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コンデジ回想録

15 富士フイルム FinePix F31fd

2023/04/17
上野修

この連載の3回目で紹介した、富士フイルム FinePix F11は、ISO1600での撮影を可能にしたFinePix F10をブラッシュアップしたモデルでした。FinePix F11の後継モデルは、ISO3200での撮影を可能にしたFinePix F30。そのFinePix F30をブラッシュアップしたモデルが、今回紹介する2006年発売のFinePix F31fdです。
 

なぜF20がスキップされているのかと思い検索したところ、F30の廉価版であるF20というモデルが海外で発売されていたようです。2007年にはFinePix F40fdが発売されますが、こちらはFinePix F31fdの後継モデルではなくて、FinePix F20の後継モデルのような位置付け。つまりFinePix F31fdは、超高感度を追求したコンデジの、当時におけるひとつの完成形のようなモデルということになります。ちなみに、fdはなにかというと、Face Detection(顔検出機能)を用いて顔にピントや明るさを最適化する機能「顔キレイナビ」のことです。

 


 

さて、今回FinePix F31fdで撮った写真をひさびさに見返してみて、思いのほか暗いところが写っていないことに驚きました。また、暗いところを一生懸命写そうとした写真は、明るいところがバッチリ白飛びしていました。現在のスマートフォンに搭載されているコンピュテーショナルフォトグラフィーを用いたナイトモードの画像とは、印象が全然違います。ひとことでいうと、FinePix F31fdの画像は、フィルム時代の写真ってこういうものだったよな、という感じです。
 

 

もうひとつ気づいたのは、日中に撮った画像がなかなかいいことです。超高感度が特徴なら、低感度で写りがいいのは当然といったところでしょうか。特別なことはなにもないのですが、素直な絵作りで気持ちよく見ることができます。こちらも、フィルム時代の写真ってこういうものだったよな、という感じです。
 

じっさい、FinePix F31fdには「F-スタンダード」「F-クローム」「F-B&W」の3種類のモードが搭載されていて、コントラストや色が強めに撮影される「F-クローム」はリバーサルフィルムのベルビア調ともいわれていました。となると「F-」はフィルムのFかなと思ったりするのですが、残念ながら、「FinePixカラー」のFのようです。しかし、「FinePixカラー」のアイコンはフィルムを彷彿とさせるものなので、やはりフィルムの色合いと関連しているのでしょう。

 


 

このほかにも、ノンフラッシュとフラッシュ撮影の2枚を連続して撮影・保存する「高感度2枚撮り機能」といった実用性の高いモードが搭載されていたりしました。バッテリーも約580枚という、かなりの大量撮影が可能なものになっています。そんなこんなで、諸機能が詰まっているせいか、FinePix F31fdのボディは厚みがあり、ぼってりしていますが、それもまた質実剛健な感じでいいですね。

 


 

使用するメモリーカードは、いまはなきxDピクチャーカード。FinePix F40fdからは、SDメモリーカードも利用可能になっています。やはりFinePix F31fdは、時代の曲がり角に生まれた名機なのかもしれません。


[FUJIFILM FinePix F31fd]
・超高感度ISO3200での撮影を高画質630万画素のフル画素で実現
・大量撮影約580枚の長持ちバッテリー
・フジノン光学式3倍ズームレンズ(35mmフィルム換算:36mm〜108mm相当)
・人物の顔を検出「顔キレイナビ」搭載
・量販店実勢価格39,800円(2007年1月下旬)

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