vですが、中身は当時の先端技術全部入りの趣がある一台です。
25mmから250mm(35mm判換算)までカバーする光学10倍ズーム“Gレンズ”、裏面照射技術を採用したCMOSセンサー“Exmor R”を搭載、フルハイビジョンAVCHD動画にも対応して、基本性能もバッチリ。露出の異なる2枚の画像を自動合成する逆光補正HDR、6枚の写真を高精度に重ね合わせながらノイズを除去する手持ち夜景モード、同じく6枚の写真を重ね合わせる人物ブレ軽減モード、顔と動きを検出しつつ最大100枚の静止画を高速連写しつなぎ合わせるスイングパノラマ、GPS・コンパス機能などを搭載して、先進的な機能を楽しめるカメラに仕上がっていました。
このように機能を列挙していくと、DSC-HX5Vが現在でいうコンピュテーショナルフォトグラフィーを先取りしていたことがわかるでしょう。私は使う機会がありませんでしたが、パソコンやテレビに無線で写真転送できるTransferJet(TM)、海外では現地時刻に自動補正といった機能も搭載しており、写真の楽しみ方を次の次元に押し上げるビジョンが感じられました。そうしたビジョンを持っているカメラですから、やはりデファクトスタンダードになったSDカード対応は正解だったように思えます。
DSC-HX5V登場時、2010年春の実勢価格は45,000円前後。11月下旬には25,000円くらいになっていました。2011年2月には、あるネットショップで、なんと16,800円、さらに下取り値引が1,000円で15,800円になっていたので、思わず買ってしまいました。買っておいてなんですが、これだけの性能のコンデジがこんなに安く買えてしまうというのは、いかがなものかと思ってしまいます。コンデジ円熟期、爛熟期の競争がそうさせたのでしょうか。
DSC-HX5Vの特徴は、前述した諸機能の実用性がかなり高かったことでしょう。撮影した写真を見返していたら、サッとひとふりで最大270度が撮影できるスイングパノラマが新鮮だったらしく、いろいろな場所でサッとひとふりしていました。
[SONY Cyber-shot DSC-HX5V]
・裏面照射型CMOSセンサー"Exmor R"搭載
・光学10倍ズーム25mm-250mm(35mm換算)
・GPS・コンパス機能搭載
・AVCHDのフルハイビジョン画質のビデオ撮影
・量販店実勢価格25,000円(2010年11月下旬)
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